int16(インティジュエイティーシックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
int16(インティジュエイティーシックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
符号付き16ビット整数 (フゴウツキジュウロクビットセイ スウ)
英語表記
int16 (インティシックスティーン)
用語解説
int16は、コンピュータのプログラミングにおいて使用されるデータ型の一つである。これは「符号付き16ビット整数型」を意味し、正の数、負の数、そしてゼロを含む整数値を格納するために用いられる。名称の「int」は整数を意味する「integer」の略であり、「16」は、このデータ型が情報を表現するために使用するメモリのサイズが16ビットであることを示している。システム開発において、扱うデータの性質や範囲に応じて適切なデータ型を選択することは、メモリの効率的な利用やプログラムの性能に直結するため、int16のような基本的なデータ型の理解は非常に重要である。
詳細を説明する。コンピュータ内部では、すべての情報が0と1の羅列である二進数で処理される。この0か1の情報を保持する最小単位を「ビット」と呼ぶ。int16は、このビットが16個連なったデータ領域を使用して一つの数値を表現する。コンピュータの世界では、8ビットをひとまとめにして「1バイト」という単位で扱うことが一般的であるため、16ビットは2バイトのメモリサイズに相当する。この2バイトという限られた領域に、どのような範囲の整数を、どのように格納するのかがint16型の仕様によって定められている。
int16は「符号付き」整数型であるため、正の数と負の両方を扱うことができる。16ビットを使用すると、表現できる情報の組み合わせは2の16乗、すなわち65,536通りとなる。この65,536通りのパターンを、正の数、負の数、そしてゼロに割り当てる。そのために、16個のビットのうち、最も左側に位置する1ビット(最上位ビット)が「符号ビット」として特別な役割を担う。この符号ビットが0の場合はその数値が正またはゼロであることを示し、1の場合は負であることを示す。残りの15ビットが数値の絶対的な大きさを表現するために使われる。この仕組みにより、int16が表現できる数値の範囲は、-32,768から32,767までとなる。負の数の表現には「2の補数」と呼ばれる形式が広く採用されており、この方式の特性上、負の数の範囲が正の数よりも一つだけ広くなる。
一方で、扱うデータが負の値を取らないことが明確な場合、例えば物体の個数や絶対温度などを扱う際には、「符号なし16ビット整数型(unsigned int16)」が用いられる。これは、uint16などの型名で表現されることが多い。このデータ型では、符号ビットとして使われていた最上位ビットも数値の大きさを表現するために使用される。そのため、16ビットすべてを使って0以上の値を表現することになり、その範囲は0から65,535までとなる。int16とuint16は同じ16ビット(2バイト)のメモリを消費するが、符号の有無によって表現できる数値の範囲が異なるため、用途に応じて使い分ける必要がある。
プログラミング言語には、int16以外にも様々なサイズの整数型が用意されている。例えば、int8(1バイト)、int32(4バイト)、int64(8バイト)などがある。int8は-128から127、int32は約-21億から約21億という非常に広い範囲を表現できる。どの型を選択するかは、扱う数値の範囲とメモリ効率のトレードオフによって決定される。例えば、-100から100までの値しか取らないデータに対して、巨大な数値を格納できるint64を使用するのはメモリの無駄遣いとなる。逆に、int16の範囲を超える可能性がある数値を扱う変数にint16型を割り当てると、後述するオーバーフローという問題を引き起こす。int16は、int8では範囲が不足するが、int32ほどの広い範囲は必要ない、という中間的な規模の数値を扱う際に最適な選択肢となる。具体的な用途としては、センサーから取得される測定値、ゲームキャラクターの能力値、小規模なグラフィックデータの色情報などが挙げられる。特に、同じ型のデータを大量に配列として保持する場合、データ型をint32からint16へ変更するだけで、全体のメモリ使用量を半分に削減できるため、パフォーマンスの観点から非常に有効な選択となることがある。
注意すべき点として、int16型の変数がその表現可能な範囲を超えた値を持とうとすると、「オーバーフロー」または「アンダーフロー」という現象が発生する。例えば、int16の最大値である32,767が格納された変数に1を加算すると、結果は32,768にはならず、多くの処理系では最小値である-32,768になる。これは、数値の表現が円環状になっていると解釈できるためである。この予期せぬ挙動は、プログラムの深刻なバグやセキュリティ上の脆弱性の原因となりうるため、int16を使用する際は、扱うデータがその範囲内に確実に収まることを保証する設計が不可欠である。
なお、int16という名称は概念的なものであり、プログラミング言語によって具体的な型名が異なる場合がある。C言語やC++ではshort、C#やJavaではshortというキーワードが一般的にint16に相当するデータ型として定義されている。したがって、実際にプログラムを記述する際には、使用する言語の仕様を確認する必要がある。