USB On-The-Go(ユーエスビーオンザゴー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
USB On-The-Go(ユーエスビーオンザゴー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
USBオン・ザ・ゴー (ユーエスビーオンザゴー)
英語表記
USB On-The-Go (ユーエスビーオンザゴー)
用語解説
USB On-The-Go、通称USB OTGは、USBの機能拡張規格の一つで、主にスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが、従来のUSBホストであるパソコンのような役割も、プリンターやUSBメモリのようなデバイスの役割も、両方を担えるようにする技術である。これにより、パソコンを介さずにモバイルデバイス同士やモバイルデバイスと周辺機器を直接接続し、データ転送や電力供給を行うことが可能になる。
従来のUSBでは、必ず「ホスト」と「デバイス」という明確な役割分担が存在した。ホストは接続されたUSB機器を制御し、データ転送の主導権を持ち、多くの場合、電力も供給する側の機器を指す。例えば、パソコンがホストとなり、USBメモリ、マウス、キーボード、プリンターなどがデバイスとして接続される。このホストとデバイスの関係は固定されており、例えばUSBメモリ同士を直接接続してデータをやり取りしたり、スマートフォンにUSBキーボードを直接接続して文字入力をしたりすることは、従来のUSB規格では不可能だった。これは、どちらの機器もホストとして振る舞う能力がなく、またどちらが主導権を握るかを決められないためである。
そこで、モバイルデバイスの普及に伴い、パソコンを介さずにデバイス同士を直接接続したいというニーズが高まった。このニーズに応えるために開発されたのがUSB OTGである。USB OTGの最大の特徴は、対応するデバイスが「ホストモード」と「デバイスモード」を動的に切り替えられる「デュアルロール」機能を持つ点にある。これにより、スマートフォンがUSBメモリを読み書きする際にはスマートフォンがホストとなり、スマートフォンをパソコンに接続してデータを転送する際にはスマートフォンがデバイスとなる、といった柔軟な運用が可能になる。
USB OTGを利用するには、OTGに対応したデバイスと、OTGに対応したケーブルまたはアダプターが必要となる。特に、Micro-USBコネクタの場合、OTGケーブルには通常のMicro-USBケーブルにはない「IDピン」と呼ばれる追加のピンが備わっている。このIDピンがコネクタ内で接地されているかどうかによって、接続されたデバイスは自分がホストとして振る舞うべきか、それともデバイスとして振る舞うべきかを判断する。具体的には、IDピンが接地されていればホストとして機能し、接地されていなければデバイスとして機能する。USB Type-Cコネクタの場合は、専用のIDピンは存在しないが、CCピン(Configuration Channel pin)と呼ばれる通信用のピンを通じて接続された機器の識別や役割の決定を行う仕組みが組み込まれており、OTGと同様のデュアルロール機能を実現している。
USB OTGの具体的な利用例は多岐にわたる。例えば、スマートフォンにUSBメモリやSDカードリーダーを接続し、写真や動画を直接バックアップしたり、保存されている文書ファイルを閲覧したりできる。また、USBキーボードやマウスをスマートフォンに接続して、より快適な文字入力や操作を行うことも可能である。デジタルカメラをスマートフォンに直接接続して、撮影した写真をパソコンを介さずにスマートフォンへ取り込むといった使い方も一般的だ。さらに、バッテリー残量の多いスマートフォンをホストとし、バッテリー残量の少ない別のスマートフォンや小型デバイスをデバイスとして接続し、給電を行うこともできる。
技術的な側面では、USB OTGは「Host Negotiation Protocol (HNP)」と「Session Request Protocol (SRP)」という二つのプロトコルを用いることで、ホストとデバイスの役割切り替えや通信セッションの確立を行う。HNPは、接続された二つのOTG対応デバイス間で、どちらがホストになるかを交渉するための仕組みであり、状況に応じてホストの役割を入れ替えることを可能にする。SRPは、接続されたデバイスが休止状態にあるホストデバイスに対し、セッションの開始を要求して活動状態に復帰させるための仕組みである。これらのプロトコルにより、モバイルデバイスの電力消費を抑えつつ、必要な時にだけホスト機能を利用できるようになった。
USB OTGの導入により、モバイルデバイスの利便性は飛躍的に向上し、ユーザーはパソコンなしで多様な周辺機器を活用できるようになった。しかし、全てのデバイスがOTGに対応しているわけではないこと、またホストとして機能するデバイスは電力供給も行うため、バッテリー消費が激しくなる可能性がある点には注意が必要である。現代ではUSB Type-Cコネクタの普及により、OTGという名称が前面に出ることは少なくなったが、そのデュアルロール機能はType-Cの標準機能として組み込まれており、モバイルデバイスの重要な機能の一つとして継承され続けている。