エンコーダ(エンコーダ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

エンコーダ(エンコーダ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

エンコーダ (エンコーダー)

英語表記

encoder (エンコーダー)

用語解説

エンコーダとは、ある情報やデータを特定の形式に変換する装置やプログラムの総称である。その主な目的は、データの効率的な伝送、保存、またはセキュリティの確保であり、一般的には、エンコーダによって変換されたデータは、デコーダと呼ばれる別の装置やプログラムによって元の形式に戻される。この変換の過程を「エンコード」または「符号化」と呼ぶこともある。

エンコーダの役割は多岐にわたるが、その典型的な機能は、物理世界のアナログ信号をデジタルデータに変換したり、データ量を削減するために圧縮したりすることである。例えば、マイクが拾った音やカメラが捉えた映像といったアナログ信号は、そのままではコンピュータで処理したりネットワークを通じて送受信したりすることが困難だ。そこで、エンコーダがこれらのアナログ信号をデジタルデータに変換する。このアナログ-デジタル変換(ADC: Analog-to-Digital Conversion)のプロセスでは、まず一定時間ごとに信号の値を測定する「サンプリング」、次に測定した値を離散的な数値に丸める「量子化」、そしてその数値をコンピュータが理解できる二進数に変換する「符号化」という段階を経て、デジタルデータが生成される。デジタル化されたデータは、ノイズに強く、劣化しにくく、複製や加工が容易になるという利点がある。

また、エンコーダはデータ圧縮においても重要な役割を果たす。例えば、動画や音声、画像などのメディアデータは、非圧縮の状態では非常に大きなデータ量となるため、ストレージ容量を圧迫したり、ネットワーク帯域を大量に消費したりする。エンコーダは、これらのデータに含まれる冗長な部分を排除したり、人間の知覚特性を利用して認識しにくい情報を削減したりすることで、データサイズを小さくする。この圧縮の方法には、データを完全に元の状態に戻せる「ロスレス(可逆)圧縮」と、元の状態には完全に戻せないが大幅にデータサイズを削減できる「ロッシー(非可逆)圧縮」の二種類がある。ロスレス圧縮の例としてはPNG画像やFLAC音声などがあり、ファイルサイズを小さくしつつデータ欠損を防ぐ必要がある場合に用いられる。一方、ロッシー圧縮の例としてはJPEG画像やMP3音声、MPEG動画などがあり、多少の品質劣化は許容できるが、より大幅なファイルサイズの削減が求められる場合に用いられる。これらの圧縮により、インターネット上でのストリーミング配信や、スマートフォンなどの限られたストレージへの保存が現実的なものとなる。

さらに広義には、エンコーダは誤り訂正符号の付加や文字コードの変換なども行う。データ伝送中に発生しうるノイズやエラーからデータを保護するため、エンコーダは元のデータに特定の規則に基づいた冗長な情報(誤り訂正符号)を追加することがある。これにより、受信側でエラーが検出された場合でも、そのエラーを訂正してデータを復元することが可能になる。また、異なるシステム間でテキストデータをやり取りする際に、特定の文字セット(例えばShift_JISからUTF-8など)に変換することもエンコードの一種である。これは、文字化けを防ぎ、データの互換性を確保するために不可欠な処理である。

エンコーダは、その機能が専用の集積回路として実装された「ハードウェアエンコーダ」と、汎用コンピュータ上でプログラムとして動作する「ソフトウェアエンコーダ」に大別される。ハードウェアエンコーダは、例えばデジタルカメラ、スマートフォン、ゲーム機、映像配信機器などで利用され、リアルタイムでの高速な処理や低消費電力化が求められる場合に強みを発揮する。一方、ソフトウェアエンコーダは、動画編集ソフトウェアやファイル変換ツールなどで利用され、多様なフォーマットへの対応やアルゴリズムの柔軟な更新が可能であるという利点がある。

エンコーダによって変換されたデータは、最終的に利用者がその内容を閲覧したり聴いたりする際に、デコーダによって元の情報形式に戻される。このエンコーダとデコーダの組み合わせを総称して「コーデック(COder-DECoder)」と呼ぶことが多い。エンコーダは現代のデジタル社会において、情報の円滑な流通、効率的な蓄積、そして信頼性の確保に不可欠な基盤技術であり、システムエンジニアを目指す上ではその基本的な概念と役割を理解しておくことが重要だ。

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