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【ITニュース解説】A Beginner’s Guide to Channel Attribution Modeling in Marketing (with Markov Chains and an R Case Study)

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「A Beginner’s Guide to Channel Attribution Modeling in Marketing (with Markov Chains and an R Case Study)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

顧客の購買経路にある複数の接点(チャネル)がどれだけ購入に貢献したかを評価する「チャネルアトリビューションモデリング」を解説。マルコフ連鎖を使い、R言語で各チャネルの貢献度をデータ分析・可視化する手法を示す。これにより、マーケティング予算を効果的に配分し、ROIを最大化できる。

ITニュース解説

現代のデジタル社会では、私たちが何か商品やサービスを購入する際、たった一度の接触で決めることはほとんどない。インターネットで情報検索をしたり、SNSで口コミを見たり、友人に相談したり、実店舗で実物を確認したりと、購入に至るまでに様々な場所(これを「チャネル」と呼ぶ)に触れている。特にオンラインでの買い物では、こうした顧客の行動経路がデータとして残りやすいため、どのチャネルが顧客の購買意欲を高め、最終的な購入につながったのかを正確に把握することが、企業にとって非常に重要になっている。

企業がマーケティング予算を効果的に使うためには、どのチャネルにどれだけ投資すべきかを見極める必要がある。しかし、多くの企業は、顧客が実際に購入ボタンを押す直前に触れたチャネルばかりに注目しがちだ。購入に至るまでの最初や途中の段階で顧客に影響を与えたチャネルの重要性を見落としてしまうことがある。このような全体像を捉え、顧客が通ったすべてのチャネルの貢献度を公平に評価する考え方を「マルチチャネルアトリビューションモデリング」と呼ぶ。

チャネルアトリビューションとは、顧客の購買ジャーニー(旅路)における各接点に、どれくらいの「貢献度」を与えるかを決めるルールのようなものだ。例えば、ごくシンプルなモデルとして「ラストインタラクションモデル」がある。これは、購入直前に顧客が触れた最後のチャネルに、貢献度の100%を割り当てる考え方だ。逆に「ファーストインタラクションモデル」は、顧客が最初に触れたチャネルに100%の貢献度を与える。しかし、実際には途中のチャネルも購入に影響を与えているため、これらのシンプルなモデルでは真の貢献度を見誤る可能性がある。

そこで登場するのが、「マルコフ連鎖」という考え方だ。マルコフ連鎖は、ある状態から別の状態へ確率的に移り変わる様子を数学的にモデル化したものだ。このモデルには三つの要素がある。一つは「状態空間」で、これは顧客が触れる可能性のあるすべてのチャネルが該当する。二つ目は「遷移確率」で、これはあるチャネルにいる顧客が、次にどのチャネルへ移動するかという確率のことだ。三つ目は「現在状態分布」で、これは旅路の開始時点で顧客がどのチャネルにいる可能性が高いかを示す。顧客の購買ジャーニーは、マルコフ連鎖に似ている。なぜなら、顧客が次にどのチャネルに移動するかは、現在のチャネルにのみ依存し、それまでにどのような経路をたどってきたかには直接的には影響されない、と考えることができるからだ。

マルコフ連鎖をマーケティングアトリビューションに応用すると、「除去効果(Removal Effect)」という分析ができる。これは、ある特定のチャネルが、全体のコンバージョン(購入や申し込みなどの目標達成)にどれだけ貢献しているかを測る非常に実践的な方法だ。具体的には、分析モデルからそのチャネルを一時的に「取り除いて」みて、コンバージョン率がどれだけ減少するかを計算する。もし、あるチャネルを取り除いたときにコンバージョン率が大きく下がれば、そのチャネルは顧客の購買行動において非常に重要な役割を果たしていると判断できる。逆に、ほとんど変化がなければ、そのチャネルの貢献度は相対的に低いと言えるだろう。このように、チャネル間の移動確率や、特定のチャネルが失われたときの影響を数値で評価することで、よりデータに基づいた意思決定が可能になる。

実際に、あるEC企業が顧客の購買ジャーニーを理解するために、このマルコフ連鎖モデルを活用したケーススタディがある。この企業は、顧客が商品を購入するまでに触れた19種類のチャネルと、最終的な結果(デバイス選択、購入完了、未決定)に関するデータを収集した。チャネルには、企業のウェブサイト、競合サイト、リサーチレポート、オンラインレビュー、価格比較サイト、SNS、実店舗など多岐にわたるものが含まれていた。この企業が直面した課題は、限られたマーケティング予算を、どのチャネルに投じるのが最も効果的か、というものだった。

この課題を解決するために、統計解析ソフトウェアのRを使ってデータを分析した。まず、収集した生データをきれいに整理し、顧客がたどったチャネルの経路(パス)を作成した。そして、そのパスごとにどれくらいのコンバージョンがあったかを数えた。次に、分析モデルを適用する。ここでは、ファーストタッチ、ラストタッチ、リニア(各チャネルに均等に貢献度を割り振る)といった経験則に基づいた簡単なモデルと、マルコフ連鎖モデルの両方を用いた。マルコフ連鎖モデルでは、先述の除去効果を計算することで、各チャネルの真の貢献度を評価した。

これらのモデルを適用した結果、いくつかの重要な洞察が得られた。例えば、顧客が最初に触れるチャネルとしては特定のものが重要であること、購入直前のチャネルとしては「意思決定」段階を示すチャネルが圧倒的に重要であることなどが明らかになった。さらに、マルコフ連鎖モデルによる分析と総合すると、特定の複数のチャネル(例えばチャネル10、13、20、4、9)が、顧客の購買ジャーニー全体を通して、常に重要な役割を果たしていることが浮き彫りになった。

このケーススタディを通じて、マルコフ連鎖モデリングが、各チャネルがコンバージョンにどのように貢献しているかをデータに基づいて深く理解するための非常に強力なフレームワークであることが示された。このような分析から得られる洞察は、EC企業にとって非常に価値がある。どのチャネルが本当に効果的なのかを明確にすることで、マーケティング予算をより賢く配分し、無駄を減らし、最適なチャネルに集中して投資できるようになる。最終的には、企業のマーケティング戦略をより効果的なものに変え、投資対効果(ROI)を最大化することに繋がるだろう。データに基づいたこのような意思決定は、現代のシステムエンジニアがビジネスに貢献するために理解しておくべき重要な考え方の一つだ。

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