仮想プライベートネットワーク(ヴァーチャルプライベートネットワーク)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
仮想プライベートネットワーク(ヴァーチャルプライベートネットワーク)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
仮想プライベートネットワーク (バーチャルプライベートネットワーク)
英語表記
Virtual Private Network (バーチャルプライベートネットワーク)
用語解説
仮想プライベートネットワーク(VPN)とは、インターネットなどの公共ネットワーク上に、仮想的な専用線を作り、安全な通信を実現する技術のことだ。
概要としては、VPNは、本来誰でもアクセスできるインターネット回線を利用しながら、第三者による盗聴や改ざんを防ぎ、まるで専用線のようなセキュリティを確保する。企業が拠点間を接続したり、個人が自宅から会社のネットワークに安全にアクセスしたりする際に利用されることが多い。VPNを利用することで、場所を選ばずに、社内ネットワークに接続しているのと同じように、ファイル共有やアプリケーションの利用が可能になる。
詳細を説明する。VPNは、主に「トンネリング」「暗号化」「認証」という3つの要素技術で構成されている。
トンネリングは、データを送受信する際に、別のプロトコルを用いてデータをカプセル化する技術だ。例えるなら、手紙を封筒に入れて送るようなもの。元のデータ(手紙)を、別のプロトコル(封筒)で包み込むことで、外部からデータの内容を直接見られないようにする。VPNにおいては、このトンネルが仮想的な専用線の役割を果たす。
暗号化は、データを第三者が解読できないように変換する技術。トンネルを通るデータを暗号化することで、万が一、データが傍受されたとしても、内容を理解されるリスクを低減できる。暗号化方式には様々な種類があり、AES(Advanced Encryption Standard)やRSAなどが広く利用されている。暗号化の強度が高いほど、解読が困難になるが、処理にかかる負荷も増大する。
認証は、接続しようとしているユーザーやデバイスが、正当なアクセス権を持っているかどうかを確認するプロセス。IDとパスワードによる認証が一般的だが、よりセキュリティを高めるために、二要素認証やクライアント証明書などが用いられることもある。認証を厳格に行うことで、不正なアクセスを未然に防ぎ、ネットワークの安全性を維持する。
VPNには、大きく分けて「リモートアクセスVPN」と「拠点間VPN」の2種類がある。
リモートアクセスVPNは、従業員が自宅や外出先から会社のネットワークに安全にアクセスするために利用される。従業員は、VPNクライアントと呼ばれるソフトウェアを自分のPCやスマートフォンにインストールし、VPNサーバーに接続する。認証が完了すると、あたかも社内ネットワークに直接接続しているかのように、ファイルサーバーや社内システムを利用できるようになる。リモートワークの普及に伴い、リモートアクセスVPNの需要はますます高まっている。
拠点間VPNは、複数の拠点(支社や工場など)間を安全に接続するために利用される。各拠点にVPNルーターを設置し、VPNルーター同士がトンネルを構築することで、拠点間を流れるデータを暗号化し、安全な通信を実現する。拠点間VPNは、広帯域で安定した通信が必要となるため、専用線や広帯域回線を利用することが多い。
VPNを導入する際には、いくつかの注意点がある。まず、VPNサーバーの負荷分散を考慮する必要がある。同時接続数が増加すると、VPNサーバーの処理能力がボトルネックとなり、通信速度が低下する可能性がある。そのため、必要に応じてVPNサーバーを増強したり、負荷分散装置を導入したりする必要がある。
次に、VPNのセキュリティ設定を適切に行う必要がある。暗号化方式や認証方式の選択、ファイアウォールの設定など、セキュリティに関わる設定は慎重に行う必要がある。設定に不備があると、VPNのセキュリティ強度が低下し、第三者による不正アクセスを許してしまう可能性がある。
最後に、VPNの運用・管理体制を整備する必要がある。VPNサーバーの監視、ログの管理、セキュリティアップデートの適用など、VPNを安全かつ安定的に運用するためには、専門的な知識を持った担当者を配置することが望ましい。
VPNは、インターネットを利用した安全な通信を実現するための重要な技術。システムエンジニアを目指すなら、VPNの仕組みや種類、設定方法などをしっかりと理解しておくことが重要だ。近年では、クラウドサービスとの連携や、モバイルデバイスからのアクセスなど、VPNの利用形態も多様化しているため、最新の動向にも常に目を向けておく必要がある。