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MHL(エムエイチエル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

MHL(エムエイチエル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

モバイルハイデフィニションリンク (モバイルハイデフィニションリンク)

英語表記

MHL (エムエイチエル)

用語解説

MHL(Mobile High-Definition Link)は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器から、テレビやプロジェクターといった大画面ディスプレイ機器へ、高精細なデジタル映像と音声信号を伝送するためのインターフェース規格である。この技術は、モバイル機器の充電端子として広く普及していたマイクロUSBポートを介して、非圧縮の映像と多チャンネル音声をケーブル一本で出力できる点が最大の特徴だ。MHLを利用することで、モバイル機器のコンテンツを家庭のテレビで手軽に楽しむことが可能となり、同時にモバイル機器への電力供給も行われるため、バッテリーの残量を気にせずに長時間コンテンツを視聴できるという利点がある。

MHLは、Silicon Image社が中心となり、Sony、Nokia、Samsung、Toshibaといった主要な家電メーカーやモバイル機器メーカーが共同で策定した。HDMI(High-Definition Multimedia Interface)技術を基盤としつつ、モバイル機器への搭載を考慮して、より小型化、省電力化が図られている。モバイル機器の処理能力とディスプレイ性能の向上に伴い、それらのコンテンツをより大きな画面で共有したいというニーズが高まったことを背景に開発された。

MHLによる接続は、通常、モバイル機器側のマイクロUSBポートと、ディスプレイ機器側のHDMIポートを専用のMHLケーブルまたはMHLアダプターを介して行う。モバイル機器側のマイクロUSBポートは、通常のUSBデータ通信や充電にも使用される物理形状を持つが、MHL対応機器では、このポートからMHL信号が出力される内部回路が実装されている。ディスプレイ機器側がMHL対応のHDMIポートを備えている場合、ケーブル一本で接続と給電が完結する。しかし、MHL非対応のHDMIポートを持つディスプレイに接続する場合は、MHLアダプターと呼ばれる変換器が必要となり、そのアダプター自体に別途電源供給が必要になることもある。

MHLを通じて伝送される信号は、非圧縮のデジタル映像と最大7.1チャンネルのサラウンド音声である。初期のバージョンではフルHD(1080p)解像度に対応していたが、後継バージョンでは最大4K解像度の映像伝送も可能となった。データ伝送には、ノイズに強く安定した信号伝送が可能なTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)方式が採用されている。電力供給については、初期のMHL 1.0では最大5V/0.5Aであったが、バージョンアップを重ねるごとに給電能力が向上し、superMHLでは最大40Wまで供給可能となり、より大型のタブレットや小型PCへの給電にも対応できるようになった。

デジタルコンテンツの著作権保護のため、MHLではHDMIと同様にHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)という技術が採用されている。これにより、MHLを通じて伝送される映画やテレビ番組などの著作権保護されたコンテンツは、不正な複製や配布から守られる。また、MHLは、HDMI規格に定義されているCEC(Consumer Electronics Control)と呼ばれる機能を利用して、ディスプレイ機器のリモートコントローラーから接続されたモバイル機器を操作する機能もサポートしている。例えば、テレビのリモコンを使ってスマートフォンの動画再生アプリを操作し、再生・停止や早送り・巻き戻しを行うといったことが可能になり、ユーザーの利便性を高める。

MHL規格は、その誕生以来、複数のバージョンを経て機能が強化されてきた。MHL 1.0はフルHD映像と5V/0.5Aの給電に対応し、MHL 2.0では給電能力が向上した。MHL 3.0では、最大4K(Ultra HD)解像度(30fps)の映像伝送が可能となり、給電能力も最大10Wに強化された。さらに、superMHLと呼ばれる最新のバージョンでは、USB Type-Cコネクタにも対応し、最大8K解像度(120fps)やハイダイナミックレンジ(HDR)、広色域といった最新の映像技術に対応するに至った。これにより、次世代のモバイルデバイスからの超高精細映像出力への対応が図られた。

MHLの利点は、既存のマイクロUSBポートを映像出力にも活用できるため、モバイル機器のポート数を減らし、本体の薄型化や小型化に貢献した点にある。一本のケーブルで映像・音声・電力供給をまかなえる手軽さも魅力だった。しかし、MHLの普及にはいくつかの課題があった。まず、モバイル機器とディスプレイ機器の両方がMHLに対応している必要があり、特にモバイル機器側でMHL対応モデルが限られていたため、広く普及するには至らなかった。また、MHL信号をHDMI信号に変換するアダプターが必要な場合もあり、ユーザーにとっては煩雑に感じることもあった。

近年では、USB Type-Cコネクタの普及が進み、その機能の一つとしてAlternate Mode(Alt Mode)を利用した映像出力が主流になりつつある。USB Type-Cは、DisplayPort Alt Modeを介してDisplayPort信号を伝送できるため、DisplayPortやHDMI(変換アダプターを介して)への映像出力が、MHLのような専用規格なしで可能になった。これにより、多くの最新のスマートフォンやタブレットは、USB Type-Cポートからの映像出力に対応しており、MHLの役割は徐々にUSB Type-Cに取って代わられているのが現状である。しかし、過去に発売されたMHL対応機器を活用する際には、現在でもMHLは有効な技術であり、その知識は重要である。

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