Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】PayPayが韓国で使えるようになります 9月下旬以降

2025年09月16日に「CNET Japan」が公開したITニュース「PayPayが韓国で使えるようになります 9月下旬以降」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

PayPayが、海外旅行時に現地のお店で使える新機能「海外支払いモード」を導入すると発表した。9月下旬以降、サービス開始とともに、まずは韓国で利用できるようになる。これにより、海外でのキャッシュレス決済がより身近になる。

ITニュース解説

PayPayが「海外支払いモード」を導入し、9月下旬以降に韓国で利用可能になるというニュースは、決済システムの国際化に向けた重要な一歩を示すものだ。これは単に海外でPayPayが使えるようになるというだけでなく、システムエンジニアの視点から見ると、複数の国境を越えたシステム間の複雑な連携と、その実現に向けた技術的な挑戦が背後にあることを意味する。

まず「海外支払いモード」とは何か。これはPayPayアプリに搭載される新機能で、ユーザーが韓国の提携店舗でQRコードやバーコードを提示することで、PayPay残高から決済ができるようになる。日本国内での利用体験とほとんど変わらない感覚で海外での支払いが可能になるため、ユーザーにとっては両替の手間が省け、現地通貨を気にすることなくスムーズにショッピングを楽しめるという大きなメリットがある。しかし、この一連の簡単な操作の裏側では、非常に多くのシステムが連携して動いている。

この機能を実現するためには、PayPayのシステムと、韓国現地の決済システムや金融機関との間に、強固な連携が構築される必要がある。システムエンジニアにとって、この「連携」こそが最も興味深い点の一つだ。通常、異なるシステムやサービス間で情報をやり取りする際には、API(Application Programming Interface)が利用される。APIとは、ソフトウェア同士が互いにコミュニケーションをとるための窓口のようなもので、PayPayは、韓国の特定の決済ネットワークや事業者とAPIを通じて接続し、ユーザーが支払いを行った際に、その決済情報(例えば支払い額や店舗情報など)をセキュアに送信し、処理結果を受け取る仕組みを構築する。この際、決済情報の暗号化、認証、さらにはネットワークの安定性確保など、高度なセキュリティ対策と信頼性の高いインフラが求められる。

国際決済における技術的な課題は多岐にわたる。一つは「通貨と為替レートの処理」だ。PayPayユーザーは日本円でPayPay残高を保有しており、韓国での決済はウォンで行われる。システムは、この異なる通貨間の正確な為替レートをリアルタイムに近い形で取得し、決済時に適切な日本円の金額に換算してユーザーに提示し、残高から引き落とす必要がある。為替レートは常に変動するため、どのタイミングのレートを適用するか、計算の誤差をどのように処理するかなど、精密なロジック設計が求められる。

次に「決済規格の相互運用性」も重要な課題だ。QRコード決済と一口に言っても、国や事業者によってその規格は様々である。PayPayが使用するQRコードのデータ構造と、韓国現地の店舗が対応する決済端末やQRコードの規格が異なる場合、システム側でそれらを相互に変換・解釈する機能が必要となる。これは、異なる言語を話す人同士が通訳を介してコミュニケーションを取るようなもので、システムがそれぞれの「言語」を理解し、正確に情報を伝達する役割を担う。

さらに「法規制とコンプライアンス」への対応も不可欠だ。各国には金融サービスや個人情報の取り扱いに関する独自の法規制が存在する。例えば、資金決済に関する法律、反マネーロンダリング(AML)規制、データプライバシーに関する規制(GDPRのようなもの)など、様々な法的要件を遵守したシステム設計と運用が求められる。これは、単に技術的な問題だけでなく、各国の法律専門家との連携や、それをシステムに落とし込むための深い理解が必要となる。

これらの複雑な課題を解決し、安定したサービスとして提供するためには、システムエンジニアが企画段階から深く関与する。要件定義では、どのような機能を盛り込むか、ユーザー体験をどう設計するかを決定する。アーキテクチャ設計では、PayPayの既存システムと海外システムをどのように接続し、どの技術を用いるかを詳細に計画する。開発フェーズでは、実際にプログラムを書き、機能を実現する。そして、テストフェーズでは、様々な条件下での動作確認、セキュリティ脆弱性のチェック、パフォーマンス測定などを徹底的に行い、不具合がないことを確認する。リリース後も、システムの監視、トラブルシューティング、改善といった運用保守が続く。

今回のPayPayの「海外支払いモード」の導入は、日本と韓国という異なる国の決済システムが、共通の目標(ユーザーの利便性向上)のために連携するという、まさに現代のITが実現する「ボーダーレスな世界」の一例だ。これは単なる機能追加ではなく、データが国境を越え、安全かつ効率的に流通するための複雑な技術的基盤と、それを支えるシステムエンジニアの専門知識と努力の結晶と言える。今後、PayPayが他の国々へもサービスを拡大していく可能性を考えると、この国際決済システム間の連携技術は、さらに進化し、その重要性を増していくことは確実である。システムエンジニアを目指す者にとって、このような国際的な決済システムの裏側にある技術と課題を理解することは、将来のキャリアにおいて非常に貴重な経験となるだろう。決済の未来は、国境を越えたシームレスなサービス連携によって形作られていく。

関連コンテンツ