【ITニュース解説】【AWS】「あなたはトラフィック通信を制御したいと考えています。」←いいえ
2025年09月04日に「Qiita」が公開したITニュース「【AWS】「あなたはトラフィック通信を制御したいと考えています。」←いいえ」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
AWS資格勉強で「仮想サーバーへの外部からの通信制御」に直面し、初心者には意味が不明で戸惑う。記事は、その疑問を解消するため試行錯誤し、調べて理解を深めるまでの学習プロセスを紹介する。
ITニュース解説
AWSの資格勉強を進める中で、「あなたはAmazon EC2インスタンスへの外部PCからのトラフィック通信を制御したいと考えています。」という一文に出会い、その意味が分からず困惑するケースは少なくない。この一文がなぜ提示され、どのような意味を持つのか、システムエンジニアを目指す初心者が理解できるよう、その背景を解説する。
まず、Amazon EC2インスタンスとは何かを理解する必要がある。AWS(Amazon Web Services)は、インターネットを通じてコンピューティングサービスを提供するクラウドプラットフォームであり、EC2はその中核をなすサービスの一つである。EC2は「Elastic Compute Cloud」の略称で、簡単に言えば、インターネット上で利用できる仮想的なコンピューター、すなわち仮想サーバーのことだ。物理的なサーバーを購入したり設定したりすることなく、必要な時に必要な性能のサーバーをAWSのデータセンター上に用意し、利用できる。ウェブサイトを公開したり、アプリケーションを動かしたり、データを処理したりするための基盤として広く使われている。
次に、「外部PCからのトラフィック通信」という言葉に注目する。トラフィックとは、ネットワーク上を行き交うデータの総量を指す。私たちがインターネットを使ってウェブサイトを閲覧したり、メールを送受信したりするとき、自分のPCとインターネット上のサーバーとの間でデータがやり取りされている。このデータの流れがトラフィック通信である。EC2インスタンスがインターネットに接続された仮想サーバーである以上、世界中の様々なPCやサーバーとデータのやり取りを行うことになる。例えば、私たちがウェブブラウザからEC2インスタンス上で動作するウェブサイトにアクセスすれば、私たちのPCからEC2インスタンスへデータが送られ(リクエスト)、EC2インスタンスからウェブサイトのコンテンツデータが返ってくる(レスポンス)といった通信が発生する。
そして、最も重要なのが「制御したいと考えています」という部分である。なぜ、EC2インスタンスへの外部からの通信を制御する必要があるのか。これは、情報セキュリティの観点から極めて重要な考え方である。インターネットに接続されたEC2インスタンスは、常に外部からのアクセスに晒されている。中には、悪意を持った第三者が不正にアクセスしようとする試みや、システムに損害を与えようとする攻撃もある。もし、EC2インスタンスへのすべての通信を無制限に許可してしまうと、システムが攻撃の標的となり、情報漏洩やサービス停止などの重大な被害につながる可能性がある。
そこで、「通信を制御する」という考え方が登場する。これは、EC2インスタンスが必要とする通信のみを許可し、それ以外の不要な、あるいは危険な通信はすべてブロックするという考え方である。例えるなら、家の入り口にいる警備員が、身元の確かな来訪者だけを中に通し、不審者はすべてシャットアウトするようなものだ。これにより、EC2インスタンスのセキュリティレベルを高め、安全に運用することが可能になる。
AWSでは、この「トラフィック通信の制御」を実現するための主要な機能として、「セキュリティグループ」を提供している。セキュリティグループは、EC2インスタンスに対して設定する仮想的なファイアウォールのようなものであり、どのIPアドレスから、どのプロトコル(例えばHTTP、HTTPS、SSHなど)、どのポート番号への通信を許可するかを細かくルールとして定義できる。
例えば、ウェブサイトを公開するEC2インスタンスであれば、世界中のユーザーからのウェブサイト閲覧(HTTPプロトコル、ポート番号80、またはHTTPSプロトコル、ポート番号443)のための通信は許可する必要がある。しかし、サーバーの管理目的でSSH(Secure Shell)プロトコル、ポート番号22を利用した通信は、特定の管理者PCのIPアドレスからのみ許可し、それ以外のIPアドレスからはすべてブロックするといった設定が可能になる。これにより、不正なユーザーがSSHを通じてサーバーに侵入しようとする試みを防ぐことができる。
「あなたはAmazon EC2インスタンスへの外部PCからのトラフィック通信を制御したいと考えています。」という一文は、このセキュリティグループの概念と、サーバーをインターネットに公開する上で不可欠なセキュリティ対策の重要性を問うているのだ。最初は抽象的で意味が分かりにくいかもしれないが、EC2インスタンスという仮想サーバーが存在し、それがインターネットとつながっており、その通信を適切に管理することが自身のシステムを守るために必要である、と理解すれば、この問いかけの意図が見えてくるはずだ。
システムエンジニアを目指す上で、このようなセキュリティに関する基本的な考え方と、それを実現するためのAWSのサービス(ここではセキュリティグループ)の知識は非常に重要である。この一文は、単なる知識の確認ではなく、システムを安全に運用するための思考の入り口となる問いかけなのである。このような専門的な問いに直面した際には、それがどのような具体的な機能やサービスに結びついているのかを深掘りして調べていくことが、理解を深めるための鍵となるだろう。