【ITニュース解説】Just more modelling
2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Just more modelling」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
開発者はServerpodモデルの作成を進め、プロジェクトをServerpodモジュールへ移行した。これにより、他の類似プロジェクトでの再利用性を高める。主要モデルのほとんどは設定済みで、残るは一部のモデル。これらが完了後、管理パネルとゲームクライアントの開発に着手する予定だ。結婚などの機能実装も検討中。
ITニュース解説
今回の記事では、ゲーム開発者が自身のプロジェクト「Serverpodモデル」の開発状況について報告している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、この報告は、大規模なシステムを構築する上で「データモデリング」という作業がどれほど重要で、どのような意味を持つのかを理解する良い機会となるだろう。
まず「Serverpodモデル」という言葉から見ていこう。「モデル」とは、システム開発において現実世界やゲーム内の概念をコンピューターで扱える形に構造化した「設計図」のようなものである。例えば、ゲームであれば「プレイヤー」「アイテム」「モンスター」といった要素がそれぞれモデルとなり、それらがどのような情報(名前、体力、攻撃力、所持品など)を持つかを定義する。この定義がしっかりしていないと、データがバラバラになったり、システム間で連携が取れなくなったりする。Serverpodは、このようなモデル定義を効率的に行い、そのモデルに基づいてデータベースとの連携やAPI(他のシステムとの連携口)を自動生成してくれるフレームワークだ。これにより、開発者はデータの扱いに集中でき、システム開発の効率を大きく高めることができる。
筆者はこのServerpodモデルの開発を続け、さらにそれらを「Serverpodモジュール」という新しいプロジェクトに移行したと述べている。ここでいう「モジュール」とは、特定の機能やデータモデルをひとまとまりにした「部品」のようなものだと考えるとわかりやすい。例えば、特定のゲームにおけるキャラクターの能力値やアイテムの管理方法といったデータ構造は、別のゲームやプロジェクトでも応用できる可能性がある。これらのデータをモジュールとして独立させることで、完成後に今回のプロジェクトで開発したモデルを、類似の他のプロジェクトの出発点として再利用できるようになる。これは、開発時間の大幅な短縮につながるだけでなく、より堅牢で一貫性のあるシステムを構築するための優れたアプローチであり、ソフトウェアの再利用性という点において非常に重要な考え方だ。
現在の進捗として、筆者はほとんどのモデルのセットアップを終えているという。これは、ゲームの基本的な要素やルールに関するデータ構造の大部分がすでに定義され、それらの情報をデータベースに保存したり、プログラムで扱ったりする準備が整っていることを意味する。例えば、プレイヤーの基本的なステータス、一般的なアイテムの種類、マップ情報など、ゲームの根幹をなすデータの枠組みが固まった段階だ。
しかし、いくつか主要なモデルがまだ残されている。それらは以下の通りだ。
一つ目は「Alchemy and Sigils(錬金術と印)」だ。これは、スペル(魔法)にカスタムビルド(独自の作成)された効果を付与するために使われるモデルである。単にダメージを与えるだけでなく、「毒」「麻痺」「炎上」といった多様な効果をどのように定義し、特定のスペルと関連付けるのかを設計している部分だ。例えば、同じ炎の魔法でも、特定の素材や印を組み合わせることで、燃焼ダメージが継続したり、敵の防御力を下げたりするといった、複雑な効果を生み出す仕組みをデータとして構築している。これにより、ゲームの戦略性や奥深さが大幅に増すことになる。
二つ目は「Hubs(拠点)」だ。これは、都市内でプレイヤーがインタラクト(交流)できる活動や町民のすべてを定義するモデルだ。ゲーム内でプレイヤーが訪れる町や村に、どのような施設(商店、ギルド、宿屋など)があり、誰(NPC、ノンプレイヤーキャラクター)がそこにいて、どのような会話やクエストを提供できるのか、といった情報を構造化する。例えば、特定のNPCが特定の時間に特定の場所に出現し、特定の条件を満たすプレイヤーにしか話しかけられないといった複雑なイベントも、このHubsモデルで定義される情報に基づいて制御される。これは、ゲーム世界の生命力やインタラクティブ性を生み出す上で不可欠な要素であり、プレイヤーがゲーム世界に没入するための重要な基盤となる。
三つ目は「Expeditions and Encounters(探検と遭遇)」だ。これは、筆者が開発している「Expedition(探検)システム」のバックエンド(裏側の仕組み)を担うモデルである。プレイヤーがダンジョンやフィールドを探索する際に、どのようなイベントが発生し、どのような敵と遭遇し、どのような報酬が得られるのか、その一連の流れと確率、条件などを管理する。例えば、特定のエリアでは特定のモンスターが出現しやすく、特定の時間帯には珍しいアイテムが手に入るクエストが発生するといった、探検のランダム性や予測不可能性を制御するための重要な設計だ。これらのデータがなければ、探検システムは単調で面白みに欠けるものになってしまうだろう。
これらの残りのモデルがすべて完成すれば、筆者は「管理パネル」と「ゲームクライアント」の開発に戻る予定だ。管理パネルとは、ゲームの運営者や開発者がゲーム内のデータ(プレイヤー情報、アイテム、イベント、統計情報など)を監視したり、必要に応じて変更したりするためのツールである。ゲームクライアントは、実際にプレイヤーが操作するゲーム画面やインターフェースのことだ。つまり、データ構造という骨格が完成することで、ようやくそれらの「見た目」や「操作性」を具体的に作り上げることができる段階に入ることを示している。
また、将来的には「marriages(プレイヤー間での結婚)」や「relationships(プレイヤーとコンパニオンの関係性)」といった機能の実装も視野に入れているが、バージョン1.0での実装は未定だという。これは、ゲームのソーシャル要素や物語性を深めるための機能であり、現在のモデリング作業の段階から将来の拡張性を見据えた設計が行われていることを示唆している。
今回の記事の内容は、一見地味な「モデリング」という作業の進捗報告だが、システム開発、特にゲーム開発という複雑なプロジェクトにおいて、データがどのように構造化され、システム内でどのように扱われるかを明確にすることは、非常に基礎的で、かつ最も重要な土台作りであることを教えてくれる。堅牢で拡張性があり、かつ効率的な開発を行う上で、データモデリングは不可欠なステップであり、システムエンジニアを目指す初心者にとって、その重要性を理解することは、将来のキャリアにおいて非常に役立つ基礎知識となるだろう。