トランザクション分離レベル(トランザクションブンリレベル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
トランザクション分離レベル(トランザクションブンリレベル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
トランザクション分離レベル (トランザクションブンリレベル)
英語表記
Transaction Isolation Level (トランザクションアイソレーションレベル)
用語解説
トランザクションは、データベースに対する一連の操作をひとまとまりの論理的な単位として扱う仕組みだ。例えば、銀行口座から別口座へ送金する際、「A口座から引き出す」と「B口座へ入金する」という二つの処理が全て成功するか、あるいは一つでも失敗すれば全てを元に戻す、といった整合性を保証するために利用される。これにより、データベースが常に正しい状態を保つことができ、この特性は一般的にACID特性(原子性、一貫性、独立性、永続性)として知られている。
現代のシステムでは、複数のユーザーやアプリケーションが同時にデータベースにアクセスし、同時に多くのトランザクションが実行されるのが一般的だ。このような同時実行環境では、あるトランザクションがデータを更新している最中に、別のトランザクションがそのデータを読み取ったり、更新したりしようとすると、互いの処理が干渉し合い、データベースのデータに不整合が生じる可能性がある。例えば、まだ確定していない(コミットされていない)変更を他のトランザクションが参照してしまい、後にその変更が取り消された場合に矛盾したデータに基づいて処理を進めてしまうような問題だ。
このような同時実行時に発生しうる問題を防ぎ、データベースのデータ一貫性をどの程度保証するかを定義するのが「トランザクション分離レベル」である。これは、複数のトランザクションが並行して動作する際に、互いのトランザクションがどの程度影響し合うかを制御するための重要な設定だ。分離レベルが高いほどデータの一貫性は強固になるが、並行処理の性能は低下する傾向にあり、分離レベルが低いほど並行処理の性能は向上するが、データの一貫性に関するリスクが増大する。システムエンジニアは、システムの要件に応じて最適な分離レベルを選択する必要がある。
トランザクション分離レベルは、SQL標準によって主に4つのレベルが定義されており、それぞれが異なる種類のデータ不整合現象を防ぐように設計されている。
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READ UNCOMMITTED(未コミット読み取り) これは最も低い分離レベルだ。このレベルでは、他のトランザクションがまだコミットしていない(確定していない)変更を読み取ることが許可される。この現象は「ダーティリード(Dirty Read)」と呼ばれ、あるトランザクションがデータを更新し、まだコミットしていないにもかかわらず、別のトランザクションがその未確定のデータを読み取ってしまうことを指す。もし、元のトランザクションがその変更をロールバック(取り消し)した場合、ダーティリードしたトランザクションは存在しないはずの誤ったデータを基に処理を進めてしまうため、データの一貫性が著しく損なわれる可能性がある。そのため、データの一貫性が重視されるシステムでは、この分離レベルはほとんど利用されない。
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READ COMMITTED(コミット済み読み取り) この分離レベルでは、他のトランザクションによってコミットされた(確定した)データのみを読み取ることが許可される。これにより、ダーティリードは発生しない。多くのデータベースシステムでデフォルトの分離レベルとして採用されており、実用的なデータ整合性と並行処理性能のバランスが取れているとされる。しかし、一つのトランザクション内で同じデータを複数回読み取った場合に、その読み取りの間に別のトランザクションがデータを更新・コミットすると、読み取るたびに異なる値が得られる可能性がある。この現象は「ノンリピータブルリード(Non-repeatable Read)」と呼ばれる。
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REPEATABLE READ(反復可能読み取り) この分離レベルでは、トランザクションが一度読み取ったデータについては、そのトランザクションが終了するまで他のトランザクションによる更新は許可されない。つまり、読み取ったデータに対する排他ロックがかかることで、ノンリピータブルリードを防ぐことができる。トランザクション内では同じデータを何度読み込んでも同じ値が得られることが保証されるため、より高いデータの一貫性が提供される。しかし、このレベルでも「ファントムリード(Phantom Read)」という現象が発生する可能性がある。これは、ある検索条件でデータを読み込んだ後、そのトランザクションの実行中に別のトランザクションがその条件に合致する新たなレコードを追加・コミットすると、同じ検索条件で再度読み込んだときに新しいレコードが見えてしまう現象だ。まるで「幻影(ファントム)」が見えるかのように、以前には存在しなかったレコードが出現することから名付けられた。
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SERIALIZABLE(直列化可能) これは最も高い分離レベルであり、ダーティリード、ノンリピータブルリード、ファントムリードの全ての種類の不整合現象を防ぐ。このレベルでは、複数のトランザクションが同時に実行されたとしても、それらがまるで一つずつ順番に(直列に)実行されたかのように、完全に独立した結果が保証される。つまり、トランザクションの実行結果は、全てのトランザクションを並行実行せず、一つずつ順に実行した場合と等しくなる。これにより、データの一貫性は最大化されるが、同時に多くのロックが発生し、並行処理の効率が著しく低下する可能性がある。特に、大量のデータアクセスや更新が頻繁に行われるシステムでは、他のトランザクションの処理完了を待つロックの競合により、パフォーマンスが許容できないレベルまで低下する場合があるため、この分離レベルの採用は慎重な検討が必要となる。
分離レベルを選択する際は、システムが要求するデータの一貫性レベルと、実現したい並行処理性能とのバランスを考慮することが非常に重要だ。厳密なデータ整合性が求められる銀行システムなどでは高い分離レベルが選択されることが多い一方、リアルタイム性が重視され多少のデータのずれが許容されるシステムでは、パフォーマンスを優先してREAD COMMITTEDなどの低い分離レベルが選択されることもある。一般的に、分離レベルを高く設定するほどデータの一貫性は保証されるが、データベースのロックが増加し、並行処理の性能が低下したり、デッドロック(複数のトランザクションが互いに相手のロック解除を待ち、膠着状態に陥ること)などの問題が発生しやすくなったりするため、アプリケーションの特性やデータベースの負荷状況に合わせて最適なレベルを見極める必要がある。多くのデータベースシステムでは、SET TRANSACTION ISOLATION LEVELのようなSQLコマンドを用いて、セッションごとの分離レベルを設定することが可能だ。