【ITニュース解説】The China-US deal for TikTok could take another month to work out
2025年09月16日に「The Verge」が公開したITニュース「The China-US deal for TikTok could take another month to work out」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
TikTokの米国事業売却に関する米中間の交渉は、決着までさらに1ヶ月ほどかかりそうだ。CNBC情報筋によると、30~45日以内に合意する見込み。Oracleは引き続きクラウドパートナーとして、米国ユーザーのデータ処理を継続する。
ITニュース解説
人気動画共有アプリ「TikTok」の米国事業売却に関する交渉が、合意に至るまでにさらに一ヶ月ほどかかる見込みだというニュースが報じられた。米国と中国の間で、30日から45日以内に何らかの結論が出る可能性が指摘されている。この交渉では、オラクル(Oracle)が引き続きTikTokのクラウドパートナーとして、米国ユーザーのデータを処理する役割を担うことになる点が注目される。
この一連の動きを理解するには、まず背景を知る必要がある。TikTokは、中国の企業であるByteDance(バイトダンス)が開発・運営しているアプリだ。米国政府は以前から、TikTokが中国企業の傘下にあることに対し、米国のユーザーデータが中国政府に渡る可能性や、国家安全保障上のリスクがあるという懸念を表明していた。具体的には、米国のユーザーがアプリで作成・共有する動画や個人情報といったデータが、中国の法律に基づいて中国政府に提供されるのではないか、という疑念だ。これは、単なるプライバシーの問題だけでなく、国家間の情報戦やサイバーセキュリティの観点からも非常に重い懸念とされている。
こうした米国政府の懸念を解消するため、TikTokの米国事業を米国企業に売却するという案が浮上した。売却が実現すれば、TikTokの米国事業は米国の企業が運営することになり、米国ユーザーのデータ管理も米国の法律や規制に従って行われるようになる、と米国政府は考えている。これにより、データの透明性と安全性が確保され、米国の国家安全保障上のリスクが低減されると期待されているわけだ。
今回のニュースで特に注目すべきは、オラクルが「クラウドパートナー」として残るという点だ。クラウドとは、インターネット経由でコンピューターの処理能力やデータ保存領域、アプリケーションなどのIT資源を利用できるサービスのことである。企業が自社で高価なサーバーやデータセンターを所有・管理する代わりに、クラウドサービスを提供する専門企業(クラウドプロバイダー)と契約し、必要な時に必要なだけITインフラを利用できる仕組みだ。
オラクルは、このようなクラウドサービスを提供する大手企業の一つであり、今回の交渉では、TikTokの米国ユーザーのデータを処理するためのインフラを提供し続ける役割を担うことになる。具体的には、米国のユーザーがTikTokを利用する際に生成される様々なデータ(動画コンテンツ、ユーザー情報、利用履歴など)が、オラクルが米国国内に持つデータセンターのサーバーに保存され、処理されることになる。これにより、米国のユーザーデータは物理的に米国内に留まり、米国の法制度の下で管理されるという状態が維持される。
システムエンジニアの視点で見ると、これは非常に重要な意味を持つ。データの「ルーティング」という言葉があるが、これはデータがどの経路をたどって、どこで処理されるかを示すものだ。オラクルがクラウドパートナーとしてデータを処理し続けるということは、TikTokの米国ユーザーのデータが、中国を経由せず、直接米国内のオラクルのシステム上で管理・運用されることを意味する。データの保存場所や処理経路をこのように明確にすることで、データの安全性やプライバシー保護に関する米国の要件を満たそうとしているわけだ。
この実現のためには、技術的な側面から見ても多くの課題が伴う。例えば、既存のシステムから米国ユーザーデータだけを分離し、新しいクラウド環境へ移行させる作業は、データの一貫性や整合性を保ちながら行う必要があり、高度な技術と慎重な計画が求められる。また、データが移行された後も、不正アクセスや情報漏洩を防ぐための強固なセキュリティ対策を設計・実装し、常に監視していく必要がある。これらの作業はすべて、システムエンジニアの専門知識とスキルが不可欠となる分野だ。
交渉が長引いているのは、単に事業を売却するだけでなく、技術的なデータ分離の方法、知的財産権の扱い、アプリの運営方法など、多岐にわたる複雑な問題が絡み合っているためと考えられる。米国と中国という二つの大国の政治的な思惑も大きく影響しており、ビジネス、法律、技術、そして国家安全保障が複雑に絡み合った非常に難しい交渉となっている。
このニュースは、現代のITサービスがいかに国際政治や国家間のデータ主権といった問題と密接に結びついているかを示している。今後、システムエンジニアを目指す上では、単に技術的な知識だけでなく、データがどこにあり、誰がどのように管理するのか、といった法制度や地政学的な背景まで理解することが、ますます重要になってくるだろう。