Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

PoE(ピーオーイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PoE(ピーオーイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

電源供給方式 (デンゲンキョウキュウホウシキ)

英語表記

PoE (ピーオーイー)

用語解説

PoEは「Power over Ethernet」の略であり、イーサネットケーブルを通じてデータ通信と同時に電力供給を行う技術である。この技術を用いることで、ネットワーク機器の設置において、データ通信用のケーブルとは別に電源ケーブルを配線する必要がなくなる。つまり、一本のイーサネットケーブルでデータと電力の両方をまかなえるため、電源コンセントがない場所にもネットワーク機器を設置できるという大きなメリットを持つ。これにより、システムの構築がシンプルになり、設置の自由度が格段に向上し、配線工事にかかるコストや手間を大幅に削減できる。主に無線LANアクセスポイント、IP監視カメラ、VoIP電話などの機器で広く利用されている。

PoEの仕組みは、イーサネットの標準規格であるIEEE 802.3によって定義されている。具体的には、データ通信に使用されるペア線とは異なる、またはデータ通信と共通のペア線を利用して直流電力を供給する。PoEシステムは、大きく分けて電力を供給する機器(Power Sourcing Equipment: PSE)と、電力を受け取る機器(Powered Device: PD)で構成される。PSEの代表的なものとしては、PoE対応のネットワークスイッチやPoEインジェクター(PoEアダプターとも呼ばれ、非PoEスイッチとPDの間に挟んで電力供給を行う機器)がある。一方、PDはPoEに対応した監視カメラ、無線LANアクセスポイント、IP電話機、薄型クライアント端末、さらには一部のLED照明器具など、電力供給を必要とする様々なネットワークデバイスを指す。

電力供給のプロセスは、非常に安全かつ効率的に設計されている。PSEはPDを接続した際、まず低い電圧の信号を送り、PDがPoE対応機器であるか、また必要な電力クラス(消費電力のレベル)を検出する。この検出プロセスは「シグネチャ検出」と呼ばれ、PoE対応機器ではない通常のネットワーク機器に誤って電力を供給して損傷を与えることを防ぐ。PDがPoE対応であることを確認した後、PSEはPDの要求に応じて適切な電力を供給し始める。このように、電力供給は常に制御されており、過電流やショート、電圧の変動から機器を保護するための安全機構も組み込まれている。

PoEにはいくつかの標準規格が存在し、それぞれ供給できる最大電力が異なる。最初の規格であるIEEE 802.3af(通称PoE)は、1ポートあたり最大15.4Wの電力をPSEから供給し、ケーブルでの電力損失を考慮するとPD側で約12.95Wの電力を利用できる。これは主にIP電話や低電力の無線LANアクセスポイント、IP監視カメラなどに用いられた。次に登場したのがIEEE 802.3at(通称PoE+またはPoE Plus)であり、1ポートあたり最大30Wの電力をPSEから供給し、PD側で約25.5Wを利用可能にする。この規格は、より高性能な無線LANアクセスポイントやパン・チルト・ズーム(PTZ)機能を持つ監視カメラなど、より多くの電力を必要とするデバイスに対応するために開発された。さらに高出力のPoEとして、IEEE 802.3bt(通称PoE++、4PPoE、またはUPOEなど)が存在し、これにはType 3とType 4の2種類がある。Type 3はPSEから最大60W、PD側で約51Wを供給でき、Type 4はPSEから最大100W、PD側で約71Wを供給できる。これらの高出力PoEは、小型PC、ビデオ会議システム、さらにはPoE対応のLED照明やデジタルサイネージなど、より消費電力の大きい機器への電力供給を可能にし、PoEの適用範囲を大きく広げている。

PoEの大きなメリットは、前述の通り配線工事の簡素化とコスト削減にある。AC電源コンセントの設置が不要になるため、機器の設置場所の選択肢が増え、柔軟なレイアウトが可能となる。また、電気工事士による電源配線工事が不要になることで、工事費用と期間を削減できる。配線がシンプルになることで、見た目もすっきりし、ケーブルの管理も容易になる。さらに、PSEであるPoEスイッチに無停電電源装置(UPS)を接続することで、PoEで給電されている全てのPDを一元的に停電対策できるため、システムの信頼性向上が期待できる。

一方で、PoEを利用する上での注意点も存在する。イーサネットケーブルによる電力供給には距離の制限があり、標準的には最大100mとされている。これは、ケーブルが長くなるにつれて電力損失が増大するためである。また、PoE対応のスイッチやインジェクターは、非PoE対応のものと比較して初期費用が高くなる傾向がある。システム設計時には、接続する全てのPDの総消費電力を算出し、PSEが供給できる総電力容量を超えないように注意する必要がある。PSEが供給できる電力を超えてPDを接続しようとすると、一部のPDが正常に動作しない可能性があるため、十分な余裕を持った電力設計が求められる。非PoE対応のネットワーク機器とPoE対応のPDを接続したい場合には、PoEインジェクターを利用することで、既存のネットワークインフラを大きく変更することなくPoEの恩恵を受けることができる。

PoEは、今日の多様なネットワーク環境において不可欠な技術となっている。監視カメラシステムでは、電源の確保が困難な屋外や高所にカメラを設置する際にPoEが活躍し、大規模な監視システムの構築を容易にする。オフィス環境では、無線LANアクセスポイントやIP電話の設置場所の自由度を高め、電源ケーブルの煩雑さを解消する。小売店舗や工場では、IoTデバイスやセンサー類への電力供給をシンプルにし、スマートな環境構築に貢献する。将来的には、より高出力のPoE技術の普及により、これまで電源が必要だったあらゆる種類のデバイスがPoEに対応し、さらなる利便性の向上とシステム構築の柔軟性が期待されている。PoEは、ネットワークと電力の融合を促進し、よりスマートで効率的なインフラを実現する上で重要な役割を果たし続けるだろう。

関連コンテンツ