JIS8単位コード(ジェイアイエスハチタンイコード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

JIS8単位コード(ジェイアイエスハチタンイコード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

JIS8単位コード (ジェイアイエスハチタンイコード)

英語表記

JIS 8-unit code (ジェイアイエス エイトユニットコード)

用語解説

JIS8単位コードとは、コンピュータで日本語の文字を扱うために制定された文字コード規格の一つである。正式には日本産業規格(JIS)の「JIS X 0208」として規格化されており、一般に「JIS基本漢字」とも呼ばれる。この規格は、コンピュータが内部で文字を識別するための番号を、ひらがな、カタカナ、漢字、記号といった日本語の文字集合に対して割り当てたものである。コンピュータは本来、数値しか扱うことができないため、文字を処理するためには、各文字に一意の番号を対応付ける「文字コード」という仕組みが不可欠である。JIS8単位コードは、日本語を体系的に扱うための初期の代表的な規格として、日本のIT環境の基盤を築いた重要な存在である。その名称にある「8単位」とは8ビットを意味し、基本的には2つの8ビット、すなわち2バイトを用いて1つの文字を表現することを前提としている。この規格が制定されたことにより、異なるメーカーのコンピュータ間でも、日本語の文字データを交換することが可能になった。

JIS X 0208の規格内容を詳細に見ると、その構造は94行94列の二次元の表として定義されている。この表における行番号を「区」、列番号を「点」と呼び、それぞれの文字は「区点番号」という座標で管理される。例えば、1区から94区まで、そして各区に1点から94点までのマスが用意され、その一つ一つのマスに文字が配置されている。この区点番号によって、規格に含まれるすべての文字が一意に特定される。収録されている文字は、句読点や括弧などの各種記号、アラビア数字、アルファベット、ひらがな、カタカナといった非漢字と、使用頻度に基づいて選定された漢字から構成される。漢字については、日常的によく使われるものが「第一水準漢字」として2965字、人名や地名などで使われる比較的稀なものが「第二水準漢字」として3390字収録されており、合計で6355字の漢字が定義されている。

ここで重要なのは、JIS X 0208はあくまで文字と番号の対応関係を定めた「文字集合(キャラクターセット)」の規格であり、それをコンピュータ上で実際にデータとして記録・伝送するための具体的なバイト列の形式、すなわち「符号化方式(エンコーディング)」を直接規定するものではないという点である。JIS X 0208の文字集合を実際に利用するためには、Shift_JIS(シフトJIS)やEUC-JPといった符号化方式が必要となる。

Shift_JISは、特にパーソナルコンピュータの世界で広く普及した符号化方式である。この方式の最大の特徴は、1バイトで表現できる文字(ASCIIや半角カタカナを定めたJIS X 0201)と、2バイトで表現するJIS X 0208の日本語文字を、一つの仕組みの中で共存させている点にある。Shift_JISでは、特定のバイト値の範囲をJIS X 0208の文字の1バイト目として割り当て、続く2バイト目と組み合わせて一つの日本語文字を表現する。これにより、プログラムがファイルやデータを読み込む際に、1バイト文字と2バイト文字の区別を比較的容易に行えるという利点があった。

一方、EUC-JPは、主にUNIX系のオペレーティングシステムで標準的に用いられた符号化方式である。これもJIS X 0208の文字集合を利用するが、Shift_JISとは異なるルールでバイト列を構成する。また、電子メールで日本語をやり取りする際には、ISO-2022-JP(通称JISコード)という符号化方式が利用された。これは、エスケープシーケンスと呼ばれる特殊な制御コードを用いて、英語モード(ASCII)と日本語モード(JIS X 0208)を切り替えながらテキストを表現する方式である。

現代のシステム開発においては、世界中のあらゆる言語を統一的に扱えるUnicodeという文字コード体系が標準となっており、その符号化方式であるUTF-8が主流である。UnicodeはJIS X 0208が抱えていた文字数の制約や、異なる文字コード間でのデータ交換時に発生する「文字化け」といった問題を根本的に解決する。しかし、過去に作成されたシステムやデータベース、テキストファイルなどには、依然としてShift_JISでエンコードされたデータが数多く残存している。そのため、システムエンジニアは、こうした既存のデータを正しく扱うために、Shift_JISやEUC-JPの基礎となっているJIS8単位コード、すなわちJIS X 0208の概念や構造を理解しておくことが依然として重要である。