var文(バーブン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
var文(バーブン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
変数宣言 (ヘンセンゲン)
英語表記
var statement (バー・ステートメント)
用語解説
var文は、JavaScriptにおいて変数を宣言するために使われるキーワードである。プログラム内でデータを一時的に格納するための「名前付きの箱」を用意する際にこのvarを用いる。具体的には、数値や文字列、オブジェクトといったさまざまな種類の値を、任意の名前(変数名)と紐づけて保存し、後からその名前を使って値を取り出したり、新しい値を代入したりできるようにする役割を持つ。JavaScriptの初期から存在する宣言方法であり、その後の言語の進化に伴い、より厳格な変数宣言を可能にするletやconstといった新しいキーワードが導入されたが、varは今でも多くの既存コードで使用されており、その特性を理解することはJavaScriptを学ぶ上で重要である。
var文による変数宣言は、二つの基本的な形式がある。一つはvar 変数名;のように変数を宣言するだけで、初期値を与えない形式である。この場合、変数は自動的にundefinedという特殊な値で初期化される。もう一つはvar 変数名 = 初期値;のように、宣言と同時に特定の値を代入する形式である。例えば、var counter = 0;と記述することで、counterという名前の変数を宣言し、同時にその初期値として数値の0を格納する。
varで宣言された変数の最も重要な特性の一つは「スコープ」の挙動である。スコープとは、変数が有効である範囲、つまりプログラムのどの部分からその変数にアクセスできるかを示す概念だ。varは「関数スコープ」を持つ。これは、varで宣言された変数が、それを囲む関数ブロック全体で有効であることを意味する。もし変数がどの関数内でも宣言されなかった場合、それはグローバルスコープとなり、プログラムのどこからでもアクセス可能なグローバル変数となる。
関数スコープの挙動は、現代の多くのプログラミング言語が採用する「ブロックスコープ」とは異なるため、特に注意が必要だ。ブロックスコープとは、if文やfor文、while文などのブロック(波括弧 {} で囲まれた部分)内で宣言された変数が、そのブロック内でのみ有効になるという考え方である。しかし、varの場合、たとえforループやif文のブロック内で変数を宣言しても、その変数はそのブロックの外にある関数内全体からアクセスできてしまう。例えば、ある関数内でforループを使ってvar i = 0;と宣言した場合、iという変数はforループの外側でもその関数内であればどこからでも利用可能であり、forループ終了後もその最終的な値が保持される。この特性は、変数名の衝突や意図しない値の変更を引き起こす可能性があった。
varのもう一つの重要な特性は「巻き上げ(Hoisting)」と呼ばれる挙動である。JavaScriptの実行時には、コードが実際に実行される前に、varで宣言された変数の宣言部分がそのスコープの先頭に移動するかのように扱われる。これは、変数の宣言が書かれている位置に関わらず、その変数が宣言されたスコープの最上位で「存在している」状態になることを意味する。ただし、巻き上げられるのは変数の「宣言」だけであり、「初期化」(値の代入)はその変数がコードに書かれた元の位置に留まる。このため、var 変数名;のような宣言が明示的に行われていなくても、その変数名が使われた時点でundefinedという値を持つ変数として扱われることがある。例えば、関数内でconsole.log(myVar); var myVar = 10;のようなコードがあった場合、実行時にはエラーにならず、undefinedが出力される。その後、myVarに10が代入される。この挙動は、コードの記述順序と実際の実行順序との間に乖離を生じさせ、プログラムの理解を困難にしたり、潜在的なバグを引き起こしたりする可能性があった。
さらに、varは同じスコープ内で同じ名前の変数を複数回宣言することを許容する。例えば、var myValue = 10;と宣言した後に、再びvar myValue = 20;と宣言しても、JavaScriptはエラーを発生させない。後から宣言された値が前の値を上書きする形になる。これは、大規模なプロジェクトやチーム開発において、意図せず既存の変数を上書きしてしまい、予期せぬ動作につながるリスクをはらんでいた。変数の再代入自体は可能であり、myValue = 30;のように宣言済みの変数に新しい値を代入することは問題ないが、再宣言が許される点がvarの特異性である。
また、varがグローバルスコープで宣言された場合、その変数はブラウザ環境ではwindowオブジェクトのプロパティとして、Node.js環境ではglobalオブジェクトのプロパティとして追加される。これは、グローバル変数が多すぎると、他のスクリプトとの名前の衝突や、メモリの不必要な消費、デバッグの複雑化といった問題を引き起こす可能性があるため、一般的には推奨されない。
このようなvarの特性、特に柔軟すぎるスコープと巻き上げの挙動は、JavaScriptが大規模なアプリケーション開発に利用されるようになるにつれて、その課題が浮き彫りになってきた。ES2015(ES6)以降のJavaScriptでは、これらの課題を解決するためにletとconstという新しい変数宣言キーワードが導入された。letはブロックスコープを持ち、同じスコープ内での再宣言を許さない。constも同様にブロックスコープを持ち、再宣言だけでなく再代入も許さない。これにより、変数の有効範囲をより細かく制御し、予期せぬバグの発生を防ぐことが可能になった。
現代のJavaScript開発においては、特殊な事情がない限り、varの使用は避け、原則としてletやconstを用いることが推奨されている。constは定数、letは再代入が必要な変数に使用するのが一般的なプラクティスである。しかし、古いJavaScriptコードベースの保守や、特定のレガシーな環境での互換性を考慮する場合など、依然としてvarの知識が求められる場面があるため、その基本的な挙動と潜在的な問題点を理解しておくことはシステムエンジニアを目指す上で重要である。