RFID(アールエフアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RFID(アールエフアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
無線自動識別 (むせんじどうしきべつ)
英語表記
RFID (アールエフアイディー)
用語解説
RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略であり、電波を用いてICタグ(RFタグ、トランスポンダとも呼ばれる)に記録された情報を非接触で読み書きする自動認識技術である。この技術は、バーコードのような光学的な読み取り方式とは異なり、タグが隠れていても、また複数枚のタグを同時に読み取れる特性を持つため、多岐にわたる分野で活用が進んでいる。物理的な接触なしにデータをやり取りできるため、効率的な情報管理、物品追跡、セキュリティ認証などを実現する基盤技術として重要である。
RFIDシステムは、主にRFタグ、リーダライタ、アンテナ、そしてホストシステムという四つの要素で構成される。RFタグは、情報を記憶するICチップと、電波を送受信するためのアンテナを内蔵しており、識別情報や各種データを保持する。リーダライタ(RFリーダ、インタロゲータとも称される)は、RFタグに対して電波を発信し、タグからの応答を受信する装置であり、タグに情報を書き込む機能も持つ場合が多い。アンテナはリーダライタに接続され、電波の発信と受信を担当する。そして、リーダライタが読み取ったデータは、通常、ホストシステムと呼ばれるコンピュータシステムに送られ、データベースへの登録や情報処理、分析などが行われる。
RFIDタグの動作原理は、その種類によって若干異なるが、基本的な流れは共通している。リーダライタが特定の周波数の電波をアンテナから発信すると、その電波がRFタグに到達する。RFタグがその電波を受信すると、内部のICチップが活性化される。特に、電源を持たないパッシブタグの場合、リーダライタから受け取った電波エネルギーを電力に変換して動作する。タグは自身のICチップに記憶された情報を電波に乗せてリーダライタに返信する。リーダライタはその返信電波を受信し、タグの情報をデコードして、ホストシステムへと送る。一方、アクティブタグと呼ばれる種類のタグは、電池を内蔵しており、自身で電波を発信するため、パッシブタグよりも遠距離からの読み取りが可能となる。セミパッシブタグは、電池でICチップを駆動しつつ、通信はリーダライタからの電波エネルギーを利用するタイプである。
RFIDは利用する電波の周波数帯によって特性が大きく異なり、それぞれ適した用途がある。低周波数帯(LF帯、約125kHz~134kHz)は、読み取り距離が数センチメートルと短いが、金属や水分の影響を受けにくく、動物個体識別やアクセス管理カードなどに用いられる。高周波数帯(HF帯、13.56MHz)は、読み取り距離が数センチメートルから数十センチメートル程度で、NFC(Near Field Communication)技術の基盤にもなっており、交通系ICカード、電子マネー、図書館での書籍管理などに広く利用されている。超高周波数帯(UHF帯、約860MHz~960MHz)は、読み取り距離が数メートルと長く、複数枚のタグを一括で高速に読み取れるため、物流における入出荷管理、在庫管理、アパレル製品の個品管理、資産管理などに強みを発揮する。マイクロ波帯(約2.45GHz、5.8GHz)は、さらに読み取り距離が長く、高速移動する物体にも対応できるため、高速道路のETC(Electronic Toll Collection)システムなどで活用されている。このように、用途に応じて最適な周波数帯のシステムを選定することが重要である。
RFIDの導入には多くのメリットがある。第一に、非接触で読み取りが可能なため、作業効率が大幅に向上する。特にUHF帯のRFIDでは、箱の中や視界にないタグでも一度に複数読み取れるため、大量の物品の棚卸しや検品作業を短時間で完了させることが可能となる。これにより、人件費の削減やヒューマンエラーの低減に繋がり、作業の自動化を促進する。また、タグに情報を書き換えられる特性を持つため、情報が変化する物品の管理にも柔軟に対応できる。トレーサビリティの向上も大きなメリットであり、製品の生産から消費までの履歴を詳細に追跡できるようになり、品質管理や偽造品対策に貢献する。さらに、タグ自体が耐久性に優れ、高温や低温、汚れなど、過酷な環境下でも安定して動作する種類も存在するため、幅広い産業での利用が可能である。
一方で、デメリットも存在する。導入コストがバーコードシステムと比較して高価になる傾向がある。特に、タグ単価がバーコードラベルよりも高いため、膨大な数の物品に適用する場合、初期投資が大きくなる可能性がある。また、電波を利用する技術であるため、金属や水分が多い環境では電波が吸収・反射され、読み取り性能が低下する「電波干渉」の問題が発生することがある。このため、システム設計時には設置環境を十分に考慮し、適切なタグやアンテナの選定、配置が不可欠となる。プライバシーやセキュリティに関する懸念も挙げられる。RFIDタグに個人情報や機密情報が記録されている場合、不正な読み取りや追跡によって情報が漏洩するリスクがあるため、暗号化やアクセス制限などのセキュリティ対策が重要となる。
RFID技術は、その特性から多種多様な分野で活用されている。物流業界では、在庫管理、入出荷検品、ピッキング作業の効率化、輸送中の貨物追跡などに利用され、サプライチェーン全体の可視性を高めている。製造業では、生産ラインにおける部品の追跡、工程管理、品質検査データの紐付けなど、生産プロセスの最適化に貢献している。小売業では、商品の入出荷管理、棚卸し作業の自動化、盗難防止、スマートカートによる会計の効率化などが進められている。図書館では、書籍の貸出・返却処理の自動化、蔵書管理に活用され、利用者の利便性向上と管理業務の負荷軽減を実現している。病院では、医療器具や薬剤の管理、患者の識別、検体追跡など、医療現場の安全と効率化に寄与している。その他にも、入退室管理、車両管理、スポーツイベントでのタイム計測など、幅広い分野でその適用範囲を広げている。これらの事例は、RFIDが単なる識別技術に留まらず、業務プロセス全体の変革を促す強力なツールであることを示している。