NFV(エヌエフブイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NFV(エヌエフブイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ネットワーク機能仮想化 (ネットワークキノウカソンカ)
英語表記
NFV (エヌエフブイ)
用語解説
NFVはNetwork Functions Virtualizationの略であり、ネットワーク機能仮想化と訳される。これは、従来、通信事業者などがネットワークを構築するために利用してきた専用ハードウェア機器が持つ様々なネットワーク機能、例えばルーター、ファイアウォール、ロードバランサーといった機能を、汎用的なサーバー上でソフトウェアとして実現する技術である。NFVの目的は、ネットワーク構築や運用におけるコスト削減、サービス導入の俊敏性向上、そしてネットワークの柔軟性を高めることにある。
概要で述べたように、NFVはネットワーク機能をソフトウェア化する技術である。これまで、企業のデータセンターや通信事業者のネットワークでは、特定の機能に特化した専用のハードウェア機器が導入されてきた。例えば、トラフィックを振り分けるルーター、外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール、サーバーへの負荷を分散させるロードバランサーなど、それぞれの役割に応じた専用機器が存在した。これらの専用機器は、高性能かつ安定した動作が期待できるという利点がある一方で、以下のような課題を抱えていた。
第一に、導入コストが高いという点である。専用ハードウェアは高価であり、導入後の保守費用もかかるため、設備投資が莫大になる傾向があった。第二に、拡張性や柔軟性に乏しいという点である。ネットワークの規模を拡大したり、新しいサービスを展開したりする際には、新たな専用機器を購入して設置する必要があり、導入から稼働までに時間と手間がかかった。また、需要の変動に合わせて一時的にネットワーク容量を増減させるといった柔軟な対応も困難であった。第三に、ベンダーロックインの問題がある。特定のベンダーの機器に依存することで、他のベンダーの製品と組み合わせることが難しくなったり、将来的な製品選択の自由度が失われたりするリスクがあった。
NFVはこれらの課題を解決するために考案された。その基本的な仕組みは、ネットワーク機能をVNF(Virtual Network Function:仮想ネットワーク機能)と呼ばれるソフトウェアコンポーネントとして実装し、これを汎用的なサーバー上で稼働させるというものである。VNFは、サーバー仮想化技術と同様に、物理サーバー上に構築されたハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)によって作成された仮想マシン(VM)上で動作することが一般的である。これにより、一台の物理サーバー上で複数のVNF、例えばルーター機能とファイアウォール機能を同時に実行したり、同じ機能の複数のインスタンスを動かしたりすることが可能になる。
このNFVによって、以下のような具体的なメリットがもたらされる。
まず、大幅なコスト削減が期待できる。高価な専用ハードウェア機器の購入費用や、その機器が消費する電力、設置スペース、冷却コストなどを削減できる。汎用サーバーは専用機器に比べて安価であり、複数の機能を統合できるため、初期投資だけでなく運用コストも低減できる。
次に、ネットワークの俊敏性と柔軟性が向上する。ネットワーク機能がソフトウェアとして提供されるため、新たなサービスを迅速に展開したり、既存の機能をアップデートしたりすることが容易になる。例えば、新しいアプリケーションを導入する際に必要なロードバランサーやファイアウォール機能を、数週間や数ヶ月ではなく、数分から数時間で展開することが可能になる。また、トラフィックの増減に応じてVNFのリソースを動的に増減させたり、必要に応じてVNFを自動で起動・停止させたりできるため、需要の変動に柔軟に対応できる。
さらに、運用効率が向上する。NFVは、VNFの展開、管理、オーケストレーション(調整・連携)を自動化するためのフレームワーク(NFV-MANO: Management and Orchestration)を提供する。これにより、手動での設定作業が減り、人為的なミスの削減や運用コストの低減が期待される。集中管理が可能となるため、ネットワーク全体の可視性も向上し、トラブルシューティングも容易になる。
そして、ベンダーロックインからの解放である。特定のハードウェアベンダーに縛られることなく、様々なベンダーが提供するVNFやオープンソースのVNFを組み合わせて利用できるため、柔軟なシステム構築が可能となり、最適なソリューションを選択できるようになる。
NFVは、SDN(Software-Defined Networking)と密接に関連する技術として語られることが多い。NFVがネットワーク機能そのものをソフトウェア化して仮想化基盤上で動作させることで、ネットワーク機器の物理的な制約から解放することを目指すのに対し、SDNはネットワークの制御部分とデータ転送部分を分離し、ネットワーク全体をソフトウェアで一元的に制御・プログラミングできるようにする技術である。NFVとSDNはそれぞれ異なるアプローチを取るが、両者は相互に補完し合う関係にある。NFVで仮想化されたネットワーク機能をSDNによってより効率的かつ柔軟に制御することで、通信事業者は5Gネットワークやエッジコンピューティング、IoTといった次世代のネットワーク要件に対応できる、より高度で動的なネットワークインフラストラクチャを構築できるようになる。NFVは、現代のネットワークインフラを支える重要な基盤技術の一つであり、今後もその適用範囲は拡大していくと予想される。