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【ITニュース解説】Microsoft and OpenAI announce the 'next phase' of their partnership

2025年09月12日に「Engadget」が公開したITニュース「Microsoft and OpenAI announce the 'next phase' of their partnership」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

MicrosoftとOpenAIは、提携の次段階で技術・収益共有や最先端AIへのアクセス条件を見直す。OpenAIは非営利が管理する体制を維持しつつ、公益企業化しIPOを目指す。Microsoftは出資の見返りに利益の49%を得る。

ITニュース解説

MicrosoftとOpenAIという、現代のテクノロジー業界で最も注目される二大巨頭が、両社の提携を新たな段階へと進めることを発表した。この発表は、人工知能(AI)の未来、そしてそれを支える技術開発のあり方にも大きな影響を与える可能性があるため、システムエンジニアを目指す皆さんにとっても非常に重要なニュースと言える。

今回の発表によると、MicrosoftとOpenAIは「次の段階」の提携に向けた覚書(MOU:Memorandum of Understanding)に署名した。MOUとは、まだ正式な契約ではないが、将来的な合意に向けた基本的な意向を確認する書類のことだ。両社はまだ最終的な契約条件を調整している最中であり、具体的な内容の全てが公開されたわけではない。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、この新しい合意には、両社がどのように技術を共有し、それらの技術から得られる収益をどのように分配するかが含まれているという。これは、互いの強みを活かしてAI技術をさらに発展させ、その成果を分かち合うための重要な取り決めとなる。

今回の合意で特に注目すべき点の一つは、両社の初期契約に含まれていた「ある条項」が修正されるという報道だ。元の契約では、OpenAIの取締役会が、OpenAIが開発したAIが人間と同レベルの知能を持つ汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)に到達したと判断した場合、Microsoftはその最も強力な技術にアクセスできないと定められていた。AGIとは、特定のタスクだけでなく、人間のように幅広い分野で学習し、問題を解決できる究極のAIを指す概念だ。もしこの条項が修正されるとすれば、それはMicrosoftがAGIに非常に近い、あるいはAGIそのものとみなされるような高度なAI技術に対しても、アクセスし、活用できる可能性を示唆している。これはMicrosoftにとって、AI分野における競争力をさらに高める上で極めて重要な意味を持つだろう。

また、OpenAIの企業構造自体にも大きな変化が報じられている。OpenAIは、非営利団体として設立されたという独特の経緯を持つ企業だ。報道によると、OpenAIは非営利部門に対し、少なくとも1000億ドル相当の株式を与える予定だという。この非営利部門が今後もOpenAIという組織全体の監督と管理を続けることになる。 この組織変更は、OpenAIが「公益法人(Public Benefit Corporation:PBC)」という企業形態へ移行するための準備の一環である。公益法人とは、一般的な営利企業のように利益を追求するだけでなく、社会に対して良い影響を与えることを明確な目的として掲げる企業のことだ。そして、この公益法人への移行は、将来的にはOpenAIがIPO(Initial Public Offering:新規株式公開)を行う、つまり自社の株式を一般の市場で売買できるようにする道を開くものと考えられている。IPOを行うことで、OpenAIはより大規模な資金調達が可能になり、さらなる研究開発や事業拡大を加速させることができるようになるだろう。

このような組織変更を進める上で、OpenAIはまずMicrosoftとの間で合意に達する必要があった。特に、MicrosoftがOpenAIの営利部門においてどれだけの株式を取得するか、という点についてだ。MicrosoftはこれまでOpenAIに対し、総額130億ドル以上という巨額の投資を行ってきた。その見返りとして、MicrosoftはOpenAIの将来の利益の49パーセントを受け取る権利を有している。この大規模な投資と利益分配の取り決めは、両社の提携がいかに深く、そして戦略的なものであるかを示している。Microsoftは、OpenAIの技術開発を資金面で強力に支援し、その成果を自社の製品やサービスに統合することで、競争力を維持・向上させている。

OpenAIがその複雑な組織構造を見直す動きは、実は昨年から報じられていた。2024年のクリスマス後には、普通株式を持つ公益法人へ移行する計画を正式に発表し、「この分野の他社と同様に、従来の条件で必要な資本を調達できるようになる」と説明していた。これは、非営利組織としての制約から解放され、より柔軟な資金調達を目指す意図が示されていた。 しかし、その後の5月には、OpenAIは非営利ボードが営利部門の管理権限を解除する計画は「もはやない」と発表し、方向転換した経緯がある。「OpenAIは非営利団体として設立され、現在もその非営利団体によって監督・管理されている。今後もその非営利団体によって監督・管理され続ける」と述べていた。今回の最新の発表は、こうした複雑な経緯を踏まえつつ、非営利部門が営利部門を監督・管理する体制を維持しながらも、公益法人への移行と将来的なIPOを目指すという、両社にとって新たな、そして洗練された合意に至ったことを示している。

MicrosoftとOpenAIの提携が「次の段階」へと進む今回の合意は、単なるビジネス上の提携以上の意味を持つ。AGIに関する条項の修正や、OpenAIの組織構造変更は、AI技術の倫理的側面や社会への影響、さらには開発競争のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような動きは、AI技術がどのように社会に実装され、どのようなビジネスモデルで展開されていくかを理解するための重要なケーススタディとなるだろう。両社の関係性が今後どのように進化し、どのような革新的なAI技術を生み出していくのか、引き続き注目していく必要がある。

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