【ITニュース解説】トヨタ自動車東日本、ワークフローシステム「AgileWorks」導入--約9万件の紙帳票を削減
2025年09月12日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「トヨタ自動車東日本、ワークフローシステム「AgileWorks」導入--約9万件の紙帳票を削減」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
トヨタ自動車東日本は、業務の流れを電子化するワークフローシステム「AgileWorks」を導入した。これにより、約9万2000件もの紙帳票を削減し、会社のペーパーレス化と業務の効率化を大きく実現した。
ITニュース解説
トヨタ自動車東日本がワークフローシステム「AgileWorks」を導入し、約9万2000件もの紙帳票の削減と業務効率化を達成したというニュースは、ITが企業の日常業務にどれほど大きな変革をもたらすかを示す良い事例だ。この事例は、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、ITがどのようにビジネスの課題を解決し、企業を成長させていくのかを理解する上で非常に役立つだろう。
まず、「ワークフローシステム」とは何かから説明しよう。ワークフローとは、会社の中での一連の業務の流れを指す。例えば、従業員が何かを申請し、上司がそれを承認し、さらに別の部署が確認するといった一連のプロセスがこれにあたる。これまで多くの企業では、このような申請や承認は紙の書類で行われてきた。従業員が紙の申請書に記入し、それを上司に提出し、上司が印鑑を押して承認し、さらに次の承認者へと回していくという流れだ。この一連の紙のやり取りをコンピューターシステム上で電子的に行うのがワークフローシステムだ。
従来の紙ベースのワークフローには多くの課題があった。まず、紙の書類を作成し、印刷し、手渡しで回すという工程には物理的な時間と手間がかかる。申請者が書類を記入し、承認者が席にいなければ承認が進まず、さらに複数の承認者がいる場合は書類がどこにあるのか分からなくなることもある。また、承認状況を確認するためには、関係者に問い合わせる必要があった。書類の保管場所も問題だ。大量の紙帳票は保管スペースを必要とし、過去の情報を探し出す際には膨大な書類の中から手作業で探し出す手間が生じる。さらに、誤った記入や承認の漏れといったヒューマンエラーのリスクも常に存在した。
トヨタ自動車東日本も、こうした紙帳票にまつわる課題に直面していたと考えられる。エイトレッドが提供するAgileWorksは、このような課題を解決するために導入されたワークフローシステムの一つだ。このシステムを導入することで、これまで紙で行っていた各種申請書や帳票を電子化し、パソコンやスマートフォンから直接入力・申請できるようになった。これにより、申請者はいつでもどこからでも申請手続きを行うことが可能になり、承認者も場所を選ばずに承認作業を進められるようになった。
AgileWorksのようなシステムでは、事前に決められた承認ルートに従って、申請書が自動的に次の承認者へと回される。これにより、書類の紛失や承認の滞留を防ぎ、承認状況もシステム上でリアルタイムに確認できるようになる。誰がいつ承認したかという履歴も全てシステム上に残るため、後から確認することも容易だ。これは内部統制、つまり企業の業務が適切に行われているかを管理する上でも非常に重要な機能となる。
今回の導入により、トヨタ自動車東日本では約9万2000件もの紙帳票が削減されたという。これは非常に大きな数字であり、多くのメリットをもたらす。まず、大量の紙の消費がなくなることで、印刷コストや紙の購入コスト、さらには書類を保管するためのキャビネットや倉庫の費用が削減される。また、紙の書類を電子データとして保存することで、物理的な保管スペースが不要になり、必要な情報を検索する際も、キーワードを入力するだけで瞬時に見つけ出すことが可能になる。これにより、過去のデータを探す手間が大幅に削減され、業務のスピードアップに繋がる。
さらに、紙帳票の削減は「ペーパーレス化」という現代の企業活動において重要なテーマの一つに貢献する。ペーパーレス化はコスト削減だけでなく、環境負荷の低減や、テレワークなどの多様な働き方の実現を後押しする。紙に縛られない働き方が可能になることで、従業員の柔軟な働き方をサポートし、生産性の向上にも寄与する。
業務効率化という点では、申請から承認までのリードタイムが大幅に短縮されることが挙げられる。これまで数日かかっていた申請・承認プロセスが、数時間、あるいは数分で完了することも珍しくない。これにより、業務全体のスピードが上がり、意思決定が迅速になる。ヒューマンエラーのリスクも低減される。例えば、必須項目の入力漏れを防ぐ機能や、計算を自動で行う機能などにより、手作業によるミスが少なくなるのだ。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この事例はITが企業の課題解決にいかに貢献できるかを示す具体的な一歩となる。システムエンジニアの仕事は、単にプログラミングをするだけではない。企業がどのような課題を抱えているのかを理解し、その課題をITの力でどのように解決できるかを考え、最適なシステムを企画・設計し、開発し、導入し、そして運用・保守していくまでの一連のプロセス全体に関わる。
今回のAgileWorksの導入においても、トヨタ自動車東日本の業務を深く理解し、どのような申請書を電子化するか、承認ルートはどうあるべきか、既存のシステムとの連携は必要か、といったことを詳細に定義する「要件定義」の段階から、システムの具体的な設計、そして導入後の従業員への説明やサポートに至るまで、多くのITプロフェッショナルが関わったことだろう。
企業が新しいシステムを導入する際には、現状の業務フローを詳細に分析し、システム化することでどのようなメリットやデメリットが生じるかを評価する必要がある。そして、利用する従業員がスムーズにシステムを使いこなせるように、使いやすいインターフェースや操作性を考慮した設計も重要だ。システムエンジニアは、技術的な知識だけでなく、ビジネスの知識やコミュニケーション能力も求められる職種であり、まさにこのような企業の課題解決の最前線で活躍する存在と言える。
このように、ワークフローシステムの導入は、単に紙をなくすというだけでなく、企業の業務プロセス全体を効率化し、生産性を向上させ、最終的には企業の競争力強化に貢献する。トヨタ自動車東日本の事例は、ITがビジネス変革の強力なツールであり、システムエンジニアがその変革の推進役となることを改めて示している。これからシステムエンジニアを目指す皆さんは、どのような技術が企業のどのような課題を解決できるのかという視点を持つことが、将来のキャリアにおいて非常に重要となるだろう。IT技術を学ぶことは、企業の未来を創ることに直結しているのだ。