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goto文(ゴートゥーぶん)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

goto文(ゴートゥーぶん)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ゴートー文 (ゴートーブン)

英語表記

goto statement (ゴートゥー ステートメント)

用語解説

goto文は、プログラムの実行フローを制御するための命令の一つであり、指定されたラベルの位置へ無条件にジャンプさせる機能を持ち、主に手続き型プログラミング言語で利用される。これは、プログラムの特定の部分から、別の部分へと直接処理を移動させることを可能にする。

その基本的な動作原理は、コード中に設定された「ラベル」と呼ばれる目印に向かって、実行の流れを強制的に移動させるというものだ。例えば、goto label_name;という記述があれば、プログラムはlabel_name:と記述された行を探し、その行から処理を再開する。この際、間にどのような処理があったとしても、それらをスキップして指定された場所へ飛ぶため、非常に強力なジャンプ機能と言える。

歴史的に見ると、goto文はアセンブリ言語や初期の高級言語において、プログラムの制御構造を記述する上で重要な役割を果たしていた。当時のコンピューターの処理は、現在のものよりもはるかに単純であり、低レベルな操作を直接的に記述することが求められたため、goto文のような直接的なジャンプ命令は効率的なプログラミング手段の一つとみなされていた。例えば、複数の条件分岐を複雑に組み合わせたり、エラー発生時に処理を特定のリカバリ地点へ飛ばしたりする場合に、goto文が利用されることがあった。また、多重ループから一気に脱出する際など、限定的な場面で現在でもその利便性が指摘されることがある。

しかし、goto文の使用は現代のプログラミングパラダイムにおいては非常に強く推奨されない。その最大の理由は「スパゲッティコード」の温床となることである。スパゲッティコードとは、goto文による無秩序なジャンプが多用されることで、プログラムの実行経路が絡み合った麺のように複雑になり、人間には追いかけにくい状態を指す。このようなコードは、どこからどこへ処理が飛ぶのかを予測しづらく、プログラム全体の流れを把握することが極めて困難になる。

この問題は、プログラムの可読性と保守性を著しく低下させる。可読性が低いコードは、後から別の開発者が内容を理解しようとした際に多大な時間と労力を要するだけでなく、記述した本人でさえ時間が経つと理解に苦しむことがある。また、特定の部分を修正しようとした際に、意図しない場所へ影響が波及する可能性が高まり、バグの発生リスクが増大する。さらに、処理の流れが線形的でないため、デバッグ作業も非常に困難になる。どこでエラーが発生したのか、どのようにしてその状態に至ったのかを追跡するのが難しくなるためだ。

goto文の大きな問題点は、現代のプログラミングの基本原則である「構造化プログラミング」の思想と真っ向から対立することにもある。構造化プログラミングでは、プログラムの制御フローをシーケンス(順次実行)、選択(if-else文による条件分岐)、反復(for文やwhile文による繰り返し)の3つの基本的な構造に限定し、プログラムの論理構造を明確にすることを重視する。これにより、コードの理解しやすさ、信頼性、保守性を向上させることを目指す。goto文はこれらの構造を飛び越えて任意の位置へジャンプするため、構造化プログラミングが目指す論理的な流れを破壊してしまう。結果として、関数やモジュールといった独立した単位でのプログラム設計を妨げ、プログラム全体の整合性を損なうことになる。

このようなgoto文の有害性については、1968年にエドガー・ダイクストラが発表した「Go To Statement Considered Harmful(goto文有害論)」という論文が大きな影響を与え、以降、多くのプログラミング言語設計者や開発者がgoto文の使用を避けるべきであるという認識を持つようになった。

現代のプログラミングでは、goto文がかつて担っていた役割のほとんどを、より洗練された代替手段が果たしている。例えば、エラー処理や特定の条件での処理中断には、return文を用いた関数の早期終了や、try-catchブロックを用いた例外処理機構が用いられる。ループからの脱出には、break文やcontinue文といったループ制御構文が提供されており、これらはループの範囲内でのジャンプに限定されるため、goto文のような無秩序なジャンプを防ぎつつ、意図を明確に表現できる。

結論として、goto文はプログラムの実行を直接制御する強力な手段であるが、その自由度の高さゆえにプログラムを極めて複雑にし、可読性、保守性、デバッグの困難さといった重大な問題を引き起こす可能性が高い。そのため、ごく限られた低レベルなプログラミングや、特定のアセンブリ言語に近い記述が求められる特殊な状況を除き、現代のシステム開発においてはほとんど使用されず、その使用は避けるべきであると強く認識されている。システムエンジニアを目指す上では、goto文に頼ることなく、構造化プログラミングの原則に従った、明確で理解しやすいコードを書くことが極めて重要である。

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