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【ITニュース解説】80%の企業がメインフレームのモダナイゼーション戦略を見直している キンドリル調査

2025年09月18日に「@IT」が公開したITニュース「80%の企業がメインフレームのモダナイゼーション戦略を見直している キンドリル調査」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

多くの企業が古い基幹システム(メインフレーム)の近代化戦略を見直している。新しい技術への移行を進める中で、様々なスキルを持つIT人材の確保に7割の企業が苦戦しており、技術者育成の重要性が改めて浮き彫りになった。

ITニュース解説

キンドリル社の調査によると、多くの企業が企業の心臓部ともいえる「メインフレーム」と呼ばれるシステムを新しくする「モダナイゼーション」の戦略を見直していることが明らかになった。これは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、現代のIT業界が直面する大きな課題と、その中に隠された重要なチャンスを示している。

まず、メインフレームとは何かを理解する必要がある。メインフレームは、銀行の基幹システムや航空会社の予約システム、大規模な製造業の生産管理システムなど、社会のインフラを支える非常に重要な場所で長年使われてきた巨大なコンピュータシステムのことである。これらは膨大なデータを高速で処理し、何十年にもわたって安定して稼働し続けることを最大の強みとしている。そのため、多くの企業にとって、メインフレームは事業を継続するための生命線となっている。しかし、その一方で、開発や運用には特殊なスキルが必要な古いプログラミング言語が使われており、システムの維持管理コストが高い、新しい技術との連携が難しい、そしてその技術に詳しいベテランエンジニアの引退が進んでいるという課題を抱えている。

そこで注目されているのがモダナイゼーション、つまりシステムの近代化である。これは、古いメインフレームのシステムを、クラウドコンピューティングのような最新の技術やサービスに適応させる取り組みを指す。目的は多岐にわたる。具体的には、システムの運用コストを削減したり、変化の速いビジネス環境に合わせて新しいサービスを迅速に開発・提供できるようにしたり、あるいはメインフレームの特殊な技術に依存せず、より汎用的な技術でシステムを扱えるようにしたりすることを目指している。例えば、メインフレーム上で動作するプログラムを最新のプログラミング言語で書き換え、それをクラウド環境で稼働させるように移行したり、メインフレームの一部機能を新しいシステムに置き換えたりといった手法がある。

しかし、このモダナイゼーションは非常に困難な道のりである。キンドリル社の調査で80%もの企業がその戦略を見直しているという結果は、多くの企業が当初の計画通りに進められない現実を示唆している。メインフレームは企業の根幹を支えるシステムであるため、少しの変更でも事業全体に大きな影響を与えかねない。そのため、慎重な計画と実行が求められ、予想以上の時間やコストがかかることが少なくない。また、既存のシステムが複雑に絡み合っているため、どこから手をつければ良いのか、どのような技術を導入すれば良いのかといった判断も非常に難しい。

さらに、モダナイゼーションの大きな壁となっているのが「人材不足」の問題だ。調査によると、70%の企業がモダナイゼーションを推進できる「マルチスキル人材」の確保に苦戦している。ここでいうマルチスキル人材とは、メインフレームに関する深い知識と経験に加え、クラウド技術、最新のプログラミング言語、データ分析など、新しい技術に関する幅広い知識やスキルを併せ持つエンジニアのことである。メインフレームの技術者は高齢化が進み、そのノウハウが失われつつある一方で、若手エンジニアはクラウドや新しい技術には詳しいが、メインフレームの知識は持たないことが多い。この世代間、スキル間のギャップが、モダナイゼーションプロジェクトの進行を阻む大きな要因となっているのだ。

このような人材不足は、企業のデジタル変革を遅らせ、市場での競争力を低下させるリスクをはらんでいる。企業が古い技術に縛られたままだと、新しい技術を活用したサービス展開や業務効率化が難しくなるからだ。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このニュースは非常に重要な意味を持つ。企業の基幹を支えるメインフレームの知識を持つことはもちろん、そこに最新のクラウド技術や開発手法を組み合わせる能力、つまりマルチスキルは、今後のIT業界で間違いなく高く評価されるスキルセットとなる。古いシステムと新しい技術の橋渡しができる人材は、企業がモダナイゼーションの課題を乗り越え、未来に向けて成長していくために不可欠な存在となる。このような状況は、単なる課題であるだけでなく、IT業界の未来を担うシステムエンジニアが自身の市場価値を高めるための大きなチャンスでもあると言えるだろう。このニュースから、これからの時代に求められるエンジニア像を読み解き、自身のスキルアップの方向性を考えるきっかけとすることが望ましい。

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