Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】【Illustrator】【効率化】Geminiと一緒にIllustratorのスクリプトを作ってみた

2025年09月28日に「Qiita」が公開したITニュース「【Illustrator】【効率化】Geminiと一緒にIllustratorのスクリプトを作ってみた」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Illustratorでの作業効率化を目指し、AI「Gemini」を活用してスクリプトを作成した。AIがプログラミングをサポートする実例として、手作業を減らしデザイン作業をスムーズにする方法を紹介している。

ITニュース解説

この記事は、グラフィックデザインソフトウェアのIllustrator(イラストレーター)における特定の作業を効率化するため、人工知能(AI)であるGeminiを活用してスクリプトを作成した事例を紹介している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、プログラミングや自動化、そして現代におけるAIとの協業の可能性を理解するための良い参考になるだろう。

まず、Illustratorとは、Adobe社が提供するベクターグラフィックソフトウェアである。ポスターやロゴ、イラスト、アイコンなど、拡大しても画質が劣化しないグラフィックを作成する際に広く用いられる。写真編集ソフトウェアとは異なり、線や図形を数学的に表現するため、精度の高いデザイン作業に適している。

次に、スクリプトとは何か。これは、特定のソフトウェア内で自動化したい一連の操作を記述した小さなプログラムのことである。例えば、Illustratorで複数のオブジェクトに対して同じ操作を繰り返し行いたい場合、手動で一つずつ作業するのは非常に手間がかかる上に、ヒューマンエラーの原因にもなる。そこでスクリプトを使うと、その一連の操作を自動で実行させることが可能になり、作業の効率化と正確性の向上に大きく貢献する。Illustratorのスクリプトは、一般的にJavaScriptというプログラミング言語で記述されることが多い。

この記事の筆者が効率化したいと考えた具体的な作業は、「選択した複数のオブジェクトの基準点を中央下部に変更する」というものだった。Illustratorにおいて、オブジェクトの基準点とは、そのオブジェクトを拡大・縮小したり、回転させたりする際の中心となる点のことである。通常、オブジェクトの基準点は中央に設定されていることが多いが、特定のデザイン作業では、基準点を角や辺、あるいは特定の位置に合わせたい場合がある。Illustratorの「変形」パネルを使えば手動で基準点を変更できるが、選択したオブジェクト全てに対して同じ操作を繰り返すのは、やはり手間がかかる作業である。

この課題を解決するために、筆者はAIのGeminiに協力を求めた。プログラミングの専門知識が十分でなくても、AIに明確な指示を出すことで、目的のスクリプトを作成できるのが現代のAI活用の大きな利点である。筆者はGeminiに対し、「Illustratorで選択したオブジェクトの基準点を中央下部に変更するスクリプトをJavaScriptで書いてください」と具体的に依頼した。

Geminiは筆者の指示に従い、まず最初のスクリプトコードを生成した。筆者はこのコードをIllustratorで実行し、期待通りの動作をするか確認した。しかし、生成されたスクリプトには、「選択中のオブジェクト全てに適用されるわけではない」という問題があった。そこで筆者は、その具体的な課題をGeminiに伝え、修正を依頼した。AIとのこのような対話を通じて、問題点を特定し、より正確な解決策へとコードを改善していくプロセスは、まるでプログラマー同士が協力して開発を進める「ペアプログラミング」のようである。

最終的にGeminiは、選択中のすべてのオブジェクトに対して、その基準点を中央下部に変更するスクリプトを完成させた。このスクリプトは、Illustratorが提供するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)と呼ばれる機能を利用して、プログラムからIllustratorの内部的な操作を制御している。具体的には、スクリプトはまず現在Illustrator上で選択されているオブジェクトのリストを取得し、そのリスト内の各オブジェクトに対して、基準点を変更する指示を順次実行していく。

作成されたスクリプトを使うには、テキストエディタなどにコードを貼り付け、ファイル名を「〇〇.jsx」という形式で保存する。Illustratorでは、「ファイル」メニューから「スクリプト」→「その他のスクリプト」を選択し、保存した.jsxファイルを実行することで、スクリプトが持つ自動化の機能を利用できるようになる。

この事例は、システムエンジニアを目指す初心者にとって非常に示唆に富んでいる。第一に、プログラミング言語の細かな文法やIllustratorのAPIに関する深い知識がなくても、AIをパートナーとして活用することで、具体的な課題を解決するツールを自力で作成できるという可能性を示している。これは、プログラミング学習のハードルを大きく下げるものだ。第二に、課題を発見し、それを解決するための最適なアプローチを考えるという、システムエンジニアリングにおける本質的な思考プロセスを体験できる点である。AIに指示を出し、その結果を検証し、必要に応じて修正を依頼するという一連の作業は、まさに課題解決型の思考を養う良い練習となる。

筆者自身も「AIと何かを作ってみたい気持ちが先行している」と述べており、また「他に解決方法があるかもしれません」とも言及している。この正直な姿勢は、エンジニアリングにおける探究心と、常に最善策を模索する姿勢を表している。AIは万能ではないが、人間のアイデアを形にし、効率化を実現するための強力なツールである。この事例を通して、AIと共に創造し、課題を解決していく楽しさや、システムエンジニアとして新たな価値を生み出す道筋の一端を理解できるだろう。

関連コンテンツ