【ITニュース解説】レッドオーシャンに一石を投じるつもりで変なSNSを8ヶ月以上運営してかなり病んだ話
2025年09月05日に「Zenn」が公開したITニュース「レッドオーシャンに一石を投じるつもりで変なSNSを8ヶ月以上運営してかなり病んだ話」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
新SNS「Keik」は、リアルタイムな文字入力共有、画面中継機能など、既存SNSにない独自機能を持つ。BlueskyのAT Protocolと連携し、独自の疑似通貨や物理演算リアクションも搭載。8ヶ月以上の運営で、開発者は苦労している。
ITニュース解説
この記事は、Keikという独自SNSを8ヶ月以上運営した経験をまとめたものだ。システムエンジニアを目指す初心者に向けて、この記事の内容を分かりやすく解説する。
まず、Keikは既存のSNSとは異なる、非常にユニークな機能を多数搭載している。その中でも特に注目すべきは、リアルタイム性の追求と、分散型SNSへの取り組みだ。
リアルタイム性に関して、Keikは大きく分けて2つの機能を提供している。1つは、45秒という制限時間の中で、タイピング内容をリアルタイムに共有できる機能だ。これは、従来のSNSのような投稿ボタンを押してからの公開ではなく、入力中からコミュニケーションが始まるという新しい体験を提供する。まるで対面で会話しているかのように、相手の反応を見ながら文章を作成できるため、より自然で臨場感のあるやり取りが期待できる。さらに、タイピングの内容はリプレイ可能な形で記録されるため、後から会話の流れを振り返ったり、議論の過程を分析したりすることも可能だ。
もう1つのリアルタイム機能は、閲覧者の画面をリアルタイムで相手のプロフィール画面に中継するというものだ。これは、単に誰が見ているかを知るだけでなく、相手がどのようなコンテンツを見ているのか、どのような操作をしているのかを把握できるという点で画期的だ。プライバシーへの配慮は重要だが、使い方によっては、より深い共感や理解を促進するツールになる可能性がある。例えば、同じアーティストの作品を同時に鑑賞していることを知ることで、共通の趣味を持つ人同士が自然に繋がったり、特定のニュース記事について議論している様子を共有することで、より建設的な意見交換が生まれたりするかもしれない。
次に、分散型SNSへの取り組みについてだ。Keikは、ActivityPubではなく、Bluesky社のAT Protocolを採用している。ActivityPubはMastodonなどのSNSで採用されている分散型プロトコルとして有名だが、AT ProtocolはTwitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏が主導するBlueskyプロジェクトで開発されている、比較的新しいプロトコルだ。Keikは、AT Protocolにおいて3番目に大きいPDS(Personal Data Server)を擁しており、これは、Blueskyのエコシステムにおいて重要な役割を果たしていることを意味する。
分散型SNSの利点は、中央集権的なプラットフォームに依存しないことだ。従来のSNSでは、プラットフォームの方針変更や検閲によって、ユーザーの表現の自由が制限されたり、アカウントが突然停止されたりするリスクがある。しかし、分散型SNSでは、ユーザーは自分のデータを自分で管理し、複数のサーバー(PDS)に分散して保存できるため、そのようなリスクを軽減できる。また、異なるサーバーに所属するユーザー同士でも、相互にコミュニケーションを取ることが可能だ。
その他にも、Keikには独自の機能が搭載されている。例えば、疑似通貨"High-Potion"は、SNS内での経済活動を活性化させるための仕組みとして導入されていると考えられる。ユーザーは、コンテンツの作成や共有、他のユーザーとの交流などを通じてHigh-Potionを獲得し、それを他のユーザーへの投げ銭や、特別な機能の利用などに利用できる。
また、物理演算が適用されるリアクション機能は、従来の「いいね」ボタンや絵文字によるリアクションとは異なる、よりインタラクティブな表現を可能にする。例えば、オブジェクトを投げつけたり、積み上げたり、破壊したりすることで、感情をよりダイレクトに伝えることができる。
これらの特徴的な機能から、Keikは単なるSNSではなく、新しいコミュニケーションの形を模索する実験的なプラットフォームであると言える。開発者は、既存のSNSの課題を解決し、より自由で創造的な表現を可能にするために、様々な技術的な挑戦を行っている。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、Keikの開発・運営は、非常に興味深い事例となるだろう。なぜなら、Keikは、Web技術、データベース技術、ネットワーク技術、セキュリティ技術など、様々な分野の知識を必要とする複雑なシステムだからだ。
Keikのソースコードは公開されていないため、具体的な実装方法を学ぶことはできないが、そのコンセプトやアーキテクチャを理解することで、今後のシステム開発に役立つヒントを得ることができる。
特に、分散型SNSの仕組みや、リアルタイム通信技術、物理演算のWebへの応用などは、将来的に重要なスキルとなる可能性がある。KeikのようなユニークなSNSの開発・運営に携わることは、システムエンジニアとしての成長を大きく加速させるはずだ。