【ITニュース解説】We still chose C++ (instead of Rust) for new database development
2025年09月27日に「Hacker News」が公開したITニュース「We still chose C++ (instead of Rust) for new database development」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
新しいデータベース開発に際し、RustではなくC++が選択された。C++が持つ豊富な実績、高いパフォーマンスと安定性、既存システムとの連携のしやすさなどが、採用の主な理由として挙げられている。
ITニュース解説
新しいデータベースの開発において、どのプログラミング言語を選ぶかは、プロジェクトの成否を左右する重要な判断の一つとなる。近年では、高速性と安全性を兼ね備えたモダンなプログラミング言語としてRustが注目を集めているが、今回、とある新しいデータベースの開発で、Rustではなく長年の実績を持つC++が選択されたというニュースがあった。この選択は、プログラミング言語選定の背後にある様々な考慮事項を浮き彫りにする。
まず、C++という言語について見てみよう。C++は、今からおよそ40年前に誕生した、非常に歴史のあるプログラミング言語である。その最大の特長は、コンピュータのハードウェアに非常に近いレベルで動作を制御できる「低レベル制御」と、プログラムの「実行速度の速さ」にある。これにより、メモリの使用量を極限まで抑えたり、処理のタイミングをミリ秒以下の単位で調整したりといった、高度な最適化が可能となる。データベースのように、膨大なデータを高速かつ安定して処理する必要があるシステムでは、このC++の特性が非常に有利に働くため、長年にわたり主要な開発言語として活用されてきた。また、C++は非常に広範な分野で使われてきたため、開発を支援する豊富なライブラリ(特定の機能を提供する部品)やツールが多数存在し、多くの技術的な課題に対する解決策やノウハウが蓄積されている点も強みだ。
次に、近年注目を集めているRustについて説明する。Rustは2010年代に登場した比較的新しいプログラミング言語で、C++と同様に高速な実行性能を持つ。しかし、Rustが特に強調しているのは「安全性」である。C++では、メモリの不適切な扱いによってプログラムがクラッシュしたり、セキュリティ上の問題が生じたりすることがあった。Rustは「所有権システム」という独自の仕組みを通じて、このようなメモリ関連のバグを、プログラムを実行する前に発見し、修正することを可能にしている。これにより、より堅牢で信頼性の高いソフトウェアを開発しやすくなる。さらに、複数の処理を同時に効率よく実行する「並行処理」を安全に記述しやすいように設計されているため、現代のマルチコアCPUの性能を最大限に引き出すシステム開発においても、その魅力が高まっている。
では、なぜ新しいデータベースの開発において、安全性とモダンさを兼ね備えたRustではなく、C++が選ばれたのだろうか。いくつかの可能性が考えられる。 一つ目の理由は、開発チームの「スキルセット」である。もし、プロジェクトに携わるエンジニアたちがC++での開発経験が豊富で、C++の言語仕様や開発ノウハウに精通している場合、彼らが慣れ親しんだC++で開発を進める方が、効率的かつ高品質な成果物を生み出しやすい。新しい言語であるRustをチーム全員が習得するには、時間とコストがかかり、プロジェクトの進行に影響を与える可能性があるため、このような状況ではC++が選択されることもある。
二つ目の理由は、「既存のエコシステム」の成熟度にある。C++は長い歴史を持つため、データベース開発に必要な様々なライブラリ、フレームワーク、および開発ツールが非常に豊富に揃っている。特定のデータベース技術との連携や、特定の種類の最適化を実現するために必要なC++ライブラリが既に存在する場合、それを活用することで開発期間やコストを大幅に削減できる。Rustのエコシステムも急速に発展しているが、まだC++ほど広範で多様なツールやライブラリが成熟しているとは言えない分野も存在し、そのような状況でC++が有利になることがある。
三つ目の理由として、「究極のパフォーマンスと低レベル制御」への要求が挙げられるかもしれない。Rustも非常に高速な言語であるが、C++は数十年にわたる最適化の歴史と、ハードウェアに直接アクセスして細部まで制御する能力において、特定の極限的な要件においては依然として一日の長がある。データベースの中核部分では、わずかな遅延も許されない非常に厳しい性能基準が求められることがあり、長年培われてきたC++の深い知識と最適化技術が、最終的な選択をC++に傾けさせた可能性も考えられる。
最後の理由として、「プロジェクトのリスク管理」が挙げられる。Rustは比較的新しい言語であるため、まだ言語仕様やエコシステムが完全に安定しきっていない部分も存在する。例えば、一部のライブラリがまだ開発途上であったり、将来的に言語の大きな変更がある可能性もゼロではない。大規模で長期的なデータベース開発プロジェクトにおいては、安定性や将来にわたる予測可能性が非常に重視されるため、実績と安定性のあるC++を選択することで、開発における不確実性や潜在的なリスクを低減しようとした可能性もある。
このニュースは、プログラミング言語の選択が、単に新しい技術を取り入れるべきだという短絡的なものではなく、チームの技術力、既存の資産、プロジェクトの具体的な要件、リスク許容度、開発期間や予算といった多角的な要素を総合的に考慮して行われる、戦略的な経営判断であることを示している。最新の技術が常に最善とは限らず、状況に応じた最適な選択がプロジェクト成功の鍵を握るのだ。