mmWave(ミリ波)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
mmWave(ミリ波)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ミリ波 (ミリは)
英語表記
mmWave (ミリ波)
用語解説
mmWaveとは、ミリメートル波(millimeter Wave)の略称であり、電磁波の中でも特に高い周波数帯域を用いる無線通信技術を指す。具体的には、一般的に30GHzから300GHzの周波数帯域の電波を指し、その波長が1ミリメートルから10ミリメートルの範囲にあることから「ミリ波」と呼ばれる。この高い周波数帯域を利用することで、従来の周波数帯では困難だった超高速かつ大容量のデータ通信が可能となるため、第5世代移動通信システム(5G)の中核をなす技術として世界中で注目されている。
mmWaveが超高速・大容量通信を実現できる最大の理由は、その高い周波数帯が「広い帯域幅」を確保できる特性にある。電波の周波数が高くなればなるほど、利用可能な帯域幅を広くとれるため、膨大な量のデータを一度に、瞬時に送受信できるようになる。
しかし、mmWaveはその高い周波数帯ゆえに、特有の物理的性質とそれに伴う課題も抱えている。まず、波長が短い性質から、電波の「直進性」が非常に強い。これは、電波が障害物にぶつかると、回り込まずに遮られてしまう傾向が強いことを意味する。建物、壁、人体、さらには雨や霧といった気象条件によっても電波が容易に遮られ、大幅に減衰してしまう「伝搬損失」が大きいという弱点がある。これにより、電波の届く範囲、つまりカバーエリアが非常に狭くなるため、広範囲をカバーする通信には不向きである。
一方で、直進性が強いという性質は、特定の方向に集中して電波を飛ばしやすい「指向性」が高いことにもつながる。これにより、必要なデバイスにピンポイントで効率的に電波を届け、電力消費を抑えながら高速な通信を実現できる。また、波長が短いため、アンテナ自体を非常に小型化でき、スマートフォンなどへの搭載も容易である。
これらの課題を克服し、mmWaveの利点を最大限に引き出すために、いくつかの技術が導入されている。一つは「スモールセル」と呼ばれる小さな基地局を密集して配置する戦略だ。カバーエリアが狭い特性を考慮し、必要な場所に多くの基地局を設置することで、きめ細かく通信エリアを構築する。もう一つは「ビームフォーミング」という技術だ。これは、基地局の複数のアンテナから電波を出す際に、電波の位相を調整することで、特定のデバイスがある方向に向けて電波の強度を集中させて送信する技術である。これにより、電波の到達距離を延ばし、障害物の影響を低減し、通信効率を高める。また、「MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)」と呼ばれる、複数のアンテナを使って同時に複数のデータを送受信する技術と組み合わせることで、通信速度と安定性をさらに向上させる。
5GにおけるmmWaveの役割は、主に「超高速・大容量通信」が強く求められる特定の用途や場所での活用だ。例えば、都市部の繁華街、スタジアム、駅の構内、コンサート会場、工場、オフィスビルといった、限られたエリアに多くのユーザーやデバイスが集中し、高速なデータ処理が必要とされる環境で真価を発揮する。高精細な映像のリアルタイムストリーミング、VR/ARコンテンツの体験、IoTデバイスからの大量データ収集、自動運転支援システムなどがその典型的な応用例となる。また、光ファイバーの敷設が困難な地域で、有線ネットワークの代わりに無線で高速インターネットを提供する「固定無線アクセス(FWA)」としても期待されている。
Sub-6GHz帯(6GHz以下の周波数帯)を使用する5Gと比べると、mmWaveはカバーエリアの狭さや障害物への弱さから、広範囲をカバーする役割には適していない。Sub-6GHz帯が広い範囲で安定した通信を提供し、mmWaveがその上でピンポイントに超高速・大容量通信を提供するという、互いに補完し合う関係にある。
mmWave技術は、基地局の設置コストや消費電力、対応デバイスの開発といった課題も残されている。しかし、ビームフォーミング、スモールセル、AIを活用したネットワーク最適化など、様々な技術革新によってこれらの課題は着実に克服されつつある。今後、5Gの普及とともに、mmWaveはXR(クロスリアリティ)、スマートファクトリー、自動運転といった、これまで実現が難しかった新しいサービスや産業を可能にする基盤技術として、その存在感を一層高めていくことだろう。