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【ITニュース解説】As Apple pursues AI, spare a thought for the poor HomePod

2025年09月11日に「Engadget」が公開したITニュース「As Apple pursues AI, spare a thought for the poor HomePod」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AppleのスマートスピーカーHomePodは、発売の遅れやSiriの機能不足が響き、市場で苦戦。AI技術がスマホなどへ統合される中、専用スピーカーの必要性が低下している。AppleがAI新製品を開発するにつれ、HomePodの存在感はさらに薄れると予想される。

ITニュース解説

AppleのスマートスピーカーであるHomePodの現状について解説する。最近のAppleのイベントでは、HomePodに関する新しい発表がほとんどなく、製品の将来性に疑問符が投げかけられている。この背景には、HomePodが市場に投入された当初からの課題と、近年のAI技術の急速な進化によるスマートスピーカー市場全体の変化がある。

HomePodは2017年6月に発表されたが、その約3年前にAmazonが最初のEchoスピーカーを発表していたことを考えると、市場参入が遅れていた。当時のスマートスピーカー市場は、すでにAmazonのEchoやGoogleのHome(現Nest Hubなど)が急速にシェアを広げ、ソノスのような専門メーカーも高品質なオーディオ製品で存在感を示していた。このような状況でHomePodが登場したため、後発としての不利は大きかった。

さらに、HomePodは高価格設定であり、Appleの音声アシスタントSiriの機能が当時の競合製品に比べて不十分だったことも、市場での成功を阻んだ要因である。スマートスピーカーの主要な価値の一つは音声アシスタントの利便性にあるため、Siriの性能不足はHomePodの魅力を大きく損ねた。その後、2020年後半にはHomePod Mini、2023年2月には第2世代HomePodが登場し、スマートホームの共通規格であるThreadへの対応などが追加されたが、これらは市場の期待を大きく超える革新的な機能とは言えなかった。製品が市場の変化に追いつかず、継続的なイノベーションを提供できなかったことは、HomePodの低迷の大きな理由と言える。

近年、AI技術、特に音声制御AIアシスタントの進化は目覚ましいものがある。しかし、その進化の方向性は、HomePodのような専用のスマートスピーカーを中心とするものから変化しつつある。AIは今や、スマートフォンやパソコンといった日頃から使うデバイスに深く統合され、よりパーソナルで多機能なアシスタントとして機能するようになっている。これにより、独立したスマートスピーカーという中間的なデバイスの必要性は薄れてきているのが現状だ。

このような市場の変化は、Apple自身のAI戦略の遅れと密接に関連している。AppleはSiriの大規模な刷新を以前から約束しているが、その新しい改善版の登場は早くても2026年春頃とされている。さらに、新しいAIアシスタントを核とした、HomePodのようなオーディオ機能を備えたインタラクティブなスマートホームハブの開発も進められているが、その製品のローンチは2027年以降と見込まれている。このように、Appleが次世代のAI技術を市場に投入するまでの期間が長く、その間、既存のSiriを中心としたスマートホームスピーカーであるHomePodに大きな開発リソースを割くことは、合理的な判断とは言えないのかもしれない。

しかし、この空白期間において、AppleがHomePodに対して何も手を打たなかったことが、製品の存在感をさらに薄れさせてしまったという見方もある。例えば、Siriの「スマート」な側面を一時的に控えめにし、高品質なオーディオ再生に特化したスピーカーとしてHomePodを位置づけることもできたかもしれない。AppleはAirPodsのようなオーディオ製品で高い評価を得ており、Appleエコシステム内でのシームレスな接続性という強みも持っている。この強みを活かし、スマート機能は限定的でも、高品質なサウンドと簡単な接続性を提供するホームスピーカーとしてアピールしていれば、次世代のAI製品が登場するまでの間も、消費者の関心をつなぎとめることができた可能性は否定できない。

HomePodの苦境は、Appleだけの問題ではない。最近のAIとホームテクノロジーのトレンドを見ると、専用のスマートスピーカーが輝く場所は少なくなってきている。AmazonやGoogleといった大手IT企業も、スマートスピーカーの製品ラインナップに以前ほど注力していないことがその証拠である。多くの企業が、オーディオ機能よりもAIそのもの、そしてそのAIを多機能なガジェットや汎用的なスマートホーム補助機能として統合することに焦点を移している。その結果、Engadgetなどの評価サイトで高い評価を得ているスマートスピーカーの多くは、ソノスのようなオーディオ専門メーカーの製品が占めるようになっている。これは、スマートスピーカーというカテゴリーが、独立した製品から、他のデバイスに組み込まれる機能へと変化していることを明確に示している。

現時点では、AppleがHomePodの製造や販売を中止するとの公式な発表はない。しかし、筆者の個人的な見解としては、HomePodは今後も製品ラインナップの脇役にとどまり、Appleが新しいスマートホーム製品やAI関連のデバイスを発表する際には、さらにスポットライトから遠ざけられる可能性が高いと予測されている。そして、最終的には、公には発表されない形で、静かに製品としての生命を終えることになるかもしれない。HomePodは、その潜在能力を十分に発揮する機会を得られなかった、不運な製品として記憶されることになるだろう。

HomePodの事例は、システムエンジニアを目指す上で重要な教訓を示している。市場のニーズを正確に把握すること、競合他社の動向を常に意識すること、そして技術の進化に迅速に対応し、製品に継続的なイノベーションを組み込むことの重要性である。どんなに優れた技術を持つ企業でも、これらの要素を見誤れば、製品が市場で成功を収めることは難しい。AIのような急速に進化する分野では特に、製品のコンセプトや役割が短期間で大きく変わる可能性があるため、常に将来を見据えた戦略と柔軟な対応が求められる。

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