【ITニュース解説】VS Code、GitHub CopilotのMCPでStreamable HTTP・画像出力に対応 〜再利用可能な指示ファイル・プロンプトファイルの設定や、クイックフィックスでHTML・Markdownの代替テキストの生成も
ITニュース概要
Visual Studio Codeの2025年4月更新で、GitHub Copilotに組み込まれたMCPがStreamable HTTPと画像出力に対応した。これにより、MCPサーバーとの接続にStreamable HTTPが使え、効率的な通信が可能になる。また、画像生成に対応するMCPは、VS Code内で直接画像を生成・出力できるようになり、開発の幅を広げる。
ITニュース解説
Visual Studio Code(VS Code)は、多くのシステムエンジニアやプログラマーが日常的に使う、とても人気の高いソースコードエディターだ。これは、プログラムを書いたり、修正したり、管理したりするための高機能なツールと言える。今回のニュースは、このVS Codeが、プログラミングを助ける人工知能(AI)ツールであるGitHub Copilotと連携して、2025年4月の更新でさらに便利になったという内容である。特に注目すべきは、GitHub Copilotの裏側で動いているMicrosoft Copilot Platform(MCP)という基盤が、大きく進化した点だ。 まず、GitHub Copilotについて簡単に説明しよう。これは、開発者がコードを書く際に、次にどんなコードが必要か、どんな処理をしたいかをAIが予測して提案してくれるツールだ。まるで優秀なペアプログラマーが隣にいるかのように、自動でコードを補完したり、関数全体を生成したりしてくれる。これにより、開発者はより速く、より正確にプログラミングができるようになる。このCopilotの能力を支えているのがMCPというプラットフォームだ。MCPは、CopilotがAIモデルとやり取りし、複雑な処理を実行するための土台となる技術である。今回のアップデートで、このMCPが「Streamable HTTP」と「画像出力」に対応した点が大きな進化だ。 Streamable HTTPとは一体何だろうか。通常、ウェブサイトやアプリケーションがサーバーと通信する際にはHTTPというプロトコルが使われる。これは、リクエストを送ると、サーバーは処理が完了してからまとめて応答を返す、という一方向のやり取りが基本だ。しかし、Streamable HTTPでは、サーバーが処理を「ストリーミング」するように、少しずつデータをリアルタイムで送り続けることができるようになる。これは、動画ストリーミングサービスを想像すると分かりやすいかもしれない。動画全体をダウンロードしなくても、最初から少しずつ再生が始まるように、AIの応答も完全に生成されるのを待つことなく、すぐに少しずつ表示され始める。例えば、長いコードや複雑な解説文をAIに生成してもらう場合、従来の方式では全てが完成するまで待つ必要があったが、Streamable HTTPではAIが生成を始めたそばからその内容を見ることができる。これにより、応答までの体感速度が格段に向上し、ユーザーはよりスムーズにAIとの対話を進めることができるようになる。開発者の作業効率向上に直結する重要な改善点と言える。 次に、「画像出力」への対応についてだ。これまでのGitHub Copilotは、主にテキストベースのコード生成や文章生成が得意だった。しかし、今回の更新により、AIがテキスト情報だけでなく、画像も生成して出力できるようになった。これは、開発プロセスにおいて非常に大きな意味を持つ。例えば、アプリケーションのユーザーインターフェース(UI)のアイデアを素早く形にしたい場合や、ウェブサイトのデザインのラフ案が欲しい場合に、AIに指示を出すだけでイメージに合う画像を生成してもらえる可能性がある。単なるコードの補助に留まらず、より創造的な開発作業にもAIが貢献できるようになる一歩だ。これにより、デザインと実装の間のギャップを埋めたり、初期段階でのアイデアの具現化を早めたりすることが期待できる。 さらに、今回のアップデートでは「再利用可能な指示ファイル・プロンプトファイル」の設定機能も追加された。AIに特定のタスクを実行させるためには、開発者が「プロンプト」と呼ばれる指示を与える必要がある。例えば、「この機能のPythonコードを書いてください」といった具体的な命令のことだ。これまでもプロンプトは入力できたが、繰り返し同じような指示をしたり、チーム内で同じ品質の応答を得たい場合、プロンプトの管理が課題となることがあった。この新機能では、頻繁に使う指示や、特定のルールに基づいたプロンプトをファイルとして保存し、再利用できるようにする。これにより、開発者は毎回同じプロンプトを入力する手間が省け、作業の効率化が図れるだけでなく、チーム全体で高品質で一貫したAIの活用が可能になる。これは、大規模なプロジェクトや、標準化された開発プロセスを持つチームにとって特に大きなメリットをもたらすだろう。 最後に、「クイックフィックスでHTML・Markdownの代替テキストの生成」という新機能についても触れておこう。VS Codeには、コードの問題点を自動で検出し、修正案を提案してくれる「クイックフィックス」という便利な機能がある。今回の更新で、このクイックフィックス機能が強化され、HTMLやMarkdownで記述されたウェブコンテンツにおいて、画像に設定する代替テキスト(`alt`属性)をAIが自動生成してくれるようになった。ウェブアクセシビリティという言葉を聞いたことがあるだろうか。これは、ウェブサイトを誰もが利用できるようにする考え方のことで、視覚に障害を持つ人がスクリーンリーダーというツールを使ってウェブサイトを利用する際、画像の内容を読み上げるために代替テキストが必要になる。これまでは開発者が手動で適切な代替テキストを記述する必要があったが、AIが画像の文脈を理解し、適切な代替テキストを提案してくれることで、開発者の負担が軽減され、同時にウェブサイトのアクセシビリティ向上にも貢献する。これは、ウェブコンテンツの品質向上と開発効率の両面で非常に有用な機能と言える。 これらのアップデート全体を通して言えることは、GitHub Copilotとそれを支えるMCPが、単なるコード補完ツールを超えて、開発者の「共同作業者」としての役割をさらに強化しているということだ。Streamable HTTPによる応答速度の向上、画像生成による創造性の拡張、プロンプト管理による効率化、そして代替テキスト生成によるアクセシビリティ向上と開発負担軽減。これらすべてが、システムエンジニアがより生産的で、より快適に、そしてより質の高いソフトウェア開発を行えるようにするための進化である。AI技術の進歩が、私たちの開発プロセスをどのように変えていくのか、今回のVS CodeとGitHub Copilotの更新は、その未来の一端を示している。