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ISO/IEC 23008-2(アイエスオーアイイーシーにせんとさんびゃくぜろぜろはちのマイナスに)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ISO/IEC 23008-2(アイエスオーアイイーシーにせんとさんびゃくぜろぜろはちのマイナスに)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ISO/IEC 23008-2 (アイエスオーアイイーシーにせんさんびゃくよんじゅうはちダッシュに)

英語表記

ISO/IEC 23008-2 (アイエスオー/アイイーシー にせんさんびゃくぜろぜろはちダッシュに)

用語解説

ISO/IEC 23008-2は、動画データを圧縮するための国際標準規格である。一般的には、HEVC(High Efficiency Video Coding)やH.265という通称で広く知られている。この規格は、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)の合同技術委員会、および国際電気通信連合(ITU)が共同で策定したもので、現代の映像技術において極めて重要な役割を担っている。その最大の目的は、映像の品質を維持したまま、データ量を効率的に削減することにある。特に、4Kや8Kといった超高解像度の映像データを扱う上で、この規格の存在は不可欠である。従来の主流であった動画圧縮規格「H.264/AVC(Advanced Video Coding)」と比較して、約2倍の圧縮効率を実現することが大きな特徴とされる。これは、同じ画質の動画であればデータ量を約半分にでき、逆に同じデータ量であればより高画質な動画を伝送・保存できることを意味する。この高い圧縮性能により、インターネット経由での高画質動画ストリーミング、デジタル放送、スマートフォンの動画撮影、監視カメラシステムなど、幅広い分野で採用が進んでいる。システムエンジニアを目指す者にとって、ネットワーク帯域やストレージ容量を効率的に利用するための基盤技術として、その仕組みを理解しておくことは非常に重要である。

ISO/IEC 23008-2、すなわちHEVC/H.265が、先行するH.264/AVCに対して高い圧縮効率を達成できる背景には、いくつかの技術的な進化がある。まず、圧縮処理の基本単位となるブロックの構造が大きく異なっている。H.264では、画像を16×16ピクセルの「マクロブロック」という固定的な単位で分割して処理していた。これに対し、H.265では「符号化ツリー単位(CTU: Coding Tree Unit)」という概念が導入された。CTUは最大で64×64ピクセルという大きなブロックを扱うことができ、さらにその内部を映像の複雑さに応じて再帰的に小さなブロックへと分割することが可能である。例えば、空や壁のような変化の少ない平坦な領域は大きなブロックのまま一括で処理し、人物の顔や複雑な模様など、情報量が多い領域は細かなブロックに分割して精密に処理する。このように映像の内容に応じて処理単位の大きさを柔軟に変えることで、無駄をなくし、圧縮効率を大幅に向上させている。次に、映像の冗長性を削減するための予測技術も高度化された。動画圧縮では、フレーム内の似たような領域を予測する「画面内予測(イントラ予測)」と、前後のフレームから動きを予測する「画面間予測(インター予測)」が用いられる。H.265では、画面内予測で参照できる方向のパターンがH.264の9方向から35方向にまで増加した。これにより、より正確な予測が可能となり、予測後の差分情報をより小さくすることができる。画面間予測においても、動きベクトルを予測するアルゴリズムが洗練され、予測精度が向上している。さらに、現代のマルチコアプロセッサの性能を最大限に引き出すための並列処理設計も強化されている。H.265には「タイル」や「WPP(Wavefront Parallel Processing)」といった技術が導入されており、これらは映像を複数の領域に分割し、それぞれを独立して並列に符号化・復号することを可能にする。これにより、エンコードやデコードにかかる時間を短縮し、リアルタイムでの高解像度映像処理を実現しやすくなっている。ただし、これらの高度な処理は、H.264に比べてより多くの計算能力を要求するという側面も持つ。そのため、H.265を利用するシステムでは、エンコーダーやデコーダーに高い処理性能が求められる。また、技術の利用には複数の企業が保有する特許ライセンスが関連しており、そのライセンス体系が複雑であることも、導入における一つの課題とされている。現在では、さらに圧縮効率を高めたVVC(H.266)や、ロイヤリティフリーを特徴とするAV1といった次世代の規格も登場しているが、H.265は依然として高画質映像を扱う多くのシステムで標準的なコーデックとして広く利用され続けている。

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