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【ITニュース解説】Azure AI Searchの検索手法を比べてみた

2025年09月18日に「Zenn」が公開したITニュース「Azure AI Searchの検索手法を比べてみた」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

日本マイクロソフトのインターン生が、クラウドサービス「Azure AI Search」の概要を解説し、その多様な検索手法を比較検証する。システムエンジニア志望者が、クラウド上の高度な検索機能の仕組みや活用方法を理解するのに役立つ内容だ。

ITニュース解説

Azure AI Searchは、Microsoftが提供するクラウドサービスの一つで、私たちが普段利用しているWebサイトの検索機能や、社内文書の検索システムのような、高度な検索機能を簡単に開発できるように支援するサービスである。以前はAzure Cognitive Searchという名前だったが、AI技術との連携が強化され、現在の名前に変更された。このサービスを使えば、大量のドキュメントの中から目的の情報を見つけ出すための仕組みを、ゼロから自分で作る必要がなく、効率的に実現できる。

具体的には、Webページ、PDFファイル、画像など様々な形式の情報をAzure AI Searchに取り込むと、サービスがそれらの内容を解析し、「インデックス」と呼ばれる検索用のデータベースを自動的に作成する。このインデックスがあることで、ユーザーが検索クエリ(検索したい言葉)を入力した際に、素早く関連性の高い情報を探し出すことができるのだ。Azure AI Searchは、単にキーワードが一致するかどうかだけでなく、AIの力を活用して、より賢く、より人間の意図に近い検索結果を返すことができるようになっている。

検索手法にはいくつかの種類があり、それぞれ得意なことと苦手なことがある。主なものとして、「キーワード検索」「セマンティック検索」「ベクトル検索」、そしてこれらを組み合わせた「ハイブリッド検索」がある。

まず、最も基本的な「キーワード検索」について説明する。これは、私たちが検索エンジンを使うときによく利用する、入力された単語がドキュメントの中に含まれているかどうかを調べる方法である。例えば、「人工知能」と検索すれば、その単語を含む文書が結果として表示される。この方法は処理が高速で、特定の単語やフレーズが明確に分かっている場合に非常に有効だ。しかし、表現が少し違うだけの類義語や、単語自体は含まれていなくても意味的に関連性の高い情報を見つけ出すのは苦手である。例えば、「AI」と検索しても「人工知能」という言葉しか含まれていない文書はヒットしない、といったケースがこれに当たる。文脈や言葉の裏にある意味までは読み取ることができないため、長文の質問や曖昧な意図の検索には向かないという弱点がある。

次に、「セマンティック検索」を見てみよう。これは、キーワード検索の弱点を克服するために登場した、より高度な検索手法である。セマンティック(semantic)とは「意味論」を意味し、この検索は単語の表面的な一致だけでなく、言葉の「意味」や「文脈」を理解しようとする。大規模言語モデル(LLM)といった最先端のAI技術を利用して、ユーザーがどのような意図で検索しているのかを推測し、その意図に最も合致する情報を探し出す。例えば、「新入社員が最初に読むべきドキュメントは?」といった自然な文章で質問しても、関連性の高い入社案内や研修資料などを適切に探し出すことができる。キーワード検索では単語の羅列でしか検索できなかったものが、まるで人間に話しかけるように質問し、それに答えてもらえるような感覚で情報を得られるのがセマンティック検索の大きな特徴だ。質問応答システムやFAQサイトなど、ユーザーが自然な言葉で問い合わせるような場面で特に威力を発揮する。

そして、「ベクトル検索」は、近年注目されている非常に強力な検索手法である。これは、テキスト、画像、音声など、あらゆる種類の情報を「ベクトル」と呼ばれる数値の羅列に変換することから始まる。このベクトルは、それぞれの情報が持つ意味や特徴を数値で表現したもので、意味的に似ている情報は、ベクトル空間という抽象的な空間上で互いに近い場所に配置される。例えば、「犬」と「子犬」のベクトルは近くに、「猫」のベクトルも犬のベクトルに近いが、「自動車」のベクトルは大きく離れる、といったイメージだ。ユーザーが検索クエリを入力すると、そのクエリもベクトルに変換され、インデックス内のドキュメントベクトルの中で、最も近い位置にあるものを検索結果として返す。この「近さ」を測ることで、単語が直接一致しなくても、意味的に関連性の高い情報を効率的に見つけ出すことができる。

ベクトル検索では、長い文書を意味のある小さな塊(「チャンク」と呼ぶ)に分割し、それぞれのチャンクをベクトル(「エンベディング」と呼ぶ)に変換するプロセスが重要になる。これにより、文書全体でなく、質問に関連する部分だけを効率的に検索し、より的確な回答を得られるようになる。多言語対応にも強く、例えば日本語で入力されたクエリに対して、英語で書かれた意味の近いドキュメントを見つけ出すことも可能になる。

最後に、「ハイブリッド検索」は、これまでの検索手法の良いとこ取りをする方法である。具体的には、キーワード検索とベクトル検索を同時に実行し、それぞれの結果を組み合わせて最終的な検索結果を生成する。キーワード検索の持つ速度と特定の単語に対する網羅性、そしてベクトル検索の持つ意味理解と関連性評価の能力を合わせることで、より高精度で包括的な検索体験を提供できる。例えば、特定の製品名(キーワード)を含みつつ、かつユーザーの質問の意図(ベクトル)に最も合致する資料を探す、といった高度な検索が可能になる。

Azure AI Searchは、これらの先進的な検索手法を、開発者が複雑なロジックを自分で実装することなく、簡単にアプリケーションに組み込めるように提供している。システムエンジニアを目指す上で、このようなクラウドサービスを理解し、適切に活用するスキルは非常に重要だ。これにより、検索機能の開発にかかる時間と労力を大幅に削減し、ユーザーにとってより便利で直感的な情報アクセスを実現できる強力なツールとして、Azure AI Searchは多くの場面でその価値を発揮するだろう。各検索手法の特性を理解し、どのような目的でどの手法を用いるべきかを判断する能力が求められる。

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