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TSファイル(ティーエスファイル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

TSファイル(ティーエスファイル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ティーエスファイル (ティーエスファイル)

英語表記

TS file (ティーエスファイル)

用語解説

TSファイルは、MPEG Transport Streamの略であり、主にデジタル放送や録画に用いられるデータ形式を指す。この形式の主な目的は、複数の異なる種類のメディアデータ、例えば映像、音声、字幕、そして番組情報などを一つの連続したデータストリームとして効率的かつ堅牢に伝送することにある。システムエンジニアを目指す初心者にとって、TSファイルはデジタルメディアの基盤技術の一つであり、放送システムやストリーミング技術を理解する上で非常に重要である。

TSファイルはMPEG-2 Part 1(ISO/IEC 13818-1)によって定義された規格に基づいている。ここで言う「ストリーム」とは、連続的に流れ続けるデータのことであり、「トランスポート」という言葉は、データがネットワークや放送波を通じて効率的に伝送されることを意味する。TSの大きな特徴は、音声や映像といった個別の「エレメンタリストリーム(ES)」を「パケット化エレメンタリストリーム(PES)」と呼ばれる形式に変換し、それをさらに小さな固定長の「トランスポートストリームパケット(TSパケット)」に分割して多重化する点にある。このTSパケットは常に188バイトという決まった長さであるため、データの一部が失われたり破損したりした場合でも、他のパケットへの影響を最小限に抑え、同期を比較的容易に回復できるというメリットがある。このエラー耐性の高さこそが、無線伝送のように不安定な環境下での利用が多いデジタル放送においてTSが広く採用される理由である。

複数のメディアデータを多重化する際、TSはそれらを単一のデータ列として効率的に構成する。例えば、テレビ番組では高画質な映像、クリアな音声、複数の言語の音声トラック、字幕データ、そしてEPG(電子番組表)などの付帯情報が同時に送られているが、これらすべてがTSファイル内で一つにまとめられている。この多重化されたデータには、それぞれのデータがどの種類の情報であるかを識別するための「PID(Packet Identifier)」が付与される。さらに、どのPIDがどの番組を構成しているかを記述する「プログラムマップテーブル(PMT)」や、どのPMTがどのサービス(チャンネル)に紐付いているかを記述する「プログラムアソシエーションテーブル(PAT)」といった情報が含まれており、受信側はこれらのテーブルを解析することで、特定の番組の映像や音声、字幕などを正しく選別し、同期させて再生できる。これらのテーブルはPSI(Program Specific Information)やSI(Service Information)と呼ばれ、デジタル放送のサービス運用には不可欠な要素となっている。

TSファイルの主な利用例としては、まず地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送といったデジタルテレビ放送全般が挙げられる。これらの放送は、まさにTS形式で情報が送受信されている。また、デジタル放送を受信して録画するHDレコーダーやPCのテレビチューナーで作成される録画ファイルも、多くの場合TS形式である。レコーダーによっては、録画後にTSファイルを別のコンテナ形式(例えばMP4やMKV)に変換する機能を持つものもあるが、基本的にはTS形式で記録される。IPTVや一部のストリーミング配信においても、ライブ配信やリアルタイム性の高いコンテンツの伝送にTSが利用されることがある。

他のファイルフォーマット、例えばMP4やMKVなどと比較すると、TSは「伝送」と「エラー耐性」に特化している点が特徴である。MP4やMKVは「ファイルコンテナ」と呼ばれ、ファイルとして保存・再生されることを前提とした柔軟な構造を持つ。これらは様々なコーデックに対応し、複数の音声トラックや字幕、チャプター情報などを一つのファイルにまとめることができるが、TSのようにリアルタイム伝送における堅牢性はそれほど重視されていない。TSファイルは、デジタル放送で受信したデータをそのまま保存する際に使われることが多く、後からPCなどで再生する場合や、より汎用的な形式に変換して編集する際などに扱われる。システムエンジニアにとって、放送システムやリアルタイム性の高いメディア伝送システムを設計・構築する際には、TSファイルの特性と役割を深く理解することが求められる。

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