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PID(ピーアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PID(ピーアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

プロセスID (プロセスアイディー)

英語表記

Process ID (プロセスアイディー)

用語解説

PIDとは、プロセス識別子 (Process ID) の略称であり、オペレーティングシステム (OS) 上で実行されている個々のプロセスを一意に識別するために割り当てられる固有の数値である。システム内で動作するすべてのプロセスは、このPIDを必ず持ち、これによりOSはそのプロセスを正確に管理し、操作することが可能になる。OSがプロセスの生成、実行、終了、あるいは他のプロセスとの連携を制御する上で、PIDは基本的な構成要素として極めて重要な役割を担っている。

詳細を説明する。OSは、システムが起動してから現在に至るまで実行されているすべてのプロセスに対して、重複のないPIDを割り当て、管理している。PIDは通常、0から始まる正の整数値であり、システムによってPIDの最大値が定められている。例えば、Linuxシステムでは /proc/sys/kernel/pid_max ファイルで最大値を確認・変更でき、デフォルトでは32768などの値が設定されていることが多い。この最大値は、システムが同時に実行できるプロセスの総数に実質的な上限を設ける。

プロセスが新たに作成される際には、OSカーネルが利用可能なPIDの中から、まだどのプロセスにも割り当てられていない最小のPIDを探索し、その新しいプロセスに割り当てる。このプロセス生成は、一般的に fork などのシステムコールを通じて行われる。fork システムコールは、現在のプロセス(親プロセス)と全く同じ内容を持つ新しいプロセス(子プロセス)を作成し、子プロセスには親プロセスとは異なる新しいPIDが付与される。

各プロセスにはPIDの他に、PPID (Parent Process ID) と呼ばれる親プロセス識別子も存在する。これは、そのプロセスを生成した親プロセスのPIDを示す。これにより、システム上のプロセスは親子関係に基づいたツリー構造を形成し、OSはこの構造を利用してプロセスの依存関係を把握し、管理する。例えば、親プロセスが終了する際に、その子プロセスも一緒に終了させる(これをカスケードキルと呼ぶ)などの処理が可能になる場合がある。また、親プロセスが子プロセスよりも先に終了した場合、子プロセスのPPIDは通常、システム内で常に実行されている init プロセス(ほとんどのUNIX系システムではPID 1を持つ)に変更され、init プロセスがその子プロセスを引き取る形となる。

プロセスがその役割を終えて正常に終了するか、あるいはエラーによって強制終了すると、そのプロセスに割り当てられていたPIDは解放される。解放されたPIDは、OSが管理する利用可能なPIDのプールに戻され、後に生成される別の新しいプロセスに再利用される可能性がある。ただし、PIDの即時再利用は通常行われず、ある程度の遅延があったり、PIDが循環的に最大値に達した後に再利用が開始されたりするケースが多い。これは、短期間で同じPIDが異なるプロセスに割り当てられることによる混乱や、ゾンビプロセスなどの問題を避けるための設計上の配慮である。

PIDは、システム管理者やアプリケーション開発者がプロセスを操作・監視する上で不可欠な情報となる。例えば、pstop などのコマンドを使用してシステム上の実行プロセス一覧を表示する際、各プロセスのPIDが表示される。これにより、ユーザーは特定のプロセスを識別し、そのリソース使用状況や状態を監視できる。また、kill コマンドを使用して特定のプロセスにシグナル(例えば、終了を促すSIGTERMや強制終了させるSIGKILL)を送信する際にも、対象プロセスのPIDを指定することが必須となる。プログラミングにおいても、プロセス自身が getpid() システムコールを呼び出すことで自身のPIDを取得したり、getppid() で親プロセスのPIDを取得したりすることが可能である。これらの情報は、複数のプロセスが連携して動作するアプリケーションや、プロセス間通信を設計する際に利用される。

PIDは一意の識別子であるため、セキュリティの文脈でもその特性が考慮される。例えば、ロックファイルを作成して複数のプロセスが共有リソースへの排他アクセスを行う場合、ファイルに自身のPIDを書き込むことで、どのプロセスがロックを保持しているかを識別することが可能となる。しかし、PIDは比較的推測しやすい連番であるため、単純にPIDのみを認証や重要なセキュリティ制御の手段として用いることは推奨されない。

このように、PIDはOSがプロセスの生命周期全体にわたって個々のプロセスを追跡し、管理するための基礎となる識別子であり、システム運用からアプリケーション開発に至るまで、ITシステムの様々な側面でその重要性が理解されている。

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