USB 3.2(ユーエスビーさんてんにに)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
USB 3.2(ユーエスビーさんてんにに)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユーエスビーさんてんににてん (ユーエスビーニテンニテン)
英語表記
USB 3.2 (ユーエスビー さんてんに に)
用語解説
USB 3.2は、Universal Serial Bus (USB) 規格の一つで、データ転送速度の向上を主目的として策定された規格である。現在のPC周辺機器やモバイルデバイスにおいて、高速データ転送を実現する基盤技術として広く採用されている。システムエンジニアを目指す上で、この規格の理解は、適切なハードウェア選定やシステム設計を行う上で不可欠な知識となる。
概要として、USB 3.2はUSB 3.0およびUSB 3.1の進化形であり、最大20ギガビット/秒 (Gbps) という高いデータ転送速度を提供する。これは、従来のUSB 2.0と比較して約40倍、初期のUSB 3.0(現在のUSB 3.2 Gen 1)と比較しても4倍の速度向上を実現している。この高速化は、大容量ファイルの転送、高精細な映像出力、外部ストレージデバイスの性能向上など、多岐にわたる用途でその真価を発揮する。また、USB規格の大きな特徴である下位互換性も維持されており、USB 3.2対応ポートは古いUSBデバイスも接続して利用できる。ただし、その性能を最大限に引き出すためには、対応するホスト、デバイス、そしてケーブルのすべてがUSB 3.2規格に準拠している必要がある。
詳細な説明に移る。USB 3.2の規格は、USB Implementers Forum (USB-IF) によって策定された。しかし、その命名規則はしばしばユーザーや開発者を混乱させる原因となっているため、その背景と具体的な内容を理解することが重要である。元々、2008年に発表された最初の高速規格は「USB 3.0」と呼ばれ、最大5Gbpsの転送速度を提供した。その後、2013年に「USB 3.1」が発表され、これには従来の5Gbpsモード(USB 3.1 Gen 1)と、新たに最大10Gbpsの転送速度を提供するモード(USB 3.1 Gen 2)が含まれた。この時点で、旧来のUSB 3.0はUSB 3.1 Gen 1へと名称が変更された。
さらに2017年、USB-IFは「USB 3.2」を発表し、これまでの規格名称が再度変更された。この変更により、既存のGen 1とGen 2モードがUSB 3.2の一部として再定義され、さらに新しいモードが追加された。現在のUSB 3.2規格には、主に以下の3つの異なる転送モードが存在する。
一つ目は「USB 3.2 Gen 1」である。これは旧来のUSB 3.0、およびUSB 3.1 Gen 1と同一のもので、最大5Gbpsの転送速度を持つ。USB-IFが推奨するマーケティング名称は「SuperSpeed USB 5Gbps」である。このモードは、ほとんどのUSB 3.0対応ポートやデバイスで利用可能であり、青色のコネクタで識別されることが多い。
二つ目は「USB 3.2 Gen 2」である。これは旧来のUSB 3.1 Gen 2と同一のもので、最大10Gbpsの転送速度を提供する。USB-IFが推奨するマーケティング名称は「SuperSpeed USB 10Gbps」である。Gen 1と比較して倍の速度を実現し、より高速な外部SSDやドッキングステーションなどで活用される。
三つ目は、USB 3.2規格で新たに追加された「USB 3.2 Gen 2x2」である。これがUSB 3.2の最大の特徴と言える。USB 3.2 Gen 2x2は、最大20Gbpsの転送速度を実現する。この「2x2」という名称は、USB Type-Cコネクタの持つ複数のデータ転送レーンを双方向で2本ずつ(合計4本)同時に利用することで、Gen 2の速度を二倍にしていることを意味する。USB-IFが推奨するマーケティング名称は「SuperSpeed USB 20Gbps」である。このモードは、特に大容量データのバックアップや編集、高解像度ディスプレイへの出力など、極めて高い帯域幅を必要とするプロフェッショナルな用途でその性能を発揮する。しかし、USB 3.2 Gen 2x2の速度を利用するには、USB Type-Cコネクタを備えたデバイス、ホストコントローラ、そして専用のケーブルが全てGen 2x2に対応している必要がある。
コネクタ形状に関しては、USB 3.2は従来のUSB Type-A、Type-B、および新しいUSB Type-Cコネクタに対応している。ただし、USB 3.2 Gen 2x2の20Gbpsモードは、その技術的な特性上、USB Type-Cコネクタでのみ実現される。これはType-Cコネクタが、従来のType-AやType-Bコネクタにはない複数のデータレーンを内蔵しているためである。USB Type-Cコネクタは、リバーシブル(どちらの向きでも挿せる)である点も特徴であり、今後の主流となることが見込まれている。
電力供給についても触れておく。USB 3.2自体は主にデータ転送の規格だが、USB Type-Cコネクタと組み合わせることで、「USB Power Delivery (USB PD)」という電力供給規格に対応できる。USB PDは最大100W(またはそれ以上)の電力を供給可能であり、ノートPCの充電や高電力消費デバイスへの給電など、幅広い用途で利用されている。データ転送と同時に大電力供給が可能である点は、システム全体の配線を簡素化し、利便性を向上させる。
システムエンジニアを目指す初心者にとっては、USB 3.2に関する以下の点が特に重要である。第一に、前述の複雑な命名規則を理解し、製品の仕様書やパッケージに記載されている「Gen 1」「Gen 2」「Gen 2x2」の表記を正しく読み解く能力が必要である。マーケティング名称である「SuperSpeed USB 5Gbps」「SuperSpeed USB 10Gbps」「SuperSpeed USB 20Gbps」も合わせて把握しておくことで、製品の実際の性能を正確に判断できる。第二に、互換性の問題である。USB 3.2は下位互換性を持つため、古いUSBデバイスを接続することは可能だが、その際の転送速度は最も遅いデバイスまたはポートの規格に制限される。例えば、USB 2.0デバイスをUSB 3.2 Gen 2x2ポートに接続しても、転送速度はUSB 2.0の最大480Mbpsに留まる。第三に、ケーブルの選定である。USB 3.2 Gen 2x2の20Gbpsを安定して利用するためには、その速度に対応した高品質なUSB Type-Cケーブルが必要となる。安価なケーブルや対応していないケーブルでは、性能が十分に発揮されないか、そもそも接続が不安定になる可能性もある。最後に、システム全体での対応状況の確認である。ホスト側(PCのマザーボードや拡張カード)、デバイス側(外付けSSDなど)、そしてケーブルのすべてが目的のUSB 3.2モードに対応していることを確認しなければ、期待通りの性能は得られない。特に20GbpsのGen 2x2は比較的新しい規格であるため、購入前に十分な確認が必要となる。これらの点を踏まえ、将来のシステム設計や機器導入において、USB 3.2を最大限に活用できる知識を身につけることが求められる。