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【ITニュース解説】I Didn’t Believe the Hype — Then Rust 1.89 Obliterated My Build Times

2025年09月12日に「Medium」が公開したITニュース「I Didn’t Believe the Hype — Then Rust 1.89 Obliterated My Build Times」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Rust言語の最新バージョン1.89がリリースされた。これにより、これまで課題だったビルド時間が劇的に短縮され、開発効率が大幅に向上する。当初その効果に懐疑的だった開発者も、その速度向上に驚いている。

ITニュース解説

プログラミングの世界では、私たちが書いたプログラムのコードをコンピュータが理解し実行できる形に変換する作業を「ビルド」と呼ぶ。このビルドにかかる時間は、ソフトウェア開発の現場において非常に重要な要素だ。なぜなら、開発者はコードを少し変更するたびにビルドを行い、その変更が正しく機能するかを確認する必要があるからだ。もしビルドに長い時間がかかると、コードの変更、テスト、修正という一連のサイクルが滞り、開発者の生産性が大きく低下してしまう。そんな中、最近プログラミング言語Rustの最新バージョン1.89がリリースされ、このビルド時間を劇的に短縮したことが多くの開発者の間で話題になっている。

Rustは、安全性と高速性を両立させることを目指して設計されたシステムプログラミング言語である。C言語やC++といった伝統的なシステムプログラミング言語が持つ高速性と、メモリの安全性を保証する仕組みを兼ね備えているため、オペレーティングシステムやゲームエンジン、Webサーバー、さらには組み込みシステムといった、高いパフォーマンスと信頼性が求められる様々な分野で活用が広がっている。Rustが提供する「メモリ安全性」とは、プログラムがコンピュータのメモリを不適切に扱って意図しない動作をしたり、セキュリティ上の脆弱性を生み出したりするのを防ぐ仕組みのことだ。これは、コンパイラという、人間が書いたコードをコンピュータが理解できる形に変換するソフトウェアが、コードを変換する際に非常に厳密なチェックを行うことで実現されている。

しかし、この厳密なチェックと高度な最適化が、これまでのRustの課題の一つでもあった。つまり、コードの量が増えたり、複雑な依存関係を持つプロジェクトの場合、ビルドにかかる時間が比較的長くなりがちだったのだ。開発者は、新しい機能を実装したり、既存のバグを修正したりするたびに、この長いビルド時間を待たなければならず、これが開発体験(Developer Experience)の足を引っ張り、作業の効率性を阻害する要因となっていた。特に大規模なプロジェクトでは、小さな変更を加えるだけでも数分、あるいはそれ以上のビルド時間を要することも珍しくなく、開発者にとっては大きなストレスとなっていた。

このような状況の中、Rust 1.89の登場は、開発現場に大きな変化をもたらした。このバージョンでは、コンパイラ内部の処理が根本から見直され、大幅な最適化が施された。特に注目すべきは、インクリメンタルビルドの効率化と並列処理の強化だ。インクリメンタルビルドとは、前回のビルド以降に変更された部分だけを効率的に再ビルドする機能のことで、変更が少ない場合にビルド時間を大幅に短縮する効果がある。Rust 1.89では、このインクリメンタルビルドの精度と速度が飛躍的に向上したため、コードの微修正に対するビルド時間が劇的に短くなった。また、コンパイラが複数のCPUコアを効率的に利用してビルド作業を並行して進める、並列処理の強化も行われた。これにより、複数のタスクを同時に実行できるようになり、全体のビルド時間がさらに短縮されたのだ。

このビルド時間の劇的な短縮は、開発者の日常業務に計り知れない良い影響を与える。例えば、プログラムに潜むバグを見つけ出し、その修正を試みる際、以前は修正後ビルドが完了するまで待つ必要があった時間が、今ではほんの数秒に短縮される。これにより、開発者はより短い間隔でコードの変更とテストを繰り返すことが可能となり、問題解決のスピードが格段に向上する。また、新しいアイデアを試したり、コードの設計を改善したりする際の心理的なハードルも下がり、より積極的かつ迅速な試行錯誤ができるようになるだろう。これは、開発者の生産性を高めるだけでなく、最終的にソフトウェア全体の品質向上にもつながる重要な進歩である。開発サイクルが短縮されることで、より頻繁にソフトウェアを更新し、ユーザーのフィードバックに素早く対応できるようにもなるため、ビジネス上のメリットも大きい。

今回のRust 1.89におけるビルド時間の改善は、プログラミング言語や開発ツールが常に進化しており、その進化が開発現場にどれほど大きな影響を与えるかを示す良い事例だ。システムエンジニアを目指す初心者は、単にプログラミング言語の文法やコーディングスキルを学ぶだけでなく、開発効率を高めるためのツールや環境の進化にも常にアンテナを張り、最新の技術動向を理解することが重要である。このような技術の進歩を自身の開発プロセスに取り入れることで、より効率的で質の高いソフトウェア開発が可能になる。ビルド時間の短縮という一見地味に見える改善が、開発者の日常業務、ひいてはプロジェクト全体の成功にどれほどのインパクトをもたらすかを理解することは、将来のシステム開発を担う上で欠かせない視点となるだろう。

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