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【ITニュース解説】イラスト・マンガ創作部「みんなで同時にイラストをラクガキ」きゃぱすday2025夏アフターレポート

2025年09月15日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「イラスト・マンガ創作部「みんなで同時にイラストをラクガキ」きゃぱすday2025夏アフターレポート」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

イラスト・マンガ創作部が2025年8月9日に茨木市で開催した「みんなで同時にイラストをラクガキ!」イベントのアフターレポート。複数人でリアルタイムにイラストを描くお絵かきチャット交流体験の様子を伝えている。

ITニュース解説

ニュース記事は、2025年8月9日に開催されたイラスト・マンガ創作部のイベント「みんなで同時にイラストをラクガキ!」のお絵かきチャット交流体験イベントのアフターレポートである。このイベントは、一見すると参加者が集まって絵を描き交流する楽しそうな企画に見えるが、その裏側には複雑なIT技術が駆使されている。システムエンジニアを目指す者にとって、このような体験イベントの仕組みを理解することは、技術がどのように実社会で活用され、人々の活動を支えているのかを知る良い機会となる。

まず、「みんなで同時にイラストをラクガキ!」というコンセプトに注目する。これは複数の参加者が、インターネットを通じて同じデジタルキャンバスに同時に絵を描くという機能である。この「同時に」という点が、システムエンジニアリングの観点から非常に興味深い。通常のウェブサイトでは、ユーザーが操作した内容は一度サーバーに送信され、その結果がウェブページとして表示されるという流れが一般的だが、同時に絵を描くというリアルタイム性を実現するためには、より高度な通信技術が必要となる。

ここで活躍するのが「リアルタイム通信」と呼ばれる技術だ。代表的なものにWebSocketがある。これは、ウェブブラウザとサーバー間で一度接続を確立すると、その後はサーバーとクライアント間で双方向のデータ送受信を継続的に行えるようにする技術である。通常のHTTP通信のように、リクエストとレスポンスの繰り返しではなく、常に接続状態を保つことで、ユーザーが描いた線の一本一本や、選択した色、ブラシの太さといった情報を瞬時にサーバーへ送り、それをまた瞬時に他の参加者のブラウザへと配信することが可能になる。

具体的には、ある参加者がペンで線を描くと、その描画情報(線の始点と終点の座標、色、太さなど)がその参加者のブラウザからWebSocketを通じてイベントサーバーに送られる。サーバーはその描画情報を受け取ると、リアルタイムで他の全ての参加者のブラウザにその情報をブロードキャスト(一斉送信)する。これにより、他の参加者の画面にも、まるで同じ部屋にいるかのように、描かれた線が即座に表示されるのだ。この一連の処理が高速に行われることで、「同時にラクガキ」という体験が成り立っている。

また、「お絵かきチャット交流体験イベント」という説明から、描画機能だけでなくチャット機能も備わっていたと推測できる。チャットも同様にリアルタイム通信の技術が不可欠である。参加者が入力したメッセージがサーバーを経由して他の参加者に瞬時に届く仕組みは、描画データのリアルタイム共有と非常に似ている。テキストデータは描画データに比べてデータ量が少ないため、技術的な負荷は比較的低いが、それでも多くの人が同時に活発にチャットを行う場面では、サーバーのスケーラビリティ(拡張性)や安定性が重要となる。

これらの機能を実現するためには、単にリアルタイム通信の技術だけでなく、ウェブアプリケーション全体の設計も重要だ。参加者が操作する画面は「フロントエンド」と呼ばれる部分で、JavaScriptやHTML、CSSといった技術で開発される。そして、描画データやチャットメッセージの受け渡し、保存、ユーザー管理といった裏側の処理を行うのが「バックエンド」である。バックエンドは、Ruby on Rails、PythonのDjango/Flask、Node.js、JavaのSpringといった様々なプログラミング言語やフレームワークを用いて構築され、データは「データベース」に保存される。データベースには、描画の履歴、チャットログ、参加者のアカウント情報などが格納され、サービスの永続性(データが失われないこと)を保証する。

イベントの開催場所が「茨木市『おにクル』」と記載されていることから、もしかしたらオフラインの会場で参加者が各自のデバイスを使ってオンラインのお絵かきチャットサービスにアクセスする形式だったのかもしれない。もしそうであれば、会場内の安定したネットワークインフラの提供もシステムの安定稼働に寄与する重要な要素となる。インターネット接続が不安定であれば、どれだけ素晴らしい描画システムがあっても、参加者は快適に利用できないだろう。

システムエンジニアの役割は、単にこれらのシステムを開発するだけではない。イベントの企画段階から関わり、どのような機能が必要か、どれくらいのユーザー数を見込むかといった「要件定義」を行う。そして、開発したシステムが本番環境で問題なく動作するかを検証する「テスト」、特に多数のユーザーが同時に利用した場合の負荷に耐えられるかを確認する「負荷テスト」は非常に重要である。イベント本番中には、システムが安定稼働しているかを監視し、万が一トラブルが発生した場合には迅速に対応する「運用・保守」の業務も発生する。

今回のイベントは「アフターレポート」として公開されている。これはイベント終了後に、その結果や参加者の反応、システムがどのように機能したかなどを振り返り、次に活かすための分析を行うことを意味する。システムエンジニアにとって、このアフターレポートは、開発したシステムのパフォーマンスやユーザーからのフィードバックを収集し、今後の改善点を見つける貴重な情報源となる。例えば、特定の時間帯にシステムの応答が遅くなった、特定の機能でエラーが発生したといった問題点が洗い出されれば、それらを分析し、システムの改良へとつなげていくのだ。

このように、イラストを描くというクリエイティブなイベントの裏側には、システムエンジニアの多岐にわたる仕事が隠されている。リアルタイム通信、ウェブアプリケーション開発、データベース管理、ネットワークインフラ、そして開発から運用、改善までのライフサイクル全体にわたる知識とスキルが求められる。システムエンジニアを目指す初心者にとって、このような身近なイベントを題材に、裏側で動く技術やエンジニアの役割について想像を巡らせることは、非常に実践的で有意義な学習経験となるだろう。技術は単体で存在するのではなく、常に人々の活動や体験を豊かにするために連携し、機能していることを理解することが、優れたシステムエンジニアへの第一歩となる。

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