アプリケーションキー(アプリケーションキー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アプリケーションキー(アプリケーションキー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

アプリケーションキー (アプリケーションキー)

英語表記

Application key (アプリケーションキー)

用語解説

アプリケーションキーとは、特定のアプリケーションが、外部のサービスやAPIを利用する際に、自身を識別し、認証を受けるために使用される一意の文字列のことである。現代の多くのソフトウェア開発では、自前で全ての機能を開発するのではなく、地図情報、決済機能、気象データ、SNS連携といった様々な機能を、他の企業が提供するサービスをAPI経由で呼び出すことによって実現している。このとき、サービス提供側は、誰が自分たちのサービスを利用しているのかを正確に把握する必要がある。もし誰でも無制限にAPIを利用できてしまうと、不正利用や過剰な負荷によるサービス停止といった問題が発生しかねない。そこで、サービス利用を許可された正規のアプリケーションであることを証明するための「身分証明書」として、アプリケーションキーが用いられる。開発者は、利用したいサービスの提供元に自身のアプリケーションを登録し、審査や手続きを経て、そのアプリケーション専用のキーを発行してもらう。そして、APIへリクエストを送信する際に、このキーを付与することで、サービス提供側は「どのアプリケーションからのリクエストか」を識別し、アクセスを許可したり、利用量に応じた課金を行ったり、アクセス権限を制御したりすることが可能になる。

アプリケーションキーには、その目的やセキュリティレベルに応じていくつかの種類が存在し、APIの仕様によって使い分けられる。最も基本的なものは「APIキー」と呼ばれるものである。これは、リクエストに含めることでアプリケーションを識別するための単純な文字列であり、主に利用状況の追跡や、比較的単純なアクセス制御に用いられる。しかし、APIキーはそれ自体がネットワーク上を流れるため、盗聴されるリスクがある。そこで、より高いセキュリティが求められる場合には、「APIシークレット」または「シークレットキー」が併用される。これはAPIキーとペアで発行される、パスワードのように秘匿すべき文字列である。APIキーが公開しても比較的安全なユーザー名のような役割を担うのに対し、APIシークレットは厳重に管理しなければならない。これらを組み合わせることで、リクエストが本当に正規のアプリケーションから送られたものであるかを、より確実に検証できるようになる。例えば、リクエストの内容とシークレットキーを使って計算した署名(ハッシュ値)をリクエストに含め、サーバー側で同様の計算を行って署名を照合するといった認証方式で利用される。

さらに、ユーザーのデータへのアクセス許可が関わるような、より複雑な認証・認可の仕組みとしてOAuthのようなプロトコルが利用される場面では、「アクセストークン」が重要な役割を果たす。アクセストークンは、ユーザーがアプリケーションに対して「自分のデータへのアクセスを許可します」という同意を与えた結果として発行される、一時的な効力を持つキーである。アプリケーションは、このアクセストークンを使って、ユーザーに代わってサービスにアクセスし、許可された範囲の操作、例えばSNSへの投稿やカレンダーへの予定の登録などを行う。アクセストークンには有効期限が設定されており、期限が切れると無効になるため、万が一漏洩した際のリスクを低減できるという特徴がある。

アプリケーションキーの具体的な利用方法は、APIの設計によって異なるが、一般的にはHTTPリクエストに含めてサーバーに送信される。主な方法としては、HTTPヘッダーに含める方法、URLのクエリパラメータとして付与する方法、POSTリクエストのボディに含める方法の三つが挙げられる。特に、Authorizationヘッダーなどの標準的なHTTPヘッダーを利用する方法は、URLにキーが直接現れず、ブラウザの履歴やサーバーのアクセスログに残りにくいため、比較的安全な方法として広く採用されている。

アプリケーションキーの管理は、システム開発において極めて重要なセキュリティ上の課題である。キーが第三者に漏洩すると、なりすましによるAPIの不正利用、機密情報の窃取、意図しない課金の発生など、深刻な被害に繋がる可能性がある。そのため、キーをソースコードの中に直接書き込む、いわゆる「ハードコーディング」は絶対に避けなければならない。ソースコードがGitなどのバージョン管理システムを通じて公開リポジトリにプッシュされた場合、キーが全世界に漏洩してしまうからである。このような事態を防ぐため、キーは環境変数として設定したり、専用の設定ファイルに記述してバージョン管理の対象から除外したり、あるいはAWS Secrets ManagerやGoogle Cloud Secret Managerといったクラウドサービスが提供するシークレット管理の仕組みを利用したりするのが、現代的な開発におけるベストプラクティスとされている。また、キーに割り当てる権限は、そのアプリケーションが必要とする最小限の範囲に留める「最小権限の原則」を遵守することも重要である。例えば、データの読み取りしか必要ないアプリケーションには、読み取り専用の権限を持つキーを発行するべきである。これにより、万が一キーが漏洩したとしても、被害の範囲を限定することができる。定期的にキーを新しいものに交換する「キーローテーション」も、セキュリティを維持するための有効な手段である。

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