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【ITニュース解説】Rails 8 – New ActiveSupport Timezone Defaults

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Rails 8 – New ActiveSupport Timezone Defaults」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Rails 8では、時刻を扱う`to_time`メソッドのデフォルト設定が変わった。新しい設定では、時刻が元のタイムゾーン情報を保持するため、夏時間移行時でも正確な時刻計算が可能になる。これにより、日付や時刻に関する予期せぬ間違いを防ぎやすくなった。

ITニュース解説

Rails 8では、アプリケーションが時刻を扱う方法に重要な変更が加えられた。特に、日付や時刻を処理する際に使用されるActiveSupport.to_time_preserves_timezoneという設定のデフォルト値が新しくなったのである。この変更は、システムが時刻をどのように解釈し、計算するかに大きな影響を与えるため、理解しておくことが非常に重要だ。

まず、タイムゾーンについて簡単に説明する。地球上では地域によって時刻が異なるため、時間を正確に記録・表示するためには、どの地域での時刻なのかを示すタイムゾーン情報が必要となる。例えば、日本であれば「Asia/Tokyo」、ニューヨークであれば「America/New_York」といった具合だ。また、「UTCオフセット」とは、世界標準時(UTC)からどれだけ時間がずれているかを示すもので、例えば日本はUTCより9時間進んでいるため「+0900」、ニューヨークは標準時でUTCより5時間遅れているため「-0500」となる。さらに、一部の国では季節によって時刻を1時間進める「サマータイム(夏時間)」を導入しており、これによりUTCオフセットが変動する複雑さもある。

Railsが提供するActiveSupportは、これらの複雑な時刻処理を簡単に行うための便利な機能を提供している。ActiveSupport.to_time_preserves_timezoneは、その中でも特に、Active Supportが扱うタイムゾーン情報を持った時刻データ(ActiveSupport::TimeWithZoneと呼ばれることが多い)を、Rubyが標準で扱うタイムゾーン情報を持たない時刻データ(Timeオブジェクト)に変換する際、どのようにタイムゾーン情報を扱うかを決定する設定だ。

この設定には主に三つの値がある。

  • :zone は、to_time メソッドが呼び出された際に、元の時刻データのタイムゾーン情報をそのまま引き継いで、変換後の時刻データもそのタイムゾーンを保持するようにする。
  • :offset は、元の時刻データのUTCオフセットだけを変換後の時刻データに適用し、タイムゾーン情報自体は失われる。
  • false は、元の時刻データのタイムゾーンやオフセットに関わらず、システムが現在設定されているローカルのUTCオフセットに変換する。

Rails 8では、この設定のデフォルト値がこれまでのものから:zoneに変更された。この変更が実際にどのような違いを生むのか、具体的な例を見てみよう。

ニュース記事では、アメリカのニューヨーク(America/New_York)を例に挙げている。ニューヨークでは毎年11月の第一日曜日にサマータイムが終わり、時刻が1時間戻る。このサマータイム移行期に時刻計算を行うと、どのような差が生まれるかを確認する。

もし設定が従来の:offsetだった場合、まず、2025年11月1日12時30分の時刻データを作成し、それをto_timeメソッドでRuby標準の時刻データに変換する。この時点ではまだサマータイム期間中のため、UTCオフセットは「-0400」と表示される。そして重要なのは、この変換によって元の時刻データが持っていた「America/New_York」というタイムゾーンの情報が失われ、変換後の時刻データにはタイムゾーンが関連付けられなくなる点だ。この状態で、変換された時刻データに「1日」を加算すると、計算結果は「2025年11月2日12時30分 -0400」となる。タイムゾーン情報がないため、サマータイムが終了する11月2日の午前2時を過ぎても、時刻は1時間戻らず、オフセットも「-0400」のままになってしまう。つまり、サマータイムの移行が考慮されない不正確な時刻が算出されることになる。

一方、Rails 8で新しくデフォルトになった:zoneを設定した場合では、挙動が異なる。同様に、2025年11月1日12時30分の時刻データを作成し、to_timeメソッドで変換する。このときも最初のオフセットは「-0400」となるが、:zone設定により、変換後の時刻データにも「America/New_York」というタイムゾーン情報が保持される。このタイムゾーン情報が保持された時刻データに「1日」を加算すると、計算結果は「2025年11月2日12時30分 -0500」となる。注目すべきは、翌日の時刻のオフセットが「-0500」に正しく変わっている点だ。これは、時刻データがタイムゾーン情報を持っているため、サマータイムが終了して時刻が1時間戻るイベントを認識し、それに合わせて正確な時刻を計算できたことを意味する。

この変更がなぜ重要なのかというと、現代のアプリケーションは世界中のユーザーに使われることが多く、時刻の正確な扱いは非常に重要だからだ。予約システムやスケジュール管理、請求処理、ログの記録など、時刻が少しでもずれるとビジネスロジックに重大な影響を与えかねないシステムは数多く存在する。サマータイムの開始や終了、またはタイムゾーンの境界をまたぐような日付計算では、タイムゾーン情報が正確に保持されていることが、誤った計算を防ぐ鍵となる。

Rails 8のこのデフォルト変更は、開発者が明示的に設定しなくても、より信頼性が高く、国際的な要件にも対応しやすい時刻処理をアプリケーションに提供することを目指している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このように目に見えにくい裏側の設定が、いかにシステムの正確性や堅牢性に貢献しているかを理解する良い機会となるだろう。

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