LANコネクタ(ランコネクタ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LANコネクタ(ランコネクタ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ランコネクタ (ランコネクタ)

英語表記

LAN connector (ランコネクター)

用語解説

LANコネクタは、Local Area Network(LAN)において、ネットワーク機器とLANケーブルを物理的に接続するための重要な部品である。主にイーサネットと呼ばれる標準に基づいた有線LAN環境で使用され、パソコン、ルーター、ネットワークスイッチ、サーバーなどの様々な機器に搭載されている。このコネクタを通じて、データ信号が機器間を高速で行き交い、インターネット接続や社内ネットワークへのアクセスを可能にしている。私たちが普段目にするデスクトップPCやノートPC、Wi-Fiルーターの背面などにある、長方形の差し込み口がそれにあたる。

より詳細に説明すると、LANコネクタは一般的に「RJ-45」と呼ばれる規格のものが主流である。しかし、この「RJ-45」は実は通称であり、正式には「8P8Cモジュラコネクタ」と呼称される場合が多い。ここでいう「8P8C」とは、8つのポジション(接点位置)に8つのコンタクト(金属端子)が配置されていることを意味する。Registered Jack(登録済みジャック)を意味する「RJ」は、元々米国連邦通信委員会(FCC)が電話回線用の接続規格として定めたもので、その形状が似ていることから、LANコネクタにもこの通称が広まった経緯がある。

LANコネクタは、機器側に設けられた「ジャック(またはポート)」と、LANケーブルの先端に取り付けられた「プラグ」という、対になる二つの部品で構成される。プラグは通常、透明なプラスチック製で、内部には8本の細い金属製のピンが見える。このピンがケーブル内部の8本の導線とそれぞれ接続されており、ジャック側の8つの接点と接触することで電気的な接続が確立される。ケーブルをジャックに差し込むと、「カチッ」という音がしてプラグがジャックにロックされる機構が備わっており、これにより確実な接続と不意の抜け落ち防止が図られている。

この8本のピンにはそれぞれ特定の役割が割り当てられている。イーサネットの標準的なピン配列には、「T568A」と「T568B」の二つの種類が存在する。これらの配列は8本の導線の接続順序が異なり、特に日本においてはT568Bが広く普及している。どちらの配列を使用しても通信自体は可能だが、ネットワーク全体で統一することで、ケーブルの誤接続を防ぎ、将来的なトラブルシューティングを容易にする。これらのピンを通じて、データ信号の送受信だけでなく、Power over Ethernet(PoE)と呼ばれる技術を用いることで、LANケーブルを介して機器への電力供給も同時に行うことが可能となる。PoEはIP電話、無線LANアクセスポイント、ネットワークカメラなど、電源コンセントの確保が難しい場所に設置される機器に対して特に有効な技術である。

LANコネクタおよびそれに接続されるLANケーブルには、通信速度や伝送特性に応じて「カテゴリ」と呼ばれる分類がある。例えば、Cat5e、Cat6、Cat6a、Cat7、Cat8といったカテゴリが存在し、それぞれ1ギガビットイーサネット(1Gbps)、10ギガビットイーサネット(10Gbps)、さらにはそれ以上の高速通信をサポートする。LANコネクタ自体も、接続するケーブルのカテゴリに合わせた性能を持つ必要があり、高速な通信を求める場合は、コネクタとケーブルの両方が対応するカテゴリを満たしていることが重要となる。例えば、Cat6aケーブルを使用するシステムで、Cat5e対応のコネクタを使用した場合、システム全体の通信速度はCat5eの性能に制限されてしまう可能性がある。

また、LANコネクタは機器に組み込まれたポートだけを指すわけではない。LANケーブルの両端に取り付けられる「モジュラープラグ」もまたLANコネクタの一種である。市販されている既成のLANケーブルは、工場であらかじめプラグが取り付けられているが、特定の長さに加工したり、特殊な配線が必要な場合には、ケーブルとプラグを別途購入し、専用の「圧着工具」を使ってプラグを取り付ける作業を行うこともある。システムエンジニアを目指す上では、このようなケーブルの自作や配線の知識も役立つ場面があるだろう。

LANコネクタの物理的な状態は、ネットワークの安定性に直結する。コネクタのピンが曲がっていたり、ジャック内部にホコリが溜まっていたり、ロック部分が破損している場合、接触不良が発生し、通信速度の低下や接続の不安定化、最悪の場合は全く通信できないといった問題を引き起こすことがある。これらのトラブルは、ケーブルの抜き差しやコネクタの目視点検で解決することもあるため、ネットワークトラブルシューティングの初歩として、LANコネクタの状態を確認することは非常に重要である。このように、LANコネクタは単なる接続部品に過ぎないように見えるが、安定したネットワーク環境を構築・維持するためには、その特性や適切な取り扱いに関する理解が不可欠なのである。

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