【ITニュース解説】セキュリティエンジニア必携!OSSセキュリティツール厳選10選
2025年09月09日に「Qiita」が公開したITニュース「セキュリティエンジニア必携!OSSセキュリティツール厳選10選」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
セキュリティエンジニアが現場で実際に使用し、高く評価したオープンソース(OSS)のセキュリティツール10選を解説。コストを抑えながら強力なセキュリティ対策を実現するための具体的なツールを知ることができる。(108文字)
ITニュース解説
システム開発や運用において、セキュリティ対策は不可欠な要素である。外部からのサイバー攻撃や内部の不正アクセスからシステムを守るためには、様々な脅威を想定し、事前に対策を講じなければならない。このセキュリティ対策を効率的かつ効果的に行うために専門的なツールが活用されるが、中でもソースコードが公開され、無償で利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)は、コストを抑えながら高度なセキュリティ対策を実現できるため、多くの企業や組織で重要な役割を担っている。システムエンジニアが知っておくべき代表的なOSSセキュリティツールを、その目的や役割と共に解説する。
セキュリティ対策の第一歩は、自身が管理するネットワークやシステムの現状を正確に把握することから始まる。どのような機器がネットワークに接続され、どのようなサービスが稼働しているのかを知るためのツールとして「Nmap」が広く利用される。Nmapは、指定したネットワーク範囲に存在するサーバーやコンピュータを発見し、それらが提供しているサービスや開いている通信ポートを特定できる。これにより、意図せず公開されているサービスや、攻撃の足がかりとなり得る不要なポートがないかを確認できる。さらに、ネットワークの健全性を確認するためには、通信内容そのものを詳細に分析する必要がある。その際に用いられるのが「Wireshark」である。Wiresharkは、ネットワーク上を流れるデータ(パケット)をキャプチャし、その内容を人間が理解できる形で表示する。通信が正常に行われているかの確認や、問題が発生した際のトラブルシューティング、不審な通信の特定など、ネットワークの深層を調査するために不可欠なツールである。
システムの現状を把握した後は、そこに潜むセキュリティ上の弱点、すなわち脆弱性を見つけ出して対処する必要がある。この脆弱性を能動的に探し出すための手法がペネトレーションテスト(侵入テスト)であり、その代表的なツールが「Metasploit Framework」だ。このツールは、既知の脆弱性を利用する攻撃コードを多数収録しており、擬似的な攻撃を仕掛けることで、システムが実際の攻撃に対してどれだけ耐えられるかを検証できる。また、Webアプリケーションに特化した脆弱性診断ツールとして「OWASP ZAP」がある。現代のシステムはWebアプリケーションが中心であり、特有の脆弱性が存在する。OWASP ZAPは、Webアプリケーションを自動的にスキャンし、これらの脆弱性を検出することで、開発者が安全なアプリケーションを構築する手助けとなる。
脆弱性を修正しても、新たな攻撃手法は次々と登場するため、システムを常時監視し、攻撃の兆候や異常をいち早く検知する仕組みが重要となる。この役割を担うのが侵入検知システム(IDS)である。「Snort」は、ネットワーク型の侵入検知システムの代表例だ。ネットワークの通信をリアルタイムで監視し、既知の攻撃パターンに一致する通信や不審な挙動を検知すると、管理者に警告を発する。一方、個々のサーバーやコンピュータ内部の監視に特化したのが、「OSSEC」のようなホスト型侵入検知システムである。OSSECは、システムのログファイル分析、重要なファイルの改ざん検知、不正なログイン試行の監視などを行い、ホストレベルでのセキュリティ侵害を防ぐ。さらに、OSSECから派生した「Wazuh」は、ログ収集・分析、脆弱性検知、コンプライアンス準拠の確認といった機能を統合した、より包括的なセキュリティプラットフォームであり、複数のサーバーを一元的に監視・管理することが可能だ。
近年のシステム開発では、コンテナ技術の利用が一般化している。コンテナは便利な反面、そのイメージ内に脆弱性のあるソフトウェアが含まれているリスクがある。こうしたコンテナのセキュリティを確保するために「Trivy」が用いられる。Trivyはコンテナイメージをスキャンし、含まれているOSパッケージやライブラリの脆弱性を高速に検出する。また、古くから存在する脅威であるウイルスやマルウェアへの対策も依然として重要である。「ClamAV」は、オープンソースのアンチウイルスエンジンであり、ファイルやメールをスキャンして悪意のあるコードを検出する。様々なシステムに組み込んで利用できる柔軟性が特徴だ。
これまでに紹介したツールは、それぞれが特定の機能を持つが、セキュリティインシデントが発生した際には、これらのツールから得られる情報を集約し、チームで連携して迅速に対応する必要がある。そのためのプラットフォームが「TheHive」である。TheHiveは、セキュリティインシデント対応プラットフォームと呼ばれ、検知されたアラートの管理、調査の進捗共有、対応作業の割り当てなどを一元的に行うことができる。複数の担当者が関わる複雑なインシデント調査において、情報の散逸を防ぎ、効率的で体系的な対応を実現する。これらのツールは、それぞれが異なる役割を持ちながらも、互いに連携することで多層的な防御を実現する。システムエンジニアを目指す上で、これらのツールの存在と基本的な役割を理解することは、安全なシステムを構築・運用するための基礎知識となる。