lessコマンド(レス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

lessコマンド(レス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

レスコマンド (レスコマンド)

英語表記

less command (レスコマンド)

用語解説

lessコマンドは、UNIX系オペレーティングシステムで標準的に利用される、テキストファイルの内容を閲覧するためのコマンドである。これは「ページャ」と呼ばれる種類のプログラムに分類され、ファイルの内容を1画面ずつ表示する機能を持つ。システムエンジニアが日常的に扱うログファイルや設定ファイルは、しばしば数千行、数万行にも及ぶ長大なものとなる。このような大きなファイルを汎用のテキストエディタで開こうとすると、ファイル全体をメモリに読み込むため、システムの動作が著しく遅くなったり、場合によってはメモリ不足に陥ったりすることがある。しかし、lessコマンドは表示に必要な部分だけをその都度ファイルから読み込む仕組みになっているため、ファイルサイズに関わらず、非常に高速かつ少ないメモリ消費で内容の閲覧を開始できる。この特性は、システムのリソースが限られている状況や、障害調査などで迅速な対応が求められる場面において極めて重要となる。

類似のファイル表示コマンドとしてcatやmoreが存在するが、lessはこれらのコマンドが持つ欠点を克服している。catコマンドはファイルの内容をすべて一度に標準出力へ書き出すため、長いファイルの場合は内容が画面上を高速で流れ去ってしまい、先頭部分を確認することが困難である。一方、moreコマンドはページ単位での表示を可能にしたが、一度次のページに進むと前のページに戻る、つまり後方へのスクロールができないという制約があった。lessコマンドはmoreコマンドの高機能版と位置づけられており、前方スクロールはもちろんのこと、後方へのスクロールも自由自在に行える点が最大の特徴である。これにより、利用者はファイル内の任意の位置をストレスなく行き来できる。

lessコマンドの基本的な使い方は、ターミナルで less ファイル名 と入力して実行する。コマンドが実行されると、指定されたファイルの先頭から1画面分が端末に表示され、利用者はキーボード操作でファイル内を自由に閲覧できる。閲覧を終了する場合は q キーを押す。ファイル内の移動操作は直感的であり、下矢印キーや j キーで1行下に、上矢印キーや k キーで1行上にスクロールする。スペースキーやPageDownキーで1画面分下に、b キーやPageUpキーで1画面分上に移動することも可能だ。また、g キーを押せばファイルの先頭へ、G キー(Shift + g)を押せばファイルの末尾へ一瞬でジャンプできる。

lessコマンドが持つ強力な機能の一つが、ファイル内検索である。ファイルの上から下方向へ特定の文字列を検索するには、/ キーに続けて検索したい文字列を入力し、Enterキーを押す。該当箇所が見つかると、その行にカーソルが移動し、文字列がハイライト表示される。次の候補に移動するには n キーを、前の候補に戻るには N キーを使用する。逆に、ファイルの下から上方向へ検索したい場合は、? キーに続けて検索文字列を入力する。この検索機能は、膨大なログファイルの中から特定のエラーメッセージやキーワードを含む行を効率的に探し出す際に絶大な威力を発揮する。

コマンド実行時にオプションを指定することで、さらに多彩な機能を利用できる。例えば -N オプションを付けて実行すると、各行の先頭に行番号が表示される。これは、複数人でログを確認する際に「何行目の記述を参照してほしい」といった具体的なコミュニケーションを取るのに役立つ。-i オプションは検索時に大文字と小文字を区別しなくなり、検索キーワードの正確な表記が不明な場合に便利である。また、-S オプションは、画面幅を超えるような長い行を折り返さずに表示する。これにより、横に長いログのレイアウトが崩れずに表示され、左右の矢印キーで水平スクロールして全体を確認できるようになる。さらに +F オプションを付けて起動すると、tail -f コマンドと同様に、ファイルへの追記をリアルタイムで監視するモードになる。この監視モードはCtrl+Cで中断し、通常の閲覧モードに移行できる。

lessコマンドの有用性は、ファイルを直接開くだけでなく、他のコマンドの実行結果を受け取って表示する際にも発揮される。これは「パイプ」と呼ばれるシェルの機能を用いて実現され、| 記号でコマンド同士を連結する。例えば、現在実行中のプロセス一覧を表示する ps aux コマンドの出力は非常に長くなるが、ps aux | less と実行することで、その大量の出力をlessの対話的な画面で自分のペースでスクロールしながら確認できる。このように、大量のテキストを出力するコマンドとパイプで組み合わせることは、システム管理業務における基本的なテクニックの一つである。これらの機能により、lessコマンドはシステムエンジニアにとって不可欠なツールとなっている。

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