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UNIX(ユニックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

UNIX(ユニックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ユニックス (ユニックス)

英語表記

UNIX (ユニックス)

用語解説

UNIXは、現代のIT社会を支える基盤技術の一つであるオペレーティングシステム(OS)の名称である。OSとは、コンピューターのハードウェアを管理し、アプリケーションソフトウェアが動作するための土台を提供するプログラム群のことだ。UNIXは1960年代末に開発されて以来、その堅牢性、柔軟性、そして高い移植性から、科学技術計算、サーバー、ワークステーションなど多岐にわたる分野で利用されてきた。今日のインターネットインフラの多くがUNIX系OSの上で動作しており、またLinuxやmacOSなど、現代の普及しているOSの多くがUNIXの設計思想や技術を色濃く受け継いでいるため、システムエンジニアを目指す者にとって、UNIXの理解は不可欠である。

詳細に入ろう。UNIXは1969年、アメリカのベル研究所で、ケン・トンプソンとデニス・リッチーらによって開発が始まった。当時、ベル研究所はゼネラル・エレクトリック社、AT&T社、マサチューセッツ工科大学が共同で開発していた大規模OSプロジェクト「MULTICS」に参加していたが、その複雑さと非効率性からAT&T社はプロジェクトを離脱する。しかし、そこで得た経験とアイデアをもとに、よりシンプルで効率的なOSを開発しようという機運が高まり、UNIXが誕生した。最初のUNIXはアセンブリ言語で書かれたが、1973年にはデニス・リッチーが開発したC言語によって書き直された。このC言語による再実装は、UNIXの歴史において極めて重要な転換点となる。アセンブリ言語は特定のハードウェアに強く依存するため移植が困難だったが、C言語は比較的高度な抽象化レベルを持ちながらハードウェアに近い記述が可能であり、異なるコンピューターアーキテクチャへのUNIXの移植を容易にしたのだ。これによりUNIXは様々なマシンで動作するようになり、爆発的に普及していくこととなる。

UNIXの設計思想にはいくつかの重要な原則がある。「一つのことをうまくやる小さなプログラムを書け」「プログラムを結合し、複雑なタスクを実行できるようにせよ」「すべてはファイルである」といった原則がそれだ。これらの思想は、モジュール性、再利用性、そして単純性を重視し、UNIXを非常に強力で柔軟なシステムにした。

UNIXの主要な特徴をいくつか挙げる。まず、「マルチユーザー・マルチタスク」だ。これは複数のユーザーが同時にシステムにログインし、それぞれが複数のプログラムを並行して実行できるというものだ。これにより、一台の強力なコンピューターを多くの人が共有し、効率的に利用することが可能になった。

次に、「コマンドラインインターフェース(CLI)」が挙げられる。UNIXの操作は、多くの場合、テキストベースのコマンドを入力して行う。このインターフェースは「シェル」と呼ばれ、ユーザーが入力したコマンドを解釈し、OSに実行させる役割を担う。CLIは、マウスやグラフィカルな画面を使ったGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に比べて直感性に欠けると感じられるかもしれないが、コマンドを組み合わせることで複雑な処理を自動化したり、遠隔地のサーバーを効率的に管理したりするのに非常に優れている。熟練したユーザーにとっては、CLIの方がGUIよりもはるかに高速かつ強力な操作が可能となる。

「ファイルシステム」もUNIXの大きな特徴である。UNIXは、ファイルやディレクトリを階層構造で管理する。これは、WindowsやmacOSで現在一般的に使われているファイル管理方式の原型となっている。さらに特筆すべきは、「すべてはファイルである」というUNIXの哲学がファイルシステムにも適用されている点だ。通常のデータファイルやプログラムだけでなく、ハードディスク、キーボード、プリンターといったデバイスも、特殊なファイルとして扱われる。これにより、デバイスの操作が通常のファイル操作とほとんど同じ方法で行えるようになり、システムの統一性と簡潔性が高まった。

UNIXの真骨頂ともいえるのが、「パイプ」と「リダイレクト」の機能だ。パイプは、あるプログラムの実行結果(標準出力)を、別のプログラムの入力(標準入力)として直接渡すことができる仕組みである。これにより、それぞれ独立したシンプルなツールを組み合わせて、より複雑な処理を効率的に実現することが可能となる。例えば、特定のファイルの内容を検索し、その結果だけを別のファイルに保存するといった操作を、複数のコマンドをパイプでつなぐことで簡単に行える。リダイレクトは、プログラムの入力元や出力先を標準入出力(通常はキーボードと画面)以外のファイルやデバイスに変更する機能だ。これらの機能は、UNIXの「小さなツールを組み合わせて大きな仕事をする」という思想を具現化しており、UNIXの柔軟性と強力さの根幹をなす。

また、UNIXは当初からプログラミング環境として非常に優れていた。C言語との親和性が高く、コンパイラ、デバッガ、テキストエディタといった開発ツールが充実していたため、ソフトウェア開発のプラットフォームとしても広く利用された。インターネットの黎明期には、TCP/IPプロトコルスタックがUNIXに実装され、ネットワーク機能の発展にも大きく貢献した。

UNIXはその後、多くの派生システムを生み出した。ベル研究所がソースコードを大学に安価に提供したことで、カリフォルニア大学バークレー校では「BSD (Berkeley Software Distribution) UNIX」が開発され、これがFreeBSD、NetBSD、OpenBSDといったオープンソースUNIX系のOSの祖となった。一方、UNIXの商用利用が進む中で、AT&T社から派生したSystem V系のUNIXが登場し、Sun MicrosystemsのSolaris、IBMのAIX、Hewlett-PackardのHP-UXなど、多くの商用UNIX OSが生まれた。

現代においては、直接UNIXという名前のOSを使う機会は少ないかもしれないが、その思想や技術は私たちの身の回りに深く浸透している。世界中のサーバーの多くで利用されているLinuxは、UNIXの設計思想に基づいて開発されたOSであり、オープンソースコミュニティによって活発に開発が続けられている。また、AppleのmacOSも、UNIX系OSであるBSDをベースとしており、内部的には強力なUNIX環境が動作している。スマートフォンで広く使われるAndroidも、Linuxカーネルを基盤としている。このように、UNIXは単なる過去のOSではなく、現代のコンピューティングの根幹を成す存在であり、システムエンジニアとしてキャリアを築く上で、その基本を理解しておくことは、システムやネットワークの仕組みを深く理解するための重要な土台となるだろう。UNIXの概念を学ぶことは、様々なOSや技術を習得する上での応用力を養うことにもつながるのだ。

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