【ITニュース解説】100 Days of DevOps: Day 35

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「100 Days of DevOps: Day 35」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Dockerのインストールからサービス起動までの手順を解説する。リポジトリを追加し、Dockerパッケージをインストール。その後、サービスを開始し、システム起動時に自動実行する設定を行うことで、Docker環境を構築する。

出典: 100 Days of DevOps: Day 35 | Dev.to公開日:

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す上で、Dockerは非常に重要な技術の一つである。Dockerを利用すると、アプリケーションとその実行に必要な環境を一まとめにした「コンテナ」と呼ばれる小さな箱を作成し、どのコンピュータ上でも同じように動かすことができるようになる。これは、開発環境と本番環境の違いによるトラブルをなくし、開発効率を大幅に向上させるため、多くの企業で導入が進んでいる。今回の記事は、このDockerをLinux環境(特にCentOS系のOS)にインストールし、利用を開始するための具体的な手順を解説している。

最初のステップは「Dockerリポジトリの追加」だ。リポジトリとは、ソフトウェアやパッケージが保管されている場所、つまりインターネット上にあるソフトウェアの配布元のことである。通常、Linuxには標準のリポジトリが設定されているが、Dockerのような新しいソフトウェアは、公式のリポジトリを追加しないと見つけられないことが多い。そのため、Dockerの公式リポジトリを追加する必要がある。ここで実行するコマンドは sudo dnf config-manager --add-repo https://download.docker.com/linux/centos/docker-ce.repo である。 このコマンドを詳しく見てみよう。まず sudo は「SuperUser DO」の略で、管理者権限でコマンドを実行するために必要だ。システムの設定変更や新しいソフトウェアのインストールなど、OSに大きな影響を与える操作を行う際には、通常このsudoを先頭につける。次に dnf は、CentOSなどのRHEL(Red Hat Enterprise Linux)系のLinuxディストリビューションで利用されるパッケージ管理ツールである。ソフトウェアの検索、インストール、更新、削除といった管理を効率的に行う役割を担う。そして config-manager は、dnfの設定を管理するためのツールであり、--add-repo オプションは、新しいリポジトリを追加することを指示している。最後に https://download.docker.com/linux/centos/docker-ce.repo は、追加するDocker公式リポジトリのURLだ。このURLを指定することで、dnfがDockerのパッケージを見つけられるようになる。

次のステップは「Dockerパッケージのインストール」である。リポジトリを追加したら、いよいよDocker本体と関連ツールをインストールする。ここで実行するコマンドは sudo dnf install docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin だ。 このコマンドも管理者権限(sudo)でdnfを利用し、指定された複数のパッケージを一括でインストールする。 それぞれのパッケージには重要な役割がある。docker-ce は「Docker Community Edition」の略で、Dockerのコアとなる部分、つまりコンテナの実行環境を提供するメインのソフトウェアだ。docker-ce-cli は「Docker Community Edition Command Line Interface」の略で、私たちがコマンドラインからDockerを操作するためのツール群である。コンテナの作成、起動、停止、削除など、Dockerのあらゆる操作は、このCLIを通じて行われる。containerd.io は、Dockerが内部的に利用するコンテナランタイムの中核部分だ。コンテナのライフサイクル管理やイメージの転送、保存などを担当し、Dockerの安定した動作を支えている。docker-buildx-plugin は、DockerイメージをさまざまなCPUアーキテクチャ(例えば、IntelのCPUだけでなくARMベースのCPUなど)向けにビルドするための機能を提供するプラグインだ。これにより、異なる種類のデバイスで動作するコンテナイメージを効率的に作成できる。最後に docker-compose-plugin は、複数のDockerコンテナをまとめて定義し、一括で起動・停止・管理するためのツールであるDocker Composeの機能を提供するプラグインだ。例えば、Webアプリケーション、データベース、キャッシュサーバーといった複数のサービスが連携するような複雑なシステムを、一つの設定ファイルで簡単に管理できるようになる。これらのパッケージをインストールすることで、Dockerの利用に必要なすべてのコンポーネントがシステムに導入される。

最後のステップは「Dockerサービスの起動」だ。ソフトウェアをインストールしただけでは、それが自動的に動き始めるわけではない。特に、Dockerのようにバックグラウンドで常に動作し、リクエストに応じてコンテナを管理するようなプログラムは「サービス」として扱われ、明示的に起動する必要がある。ここでは二つのコマンドを実行する。 一つ目は sudo systemctl start docker である。このコマンドは、インストールしたDockerサービスを現在実行中のシステム上で起動する。systemctl はLinuxのシステムサービスを管理するための強力なコマンドで、サービスの起動、停止、再起動、状態確認などを行うことができる。start オプションは指定したサービスを開始する命令であり、docker は起動対象のサービス名だ。このコマンドを実行することで、Dockerデーモン(Dockerのバックグラウンドプロセス)が起動し、コンテナの管理を受け付けられる状態になる。 二つ目は sudo systemctl enable docker である。startコマンドでDockerを起動しても、システムを再起動するとDockerサービスは停止してしまう。そこで、このenableコマンドを実行することで、システムが起動するたびにDockerサービスが自動的に開始されるように設定する。これにより、サーバーが再起動した後も手動でDockerを起動し直す手間が省け、常にDockerが利用可能な状態を維持できる。

これらの三つのステップを順序通りに実行することで、あなたのLinux環境にDockerが正常にインストールされ、すぐに利用を開始できる状態になる。Dockerはシステムエンジニアにとって非常に強力なツールであり、コンテナ技術の基礎を理解することは、これからのIT業界で活躍するために不可欠なスキルとなるだろう。このインストールを足がかりとして、Dockerを使った開発や運用の世界へ足を踏み入れてみてほしい。

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