IP53B(アイピーごうさんビー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
IP53B(アイピーごうさんビー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
アイピーごうさんビー (アイピーゴウサンビー)
英語表記
IP53B (アイピーごうごうさんビー)
用語解説
IP53Bとは、電気製品や機械装置の筐体が、外部からの固形物や水の侵入に対してどの程度の保護性能を持つかを示す国際規格「IPコード」の一つである。IPコードは、国際電気標準会議(IEC)によって定められた規格(IEC 60529)であり、日本語では「保護等級」や「防水防塵規格」とも呼ばれる。システムエンジニアは、サーバーやネットワーク機器、センサーなどの物理的なハードウェアを取り扱う場面が多く、設置環境に適した機器を選定するために、このIPコードを正しく理解することが極めて重要となる。IP53Bという表記は、「IP」という接頭辞、固形物に対する保護等級を示す第一特性数字「5」、水に対する保護等級を示す第二特性数字「3」、そして危険な部分への接近に対する保護等級を示す付加文字「B」の4つの要素で構成されている。これらの組み合わせによって、その機器がどのような物理的環境に耐えうるか、またどの程度の安全性が確保されているかを具体的に知ることができる。
まず、最初の数字である「5」は、固形異物の侵入に対する保護等級を表す。この等級は0から6までの7段階で定義されており、数字が大きいほど保護性能が高いことを示す。「5」は「防塵形」と定義される。これは、粉塵の侵入を完全に防ぐ、いわゆる「完全な防塵構造」ではないが、機器の正常な動作を妨げたり、安全性を損なったりするほどの量の粉塵が内部に侵入しないレベルの保護性能を持つことを意味する。例えば、軽度の粉塵が発生する工場や倉庫、あるいは屋外環境に設置される機器において、内部の電子回路や精密な機構を粉塵による故障から守るために要求されることが多い等級である。システムを設計する際、設置場所の環境を評価し、粉塵のリスクがある場合には、少なくともIP5x以上の等級を持つ機器を選定することが安定稼働の鍵となる。
次に、2番目の数字である「3」は、水の浸入に対する保護等級を表している。この等級は0から8までの9段階(特殊なものを含めるとさらに増える)で定義されており、こちらも数字が大きいほど高い防水性能を持つ。「3」は「防噴流形」と定義される。具体的には、鉛直方向から両側に60度までの角度で噴霧された水によって有害な影響を受けないことを試験によって保証するものである。これは、あらゆる方向からの雨や水しぶきを防ぐことを想定した保護レベルであり、屋根のある屋外や、水しぶきがかかる可能性のある場所に設置される機器に適している。監視カメラや屋外設置用の通信機器などで見られる等級である。ただし、IPx3は、ホースで直接強い水流を当てたり、水中に沈めたりするような状況には耐えられない。より過酷な防水性能が求められる環境では、IPx5(噴流水に対する保護)やIPx7(一時的な水没に対する保護)といった、さらに高い等級の製品を選択する必要がある。
最後に、末尾のアルファベット「B」は、付加文字と呼ばれるもので、人体の特定部位が筐体内部の危険な箇所へ接近することに対する保護等級を示している。これは主に感電などの事故を防止するための安全規格としての側面が強い。付加文字にはA、B、C、Dの4種類があり、それぞれ保護対象となる部位の大きさが異なる。「B」は「指による接近に対して保護されている」ことを示す。試験では、直径12mm、長さ80mmの関節付きテストフィンガー(人間の指を模した試験器具)を用いて、筐体の開口部から内部に挿入しようとしても、充電部などの危険な部分に触れることができない構造であることを確認する。この規定により、ユーザーや保守作業者が意図せず内部の通電部分に触れてしまうリスクが低減される。システムエンジニアが機器の設置やメンテナンスを行う際にも、この安全基準は作業者の安全を確保する上で重要な指標となる。
以上の要素を総合すると、IP53Bという規格は、「機器の正常な動作を妨げるほどの粉塵の侵入を防ぎ、あらゆる角度からの雨や水しぶきに対して保護され、かつ筐体の開口部から指を入れても内部の危険な部分に触れることができない構造を持つ」ということを示している。システムエンジニアが機器の仕様書やデータシートでこの表記を見た際には、その機器がどのような環境での使用を想定して設計されているかを正確に把握し、プロジェクトの要件と照らし合わせて、適切な選定を行うための判断材料としなければならない。IPコードの知識は、物理的なインフラ設計における基本的なスキルの一つである。