LSIメモリ(エルエスアイメモリ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LSIメモリ(エルエスアイメモリ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

エルエスアイメモリ (エルエスアイメモリ)

英語表記

LSI memory (エルエスアイメモリ)

用語解説

LSIメモリとは、LSI技術を用いて製造された半導体メモリの総称である。LSIは「Large Scale Integration」の略称で、日本語では大規模集積回路と訳される。これは、一つの半導体チップ上に数千から数万個以上のトランジスタなどの電子部品を集積する技術を指す。このLSI技術の進歩によって、メモリは飛躍的に小型化、大容量化、高性能化し、同時に製造コストの低減も実現した。その結果、LSIメモリは現代のコンピュータ、スマートフォン、家電製品といったあらゆる電子機器に不可欠な記憶装置として広く普及している。コンピュータシステムにおいて、LSIメモリはCPUが直接アクセスし、実行中のプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するための主記憶装置(メインメモリ)や、CPUと主記憶装置の速度差を埋めて処理性能を向上させるためのキャッシュメモリとして、中心的な役割を担っている。LSIメモリは、その特性によって大きく二つのカテゴリに分類される。一つは、電源の供給が断たれると記憶していた内容が失われる「揮発性メモリ」であり、もう一つは、電源がなくても記憶内容を保持し続ける「不揮発性メモリ」である。

揮発性メモリの代表的な種類として、DRAMとSRAMが挙げられる。DRAMは「Dynamic Random Access Memory」の略で、その記憶素子であるメモリセルが、一つのトランジスタと一つのキャパシタ(コンデンサ)という非常にシンプルな構造で構成されている。この構造の単純さがもたらす最大の利点は、高集積化に適している点である。一つのチップ上により多くのメモリセルを配置できるため、安価に大容量のメモリを製造することが可能となる。この特性から、DRAMはパソコンやサーバの主記憶装置として広く採用されている。しかし、DRAMはキャパシタに蓄えた電荷の有無でデータを記録する仕組み上、時間が経つと電荷が自然に漏れてしまいデータが失われるという欠点を持つ。そのため、記憶内容を維持するためには、定期的にデータを読み出して再書き込みするという「リフレッシュ」と呼ばれる動作が不可欠となる。一方、SRAMは「Static Random Access Memory」の略で、フリップフロップ回路と呼ばれる複数のトランジスタで構成されたメモリセルを持つ。一度データを書き込むと、電源が供給されている限りはリフレッシュ動作を必要とせず、安定してデータを保持し続けることができる。また、DRAMと比較してデータの読み書きが非常に高速であるという大きな特長を持つ。しかし、その構造は複雑で、一つのメモリセルを構成するために多くのトランジスタを必要とするため、集積度を上げることが難しく、製造コストも高価になる。したがって、SRAMは大容量化には向かず、CPUの内部に搭載されるキャッシュメモリなど、システムの性能に直結する、速度が最優先される限定的な用途で利用されるのが一般的である。

不揮発性メモリは、電源を遮断してもデータが消えない特性を持つ記憶装置である。古くは、ROM「Read Only Memory」がその代表であった。特にマスクROMは、製造工程でデータが書き込まれるため、利用者が後から内容を変更することはできず、読み出し専用で使われる。コンピュータの起動プログラムであるBIOSや、家電製品を制御するためのファームウェアなど、内容を恒久的に変更する必要がない情報の格納に用いられてきた。その後、技術の進歩により、利用者が電気的な操作によって内容を消去し、再書き込みできる不揮発性メモリが開発された。その中で現在最も広く利用されているのがフラッシュメモリである。フラッシュメモリは、データをブロックという単位で一括して電気的に消去する特徴を持つ。この高速な消去動作がカメラのフラッシュに似ていることからその名が付けられた。今日では、SSD(Solid State Drive)、USBメモリ、SDカード、スマートフォンの内蔵ストレージなど、永続的なデータ記録媒体として非常に幅広い用途で活用されている。フラッシュメモリは、内部構造の違いから主にNAND型とNOR型に分類される。NAND型は回路構造が単純で高集積化しやすく、大容量化と低コスト化に適している。書き込み速度も比較的高速であるため、主にデータストレージ用途に採用される。対してNOR型は、読み出しが高速であり、アドレスとデータを指定してランダムアクセスできるため、コードを直接実行するような用途に適しており、信頼性が求められる組み込みシステムのファームウェア格納などに用いられる。

このように、LSIメモリには様々な種類が存在し、それぞれが異なる特性を持っている。システムエンジニアとしてこれらのメモリの特性を深く理解することは極めて重要である。なぜなら、LSIメモリはコンピュータシステムの性能、コスト、消費電力を決定づける根幹的な要素だからである。CPUの演算処理能力がいかに高速であっても、処理に必要なデータを供給するメモリの速度が遅ければ、CPUは待ち状態となり、システム全体の性能は向上しない。このボトルネックを解消するために、高速なSRAMをキャッシュメモリとして配置し、大容量のデータを経済的に保持するためにDRAMを主記憶装置として利用し、永続的な保管場所としてフラッシュメモリを用いたSSDを搭載するというように、各メモリの長所を活かした階層的な構成が採られている。システムの設計や構築、あるいは運用中の性能改善(チューニング)を行う上で、どのメモリをどのように選択し、活用するかの判断は、システム全体のパフォーマンスに直接的な影響を与える。したがって、LSIメモリ各種の動作原理や特性を正確に把握することは、高性能で信頼性の高いシステムを構築するための必須の知識と言える。

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