【ITニュース解説】Live Translation with AirPods won't come to EU-based Apple users
2025年09月11日に「Engadget」が公開したITニュース「Live Translation with AirPods won't come to EU-based Apple users」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AppleのAirPods新機能「Live Translation」は、EU圏内のAppleアカウントを持つユーザーには提供されない。EUの厳格なAI・プライバシー規制が背景にあるとみられる。この機能はAirPodsを通じたリアルタイム翻訳で多言語コミュニケーションを可能にし、iOS 26で対応機種に導入される予定だ。
ITニュース解説
Appleが発表した最新の翻訳機能「AirPodsライブ翻訳」が、欧州連合(EU)圏内の特定のユーザーには提供されないというニュースが報じられた。この機能は、異なる言語を話す人々の間でリアルタイムに会話を翻訳し、コミュニケーションを円滑にする画期的なものとして注目されている。
AirPodsライブ翻訳は、Apple Intelligenceと呼ばれるAppleの新しいAI機能の一部として、今年6月に開催された開発者会議WWDCで発表された。その後、9月15日にリリースされるiOS 26の主要機能の一つとして、そしてAirPods Pro 3の重要な特徴として、さらに詳細が公開された。この機能は、iPhone 15以降のApple Intelligenceに対応したデバイスで利用可能であり、AirPods Pro 3、AirPods Pro 2、およびAirPods 4といった特定のAirPodsモデルと組み合わせることで使用できる。
具体的な機能としては、AirPodsを装着したユーザーが他の言語を話す人と会話する際に、その会話が瞬時に翻訳される。もし会話の相手もAirPodsを装着していれば、翻訳された音声がそれぞれのAirPodsに届き、まるで通訳を介しているかのように自然な会話が可能になる。相手がAirPodsを持っていない場合でも、話した内容はiPhoneの画面に翻訳テキストとして表示され、音声でも再生されるため、相手はそれを読んで内容を理解したり、音声を聞いたりすることができる。現在、この機能は英語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語間のリアルタイム翻訳に対応している。Appleは2025年後半には、イタリア語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)への対応も計画している。
しかしながら、この革新的な機能がEU圏内のAppleアカウントを持ち、かつEUに居住しているユーザーには提供されないことがAppleのiOS機能利用可能性ページで明記されている。これは、北米やその他の地域からの訪問者がEU圏内でこの機能を利用できる場合や、その逆の場合でも機能する可能性があることを示唆している。つまり、EU在住でEU圏のアカウントを持つユーザーのみが対象外となるという、非常に具体的な制限が設けられているのだ。
Appleはこの制限の明確な理由を公式には発表していないが、一般的な見方として、EUが持つ人工知能(AI)およびプライバシーに関する厳格な規制が関係している可能性が高いとされている。EUは、デジタル技術が個人のプライバシーや権利に与える影響について非常に慎重な姿勢を取っており、特に「AI Act(AI法)」と呼ばれる法律を通じて、AIシステムの利用を厳しく規制しようとしている。このAI Actは、差別を引き起こす可能性や、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性のあるAIの「高リスクユースケース」に対して、特に厳格な基準を適用する。
このような背景から、EU当局は、AirPodsライブ翻訳機能がどのようにユーザーの音声を収集、処理、および保存するのかについて、深い懸念を抱いていると推測される。特に、翻訳のために処理されたデータが、EU圏内で安全に、かつローカルに保管されることを強く求めている可能性がある。つまり、ユーザーの個人情報や会話内容が、EUの管轄外のサーバーに送られたり、不適切な方法で利用されたりしないよう、徹底した管理体制をAppleに要求しているのかもしれない。
Appleが今回の制限を設定した背景には、EUのこのような厳しい審査基準を満たすまで、あるいはEU当局がこの機能の安全性とプライバシー保護体制を完全に承認するまで、導入を見送るという判断があったと考えられる。これは、新しい技術の展開が、その地域の法的・倫理的枠組みとどのように整合するかという、現代のテクノロジー企業が直面する大きな課題の一つを浮き彫りにしている。
グローバルにサービスを提供するテクノロジー企業にとって、各国の法規制への対応は非常に複雑かつ重要な課題だ。特に、AIや個人データを取り扱うサービスにおいては、国や地域ごとのプライバシー保護に関する考え方や法律が大きく異なるため、一律のサービス提供が困難となるケースが頻繁に発生する。AirPodsライブ翻訳機能のEUにおける提供制限は、まさにその典型的な事例と言えるだろう。Appleが今後EUの規制にどのように対応し、最終的にこの画期的な機能をEU圏内のユーザーにも届けられるようになるのか、その動向が注目される。