アロケーション(アロケーション)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アロケーション(アロケーション)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

配分 (ハイブン)

英語表記

allocation (アロケーション)

用語解説

アロケーションとは、コンピュータシステムが持つ限りある資源(リソース)を、特定のプログラムや処理(プロセス)、あるいは利用者に割り当てる行為そのもの、またはその仕組みを指す言葉である。IT分野における「割り当て」や「配分」と理解すると良い。コンピュータが持つメモリ、CPUの処理能力、ハードディスクの記憶領域といった資源は有限であり、現代のコンピュータでは複数のプログラムが同時に動作するのが一般的である。そのため、これらの限られた資源をどのプログラムに、どれだけ、いつ割り当てるのかを適切に管理する必要がある。この資源管理の中核をなす概念がアロケーションであり、システムの性能や安定性を左右する極めて重要な要素である。システムエンジニアは、このアロケーションの仕組みを深く理解することで、効率的で信頼性の高いシステムを設計、構築、運用することが可能となる。

アロケーションの対象となる資源は多岐にわたるが、最も代表的なものはメモリのアロケーションである。メモリはプログラムが動作するための一時的な作業領域であり、その割り当て方にはいくつかの方式が存在する。一つは静的メモリアロケーションと呼ばれる方式だ。これは、プログラムが実行される前、コンパイルの時点で確保するメモリのサイズと場所が決定される。グローバル変数や静的変数がこれに該当し、プログラムの実行開始から終了まで同じメモリ領域を保持し続ける。実行中の割り当て処理が不要なため高速に動作する利点があるが、一度確保した領域のサイズを実行中に変更することはできず、必要以上に確保すると無駄が生じ、逆に不足するとプログラムが正常に動作しないという欠点を持つ。

これに対して、動的メモリアロケーションは、プログラムの実行中に必要に応じてメモリを確保し、不要になった時点で解放する方式である。ヒープと呼ばれるメモリの共有領域から、必要なサイズの領域を割り当てる。この方式の利点は、実行時の状況に応じて柔軟にメモリ量を調整できるため、資源を効率的に利用できる点にある。しかし、メモリの確保と解放をプログラマ自身が明示的に管理する必要があるため、解放を忘れるとメモリリークという問題を引き起こす。メモリリークは、確保されたまま解放されないメモリ領域が蓄積し、最終的にシステム全体で利用可能なメモリが枯渇して動作不安定や停止に至る原因となる。したがって、動的アロケーションを用いる際は、細心の注意を払ったプログラミングが求められる。また、関数呼び出し時に自動的にメモリが確保され、関数の処理が終了すると自動的に解放されるスタックアロケーションという方式もあり、これは主にローカル変数などに用いられる。

次に、CPUのアロケーションについて説明する。これは、CPUの計算処理能力という資源を、実行中の複数のプロセスやスレッドにどのように分配するかという問題である。オペレーティングシステム(OS)に搭載されているスケジューラという機能がこの役割を担う。多くのOSでは、タイムスライス方式が採用されており、非常に短い時間単位でCPUの使用権を次々と異なるプロセスに切り替えていく。これにより、利用者から見るとあたかも複数のプログラムが同時に並行して実行されているかのように見える、いわゆるマルチタスクが実現される。スケジューラは、各プロセスの優先度(プライオリティ)を考慮し、より重要な処理には多くのCPU時間を割り当てるなど、複雑な制御を行っている。

ストレージのアロケーションも重要な概念である。これは、ハードディスクやSSDといった記憶装置の領域を、ファイルやディレクトリに割り当てることを指す。ファイルシステムがこの管理を担当しており、記憶領域をブロックやクラスタといった一定の大きさの単位に分割し、どのファイルがどのブロックを使用しているかといった情報を管理テーブルで記録している。ユーザーが新しいファイルを作成すれば、ファイルシステムは空いているブロックを探してそのファイルに割り当て、ファイルを削除すれば、割り当てられていたブロックを解放して再利用可能な状態に戻す。このように、ファイルの生成、変更、削除の裏では、常にストレージのアロケーションと解放の処理が行われているのである。

その他にも、ネットワークにおけるIPアドレスのアロケーションがある。DHCPサーバーがネットワークに接続してきたコンピュータに対し、利用可能なIPアドレスを動的に割り当てるのがその一例である。また、クラウドコンピューティングの世界では、仮想マシンを作成する際にCPUのコア数、メモリサイズ、ストレージ容量といったコンピューティングリソースを割り当てる行為もアロケーションと呼ばれる。このように、アロケーションはコンピュータシステムのあらゆる階層で機能しており、限られた資源を最大限に活用するための根幹的な仕組みと言える。システムエンジニアにとって、これらのアロケーションの挙動を理解することは、パフォーマンスの最適化や障害発生時の原因究明において不可欠な知識である。

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