コマンドプロンプト (コマンドプロンプト) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コマンドプロンプト (コマンドプロンプト) の読み方

日本語表記

コマンドプロンプト (コマンドプロンプト)

英語表記

Command Prompt (コマンドプロンプト)

コマンドプロンプト (コマンドプロンプト) の意味や用語解説

コマンドプロンプトは、Microsoft Windowsオペレーティングシステムに標準で搭載されているツールの一つである。これはCUI(Character User Interface)と呼ばれるインターフェースの一種であり、ユーザーはキーボードから特定の文字列(コマンド)を入力することで、コンピュータに様々な指示を与えることができる。現代のコンピュータ操作は、アイコンやウィンドウをマウスで操作するGUI(Graphical User Interface)が主流であるが、コマンドプロンプトはテキストベースの操作に特化している。システムエンジニアや開発者にとっては、GUIでは実行が難しい、あるいは非効率的なタスクを迅速かつ正確に処理するための必須ツールである。例えば、大量のファイルに対する一括処理、詳細なネットワーク設定の確認、プログラムの自動実行など、専門的な作業においてその真価を発揮する。サーバー環境ではGUIが提供されないことも多く、コマンドライン操作のスキルは不可欠となる。したがって、システムエンジニアを目指す者にとって、コマンドプロンプトの習得は基本的なスキルセットの一部と言える。 コマンドプロンプトを起動するには、スタートメニューの検索ボックスに「cmd」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」アプリケーションを実行するのが一般的である。起動すると、黒い背景に白い文字が表示されたウィンドウが現れる。画面には「C:\Users\Username>」のような文字列が表示されており、これをプロンプトと呼ぶ。プロンプトは、現在操作対象となっているディレクトリ(カレントディレクトリ)を示し、同時にコンピュータがユーザーからのコマンド入力を待っている状態であることを意味する。ユーザーはこのプロンプトに続けてコマンドを入力し、Enterキーを押すことでコマンドを実行する。コマンドは、その役割を端的に示す英単語やその略語で構成されることが多い。コマンドには、その動作を細かく制御するための「オプション」や、操作対象を指定するための「引数」を付加することができる。例えば、「dir /w」というコマンドでは、「dir」がコマンド本体、「/w」がオプションであり、「dir」コマンドの表示形式をワイドフォーマットに変更する指示となる。 コマンドプロンプトで利用できる基本的なコマンドは多岐にわたるが、まずはファイルやディレクトリを操作するコマンドを覚えることが第一歩となる。カレントディレクトリを変更するには「cd」コマンドを使用する。「dir」コマンドは、カレントディレクトリに含まれるファイルやサブディレクトリの一覧を表示する。新しいディレクトリを作成するには「mkdir」、空のディレクトリを削除するには「rmdir」を用いる。ファイルのコピーは「copy」、移動は「move」、削除は「del」コマンドで行う。これらのコマンドを組み合わせることで、GUIのエクスプローラーで行うほとんどのファイル操作が可能となる。 ネットワーク関連の操作もコマンドプロンプトの得意分野である。自身のコンピュータのIPアドレスやMACアドレスといったネットワーク設定を確認するには「ipconfig」コマンドが役立つ。「/all」オプションを付けると、より詳細な情報が表示される。特定のサーバーや機器との通信が正常に行えるかを確認するには「ping」コマンドを使用し、ドメイン名からIPアドレスを調べる名前解決には「nslookup」コマンドが用いられる。これらのコマンドは、ネットワークトラブルの切り分けを行う際の基本的なツールとなる。 システムの情報を取得したり、プロセスを管理したりするコマンドも重要である。コンピュータのOSバージョンやメモリサイズなどの詳細なシステム情報を表示するには「systeminfo」コマンドが便利である。現在実行中のプログラムやサービス(プロセス)の一覧を確認するには「tasklist」を、特定のプロセスを強制的に終了させたい場合には「taskkill」コマンドを使用する。コマンドの使い方がわからない場合は、「help」コマンドで利用可能なコマンドの一覧を表示したり、「コマンド名 /?」と入力することで、特定のコマンドの詳細な使い方(ヘルプ)を確認したりできる。 さらに、コマンドプロンプトには作業を効率化するための高度な機能も備わっている。その一つが「リダイレクション」である。これは、コマンドの実行結果の出力先を、標準の画面からファイルへ変更する機能である。「>」記号を用いると、例えば「dir > filelist.txt」のように、dirコマンドの結果を「filelist.txt」という名前のファイルに保存できる。また、「パイプ」と呼ばれる「|」記号を使えば、あるコマンドの実行結果を、別のコマンドの入力として直接渡すことができる。例えば、「dir | find ".txt"」と入力すると、dirコマンドの出力結果の中から「.txt」という文字列を含む行だけを抽出して表示することができる。 これらのコマンドを組み合わせた一連の処理を一つのファイルにまとめて記述し、一括で実行する仕組みが「バッチファイル」である。拡張子「.bat」または「.cmd」を持つテキストファイルに実行したいコマンドを順番に記述しておくことで、ファイルを実行するだけで定型的な作業を自動化できる。これにより、日々のバックアップ作業や定期的なログファイルの整理など、反復的なタスクの効率を劇的に向上させることが可能となる。 以上のように、コマンドプロンプトは一見すると地味で扱いづらいインターフェースに見えるかもしれないが、その本質はコンピュータの機能を直接的かつ効率的に引き出すための強力なツールである。基本的なコマンドから応用的な機能まで段階的に習得することで、システムエンジニアとして必要な問題解決能力や作業効率を高めることができるだろう。

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