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THz(テラヘルツ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

THz(テラヘルツ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

テラヘルツ (テラヘルツ)

英語表記

THz (テラヘルツ)

用語解説

THz(テラヘルツ)は、電磁波の周波数を示す単位の一つであり、またその周波数帯域に位置する電磁波そのものを指すこともある。周波数の単位であるヘルツの1兆倍(10^12倍)を表す。電磁波のスペクトルにおいて、電波と光(赤外線)の中間領域に位置し、これまで未開拓であった周波数帯であることから「テラヘルツギャップ」とも呼ばれてきた。近年、このテラヘルツ帯域の電磁波が持つ独特な特性が注目され、次世代のIT技術を支える基盤として、高速通信、セキュリティ、医療、産業検査など多岐にわたる分野での応用研究が活発に進められている。

テラヘルツ波は、電波と光の両方の性質を併せ持つ。電波のように多くの非金属物質(例えば、衣服、プラスチック、紙、セラミックスなど)を透過する性質を持つ一方で、光のように高い直進性を持ち、対象物の細部を識別できる程度の高い解像度を持つ。また、X線と比較して、テラヘルツ波は光子エネルギーが非常に低いため、物質を電離させる作用(電離放射線)がなく、生体に安全であるという大きな利点がある。この特性から、人体への影響が懸念されるX線検査の代替技術としても期待されている。しかし、テラヘルツ波は水蒸気によって強く吸収される性質があるため、大気中では伝搬距離が短くなるという課題も抱えている。

IT分野におけるテラヘルツ技術の主要な応用の一つは、次世代高速無線通信である。5Gのさらに先を行く6G以降の移動通信システムでは、テラヘルツ帯域の利用が有力視されている。テラヘルツ帯域は、ミリ波帯よりもはるかに広い帯域幅を利用できるため、理論上はテラビット毎秒(Tbps)級の超高速・大容量通信を実現できる可能性がある。これにより、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のリアルタイム高精細ストリーミング、高精細ホログラム通信、クラウドを活用したロボットの遠隔操作など、膨大なデータを瞬時にやり取りする新たなサービスやアプリケーションの実現が期待される。ただし、前述の水蒸気による吸収や高い直進性のため、テラヘルツ通信は主に短距離や室内での利用が中心となると考えられている。

テラヘルツ波は、その透過性と物質固有の吸収特性を利用して、非破壊検査やイメージングの分野でも革新的な応用が期待されている。セキュリティ分野では、空港の全身スキャナーにおいて、衣服の下に隠された金属製または非金属製の武器、爆発物、麻薬などを安全かつ迅速に検出することが可能になる。産業分野では、半導体チップ内部の欠陥検査、医薬品の錠剤内部の品質検査、塗膜の厚さ測定、食品中の異物混入検査などに利用できる。これは、物質ごとにテラヘルツ波の透過率や吸収スペクトルが異なることを利用し、内部構造や組成を高精度に分析できるためである。医療分野では、皮膚がんの診断補助や歯の初期虫歯の検出、さらには手術中の生体組織の非接触診断などへの応用研究が進められている。

分光分析の分野でもテラヘルツ波は重要である。多くの有機分子や生体分子は、分子振動や回転遷移に伴う固有の吸収スペクトルをテラヘルツ帯域に持っている。この「分子の指紋」とも呼ばれる固有スペクトルを検出することで、対象物質を非接触かつ非破壊で識別することが可能となる。これにより、爆発物、麻薬、残留農薬、さらには特定のガスの検出など、広範な化学分析に応用できる。

しかし、テラヘルツ技術の実用化にはいくつかの技術的な課題も存在する。一つは、テラヘルツ波の効率的な発生源と高感度な検出器の開発である。これまで、この帯域の電磁波を安定して発生させたり、微弱な信号を高感度に検出したりすることが難しかった。また、大気中での伝搬距離の制限に加え、テラヘルツ波を変調したり、高効率で増幅したりするための素子の開発も今後の重要な研究開発課題である。これらの課題を克服するため、半導体技術やナノテクノロジーを用いたテラヘルツ素子の小型化、高性能化、低コスト化が活発に進められている。テラヘルツ技術はまだ発展途上の段階にあるものの、そのユニークな特性と幅広い応用可能性から、次世代のIT社会において極めて重要な役割を担う技術として大きな期待が寄せられている。

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