アマゾンウェブサービス(アマゾンウェブサービス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アマゾンウェブサービス(アマゾンウェブサービス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

アマゾンウェブサービス (アマゾンウェブサービス)

英語表記

Amazon Web Services (アマゾンウェブサービス)

用語解説

アマゾンウェブサービスとは、Amazon.comの子会社であるAmazon Web Services, Inc.が提供する、世界規模のクラウドコンピューティングサービスの総称である。インターネット経由で、サーバーやストレージ、データベース、ネットワークといったITインフラストラクチャや、その上で動作するさまざまな機能、ソフトウェアなどをオンデマンドで利用できる。これにより、企業や個人は自前で物理的なIT設備を購入・構築・運用することなく、必要な時に必要な分だけITリソースを利用し、その利用量に応じて料金を支払う従量課金制が特徴だ。システムエンジニアを目指す者にとって、現代のITインフラを理解し、構築・運用する上で避けては通れない、非常に重要なサービス基盤となっている。

詳細を述べると、AWSはクラウドコンピューティングの概念を具現化した代表的な存在と言える。従来のITシステム構築では、物理的なサーバー機器やネットワーク機器を購入し、データセンターに設置して電力や空調、保守体制を確保する必要があった。これには多大な初期投資と、専門的な知識を持つ人材、そして運用コストがかかった。しかし、AWSのようなクラウドサービスを利用すれば、これらの物理的な制約から解放される。ユーザーはウェブ上の管理画面やプログラムを介して、仮想的なサーバーを数分で立ち上げたり、大容量のストレージを瞬時に確保したりすることが可能になる。これは、ITリソースをサービスとして利用する「as a Service」の形態であり、特にインフラ機能を提供するInfrastructure as a Service (IaaS)がAWSの主軸となっている。

AWSが提供するサービスは多岐にわたり、その数は200種類以上にも及ぶ。その中でも特に基盤となるのは、仮想サーバーを提供するAmazon Elastic Compute Cloud (EC2) や、オブジェクトストレージのAmazon Simple Storage Service (S3)、リレーショナルデータベースサービスのAmazon Relational Database Service (RDS) などだ。EC2を使えば、ユーザーは必要なCPU、メモリ、OSを持つ仮想マシンを必要な時に必要なだけ起動し、ウェブサイトのホスティングやアプリケーションの実行環境として利用できる。S3は、あらゆる種類のファイルを保存できるストレージサービスで、高い耐久性と可用性を誇り、ウェブサイトの静的コンテンツやバックアップデータの保存に広く使われている。RDSは、MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなどの主要なリレーショナルデータベースを簡単に構築・運用できるようにするサービスで、データベースの管理負担を大幅に軽減する。これら以外にも、仮想ネットワークを構築するVirtual Private Cloud (VPC)、サーバーレスでコードを実行できるLambda、機械学習、IoT、セキュリティ、分析など、幅広い分野のサービスが提供され、これによりあらゆる種類のアプリケーションやシステムをクラウド上で構築・運用できる。

これらのサービスは、リージョンとアベイラビリティゾーンという概念に基づいたグローバルインフラの上に構築されている。リージョンとは、世界各地に分散配置された独立した地理的エリアのことで、各リージョンは複数のアベイラビリティゾーン(データセンター群)で構成される。この多重化された構造により、特定のデータセンターに障害が発生してもシステム全体の停止を防ぎ、高い信頼性と可用性を実現している。ユーザーは、地理的な近接性や規制要件などに応じて、最適なリージョンを選択してサービスを展開できる。

AWSの最大のメリットの一つは、その圧倒的なスケーラビリティにある。ウェブサイトへのアクセスが急増したり、データ処理量が増大したりした場合でも、必要に応じてサーバーのリソースを自動的、あるいは手動で容易に増強できる。逆に、リソースが不要になった際にはすぐに縮小することも可能で、これにより無駄なコストを削減できる。この柔軟性は、変動の激しいビジネス環境において、ITインフラがボトルネックになることを防ぎ、企業の迅速な意思決定と成長を支援する。また、初期投資が不要で、利用した分だけ支払う従量課金制であるため、スタートアップ企業から大企業まで、規模を問わず導入しやすい。

さらに、AWSは強固なセキュリティ対策を提供している。データセンターの物理的セキュリティから、ネットワークセキュリティ、データの暗号化、アクセス管理に至るまで、多層的なセキュリティ機能が組み込まれている。ただし、セキュリティについては「責任共有モデル」という考え方が重要だ。AWSはクラウド自体のセキュリティ(例えば、基盤となるインフラストラクチャの保護)に責任を持ち、ユーザーはクラウド内でのセキュリティ(例えば、仮想サーバー上のOSのパッチ適用、データのアクセス権限管理、アプリケーションのセキュリティ設定など)に責任を持つという枠組みだ。システムエンジニアとしては、このモデルを理解し、ユーザー側の責任範囲で適切なセキュリティ対策を講じることが求められる。

AWSの利用は、主にウェブブラウザからアクセスできるAWSマネジメントコンソールを通じて行われるほか、コマンドラインインターフェース(CLI)やプログラミング言語ごとのソフトウェア開発キット(SDK)を利用して、プログラムからサービスを操作することも可能だ。これにより、インフラの自動化やDevOps(開発と運用の連携)の実現が容易になる。アマゾンウェブサービスは、企業がITシステムを構築・運用する方法に革命をもたらし、今日のデジタル変革を支える中心的なプラットフォームとなっている。システムエンジニアを目指す者にとって、AWSの提供するサービス群とその利用方法、そしてクラウドコンピューティングの基本原則を深く理解することは、現代のIT業界で活躍するための必須スキルと言えるだろう。

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