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アイデンティティ管理(アイデンティティカンリ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アイデンティティ管理(アイデンティティカンリ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

アイデンティティ管理 (アイデンティティカンリ)

英語表記

identity management (アイデンティティ マネジメント)

用語解説

アイデンティティ管理は、デジタル環境における「誰が」「何に」「何を」できるかを管理するための一連の仕組みやプロセスである。情報システムやサービスにおいて、ユーザーが本物であることを確認し(認証)、そのユーザーにどのような操作を許可するか(認可)を決定し、それを継続的に監視・記録することを指す。企業や組織が保有する情報資産を安全に保ちつつ、従業員や顧客の利便性を高めるために不可欠な基盤技術だ。

現代のITシステムは非常に複雑で、多くのアプリケーションやサービスが連携し、クラウド環境の利用も一般的である。このような環境では、多種多様なユーザーが、PC、スマートフォン、IoTデバイスなど様々な端末から、組織内外の様々なリソースにアクセスする。アイデンティティ管理は、これらすべてのアクセスを適切に制御し、セキュリティリスクを最小限に抑え、同時にユーザーがスムーズに業務を行えるようにすることを目的としている。

具体的に、アイデンティティとはデジタル世界における個人の「身分証明書」のようなものだ。これは単にユーザー名やパスワードだけでなく、その人物の所属、役職、アクセス履歴、さらにはシステムが識別する一意の識別子(ID)など、様々な属性情報を含む。アイデンティティ管理は、このデジタルな身分をライフサイクル全体にわたって一元的に管理する。

なぜアイデンティティ管理が必要か、その詳細を見ていこう。第一にセキュリティの強化がある。適切なアイデンティティ管理がなければ、誰でもシステムにアクセスできてしまう可能性があり、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まる。例えば、退職者のアカウントが削除されずに残っていると、そのアカウントが悪用される恐れがある。アイデンティティ管理は、アカウントの作成から停止、削除までを適切に管理することで、このようなセキュリティホールを塞ぐ。また、多要素認証(MFA)のような強固な認証手段を導入することで、パスワードが漏洩した場合でも不正アクセスを防ぐことが可能になる。

第二に利便性の向上と管理負荷の軽減だ。多くのシステムで個別にアカウントを管理していると、ユーザーはそれぞれのシステムで異なるIDやパスワードを覚える必要があり、パスワード忘れやリセットの頻度が増加する。これはユーザーにとって大きな負担であり、IT部門にとってもパスワードリセット対応などの管理負荷となる。アイデンティティ管理システムは、シングルサインオン(SSO)機能を提供することで、一度の認証で複数のアプリケーションやサービスにアクセスできるようにし、ユーザーの利便性を大幅に向上させる。また、アカウントの一元管理により、人事異動や組織変更に伴うアクセス権限の変更も効率的に行えるようになり、管理者の負担を軽減する。

第三にコンプライアンス(法令遵守)と監査対応がある。企業や組織は、個人情報保護法や各種業界規制など、多くの法令やガイドラインを遵守する義務がある。これらの規制は、誰が、いつ、どのような情報にアクセスしたかを記録し、必要に応じて監査に対応できる体制を求めている。アイデンティティ管理は、すべてのアクセスログを一元的に収集・管理し、適切なアクセス権限が付与されていることを証明するための証跡を提供する。これにより、不正行為の早期発見や責任追及を可能にし、コンプライアンス遵守を支援する。

アイデンティティ管理が具体的にどのような機能で構成されるかというと、主に以下の要素が挙げられる。

プロビジョニングとデプロビジョニングは、ユーザーが入社、異動、退職する際に、システム全体でユーザーアカウントを自動的に作成、更新、削除する機能だ。これにより、アカウントの作成漏れや削除漏れを防ぎ、セキュリティを確保しつつ管理を効率化する。

認証(Authentication)は、ユーザーが「自分は誰である」と主張する身元が、本当に正しいかを検証するプロセスだ。パスワードによる認証が最も一般的だが、指紋や顔認証といった生体認証、ワンタイムパスワードやスマートフォンアプリを使った多要素認証など、より強力な方法も存在する。

認可(Authorization)は、認証されたユーザーに対して、どのリソース(ファイル、データベース、アプリケーションの機能など)へのアクセスを許可し、どのような操作(読み取り、書き込み、削除など)を許可するかを決定するプロセスだ。これは通常、ユーザーの役割や所属に基づいてアクセス権限を付与するロールベースアクセス制御(RBAC)などの方法で行われる。

シングルサインオン(SSO)は、ユーザーが一度ログインすれば、その後は複数の異なるアプリケーションやサービスに対して再認証なしでアクセスできるようになる機能だ。ユーザーの利便性を高め、パスワード管理の負担を軽減する。

パスワード管理は、パスワードの強度要件の設定、有効期限管理、履歴管理、複雑性ルールの適用、ユーザー自身によるパスワードリセット機能など、セキュアなパスワード運用を支援する機能だ。

監査とレポーティングは、誰が、いつ、どこから、どのシステムにアクセスし、どのような操作を行ったかといった情報を詳細に記録し、そのログを分析・報告する機能だ。これにより、セキュリティインシデントの早期発見やコンプライアンス監査への対応が可能となる。

これらの機能は、LDAP(軽量ディレクトリアクセスプロトコル)やMicrosoft Active Directoryといったディレクトリサービス、あるいはOAuthやOpenID Connect、SAMLなどの標準化された認証・認可プロトコルを基盤として実装されることが多い。クラウドサービスの利用が加速する現代において、組織内外に散在するアイデンティティを一元的に管理し、セキュアで効率的なアクセス環境を実現するアイデンティティ管理の重要性は、今後ますます高まっていくのは間違いない。

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