疎通確認 (ソツウカクニン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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疎通確認 (ソツウカクニン) の読み方

日本語表記

通信確認 (ツウシンカクニン)

英語表記

Connectivity check (コネクティビティチェック)

疎通確認 (ソツウカクニン) の意味や用語解説

「疎通確認」とは、ネットワークに接続された複数の機器やシステムが、互いに正常に通信できる状態にあるかを確認する作業である。この確認作業は、単にケーブルが物理的に繋がっているかを見るだけでなく、IPアドレスなどの論理的な設定が正しく、データが相手に届いて適切に応答が返ってくるかまでを検証する。システム構築時、運用中、トラブル発生時など、多岐にわたる場面で必要不可欠な基本的なプロセスであり、安定した情報システム稼働の基盤を形成する。 詳細 疎通確認は、ITシステムにおいて非常に重要な役割を担う。システムが設計通りに動作するためには、構成要素であるサーバー、クライアント端末、ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)が相互に通信できる状態にあることが大前提となる。 システム導入時、構築したネットワーク環境やサーバーの設定が、事前に定めた設計通りに機能しているかを検証するために疎通確認を行う。これは、機器の接続ミスや設定漏れ、あるいは初期不良といった潜在的な問題を早期に発見し、修正するために不可欠な工程である。例えば、新しいサーバーをデータセンターに設置した後、そのサーバーが社内ネットワークやインターネットに正しく接続されているかを確認する。 運用中においても、疎通確認は定期的なシステムヘルスチェックや、予期せぬ通信障害が発生した際の初動調査として実施される。例えば、あるWebサービスにアクセスできなくなった場合、まずサービスを提供しているサーバーと自分の端末の間で通信が確立されているかを確認することから問題の切り分けが始まる。通信の途絶は、ネットワークケーブルの断線、ネットワーク機器の故障、IPアドレス設定の誤り、ファイアウォールによる通信ブロック、あるいはサービスを提供するアプリケーションの停止など、様々な原因が考えられる。疎通確認は、これらの原因を特定する上で最初のステップとなる。 疎通確認の具体的な手法としては、いくつかのコマンドラインツールが一般的に利用される。 最も基本的なのが「Ping (Packet Internet Groper)」コマンドである。これは、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)のエコー要求(Echo Request)パケットを対象の機器に送信し、その機器からエコー応答(Echo Reply)パケットが返ってくるかを確認するツールである。Pingが成功すれば、送信元から宛先までの基本的なIPレベルでの到達性があり、経路上のルーターやスイッチが正しく機能していることがわかる。応答がない場合は、宛先が停止している、ネットワーク経路が存在しない、あるいはファイアウォールによってICMP通信がブロックされているなどの可能性が考えられる。Pingの実行結果からは、応答時間(ラウンドトリップタイム)やパケットロス率も確認でき、これによってネットワークの混雑具合や通信品質の目安を得ることができる。 次に「Traceroute (WindowsではTracert)」コマンドがある。これは、送信元から宛先までのパケットが経由するルーターやホップを特定するツールである。Tracerouteは、IPパケットのTTL(Time To Live)という値を段階的に増やしながらパケットを送信し、途中のルーターがTTLが0になったパケットを破棄する際に送信元に返すICMPの「Time Exceeded」メッセージを利用して経路情報を収集する。これにより、ネットワーク上のどこで通信が途絶えているのか、あるいは特定の区間で著しい遅延が発生しているのかを視覚的に把握でき、問題箇所の特定に役立つ。 さらに、特定のサービス(例えばWebサーバーのHTTPサービスやSSHサービスなど)が稼働しているか、そのポートが開いているかを確認するために「Telnet」や「Netcat (nc)」といったコマンドが用いられることがある。これらのツールは、TCPやUDPの特定のポートに対して接続を試み、接続が成功するか否かでアプリケーションレベルでの疎通を確認する。PingやTracerouteがネットワーク層やインターネット層の疎通を確認するのに対し、TelnetやNetcatはトランスポート層以上の疎通、つまり目的のアプリケーションが応答できる状態にあるかを確認する際に有効である。例えば、WebサーバーのIPアドレスとポート番号80(HTTP)を指定してTelnetを試み、接続が確立すればWebサービスが稼働しており、ファイアウォールなども通過できる状態にあると判断できる。接続できない場合は、Webサーバーアプリケーションが停止しているか、ファイアウォールによってポートが閉じられている可能性がある。 これらのコマンド以外にも、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーの設定が正しいかを確認したり、物理的なケーブルの接続状態や、ネットワーク機器のランプ状態を目視で確認することも疎通確認の重要な一部である。 疎通確認は、ネットワークトラブルシューティングの第一歩であり、システムエンジニアにとって必須のスキルである。これらのツールと手順を理解し、適切に利用することで、問題の原因を効率的に特定し、システムの安定稼働を維持するための基盤を築くことができる。ただし、疎通確認はあくまで通信の有無や経路、特定のポートの開閉を確認するものであり、アプリケーション内部のロジックエラーやデータベースの問題など、より上位層の複雑な問題までは直接的に特定できない限界も理解しておく必要がある。

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