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【ITニュース解説】The enshitification of Duolingo continues

2025年09月16日に「Medium」が公開したITニュース「The enshitification of Duolingo continues」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Duolingoのサービス品質が継続的に低下していると指摘されている。これはAI技術の導入と関連しており、ユーザー体験の悪化を招いている可能性がある。無料サービスの維持と収益化の間で、企業がどのようにバランスを取るべきかという課題を示唆している。

出典: The enshitification of Duolingo continues | Medium公開日:

ITニュース解説

Duolingoは、語学学習アプリとして世界中で多くの利用者を抱えているが、最近そのサービスの質が低下しているのではないかという議論が起きている。この現象は「enshitification(エンシットフィケーション)」と呼ばれ、オンラインプラットフォームが本来の目的から逸脱し、ユーザー体験を犠牲にして収益を最大化しようとするプロセスを指す言葉だ。Duolingoもこの「enshitification」の道を歩んでいるのではないか、という指摘がされている。

具体的にDuolingoで何が起きているのかというと、まず無料版のユーザー体験が著しく悪化している点だ。以前は、間違いを気にせずに無制限でレッスンを続けられる「ライフ」機能があったが、現在はこれが5つに制限されている。もし5回以上間違えると、レッスンの続行には広告を見るか、課金してライフを回復するしかなくなる。これは、ユーザーが学習に集中するのを妨げ、意図的にストレスを与えることで有料版への移行を促す仕組みと見られている。

さらに、広告の表示頻度と長さも増加している。無料版のユーザーは、レッスンの合間やライフが尽きた際に、以前よりも頻繁に、そして長い広告を見せられることになった。これも、学習体験を阻害し、ユーザーを苛立たせる要因となっている。広告はサービスの収益源の一つではあるが、そのバランスを誤ると、ユーザーはサービスそのものから離れてしまう可能性がある。

また、アプリのユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)にも、ユーザーの学習意欲を削ぐような変更が加えられているという指摘がある。例えば、集中して学習している最中に「休憩が必要だ」「モチベーション維持のため」といった理由でレッスンが強制的に中断され、アプリ内の他の機能を見るように促されることがある。これは、学習の流れを断ち切り、ユーザーが本当に求めている「集中して学ぶ」という体験から遠ざける行為と言える。これらの変更は、ユーザーを無料版のストレスから解放してくれる有料版「Super Duolingo」や「Duolingo Max」へのアップグレードへと誘導するための戦略として機能していると考えられる。

有料版の「Super Duolingo」では、広告なしで無制限のライフが提供され、よりスムーズな学習体験が可能となる。さらに上位版の「Duolingo Max」では、最新のAI技術を活用した機能が追加されている。例えば、AIがロールプレイの相手をしてくれたり、間違った部分についてAIが詳細な説明を提供してくれたりする。これらのAI機能自体は、学習をより効果的にする可能性を秘めているが、無料版の体験を意図的に悪化させた上で、これらの魅力的なAI機能を有料版限定とすることで、ユーザーを課金へと強く誘導する意図が見て取れる。

この一連の変化は、Duolingoがかつて掲げていた「教育を無料にする」というミッションから、収益の最大化へとその優先順位を移していることを示唆している。企業が存続し、成長するためには収益を上げる必要があるのは当然だが、そのためにユーザー体験を犠牲にする手法は、長期的に見てユーザーの信頼を失い、サービスの魅力を低下させるリスクをはらんでいる。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このDuolingoの事例は、プロダクト開発における重要な教訓となるだろう。まず、UI/UXデザインの重要性を改めて認識することが大切だ。ユーザーがストレスなく、快適にサービスを利用できるように設計することは、サービスの成功に不可欠である。しかし、Duolingoの事例のように、意図的にUI/UXを悪化させることで、ビジネス上の特定の目標(この場合は有料版への誘導)を達成しようとする戦略も存在するという事実も理解しておく必要がある。これは、エンジニアとして技術を追求するだけでなく、その技術がどのようにユーザーに利用され、ビジネスに貢献するのかという視点を持つことの重要性を示している。

また、AI技術の導入についても考えるべき点がある。Duolingo Maxに搭載されたAI機能は、最新技術を取り入れた先進的な試みではあるが、それが本当にユーザーの学習効果を最大化しているのか、それとも単に「流行のAI」を搭載して有料版の価値を高めているだけなのかという問いを立てる必要がある。システムエンジニアは、新しい技術を導入する際に、その技術がユーザーにとって本当に価値のあるものなのか、そしてそれがサービスの核となる体験を向上させるのか、という本質的な問いを常に持ち続ける必要があるだろう。

さらに、フリーミアムモデル(無料と有料の組み合わせ)を設計する難しさも浮き彫りになっている。無料版でユーザーを獲得し、有料版で収益を上げるというモデルは一般的だが、無料版の魅力をどこまで維持し、どこから有料版への移行を促すのかというバランスは非常に繊細だ。無料版をあまりにも劣化させると、ユーザーは離れてしまい、有料版へのアップグレード以前にサービスの利用をやめてしまう可能性がある。長期的な視点に立ち、ユーザー基盤を維持しつつ収益を上げていくための戦略は、技術的な側面だけでなく、ビジネス戦略、マーケティング、そしてユーザー心理の深い理解が求められる領域だ。

Duolingoの「enshitification」は、単なる一つのアプリの問題として片付けることはできない。これは、デジタルプラットフォームが直面する普遍的な課題、つまり短期的な収益追求と長期的なユーザー価値提供のジレンマを象徴している。システムエンジニアとしてサービス開発に携わる際には、常にユーザーの視点を忘れず、技術が本当にユーザーの生活を豊かにするために使われているか、そしてビジネス目標とユーザー満足度のバランスをどのように取るべきかを深く考えることが求められる。

この事例は、プラットフォームを設計・開発する者にとって、いかにユーザー体験を重視し、信頼関係を築き続けることがサービスの持続的な成功に不可欠であるかを教えてくれる。技術的な実現可能性だけでなく、それがユーザーに与える影響や、サービスの理念との整合性といった幅広い視点を持って取り組むことが、これからのシステムエンジニアにはますます重要となるだろう。

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